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第3章 夢のカケラ
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その日は、きれいな満月の夜で…
久し振りに、父親と母親にはさまって、柚は横になる。
フッと目が覚めて、トイレに行こうと身体を起こすと…
隣で寝ていたはずの、母親の姿がどこにも見えない。
(え~っ?)
まさかママが、やっぱり腹を立てて、家を飛び出したのか、と柚は
一瞬そう思う。
だけどすぐに、それが勘違いだ、と気が付いた。
なぜならば、隣の部屋から、人の気配がしたからだ。
(えっ、ママ?)
まさかパパと、話し込んでいるんじゃあないよね?
振り向くと、父親は反対側で眠っている。
(ママ…どうしたの?)
柚はあわてて、廊下に出ると、ママの部屋から灯りが漏れている。
(何をしているの?)
そーっと、ドアのすき間から、中をのぞき込んだ。
すると…窓の側で、うずくまっている母親の姿が見える。
「ママ…」
声をかけようとするけれど、その背中があまりに寂しそうで、柚はあわてて
言葉を飲み込んだ。
母親は、背後の気配には気付かない様子で、傷だらけのガラスの靴を、
そっと月に向かって差し上げる。
くっきりと、無数の傷が浮かび上がる。
その傷をそーっと指でなぞると、ギュッと彼女は抱き締めた。
久し振りに、父親と母親にはさまって、柚は横になる。
フッと目が覚めて、トイレに行こうと身体を起こすと…
隣で寝ていたはずの、母親の姿がどこにも見えない。
(え~っ?)
まさかママが、やっぱり腹を立てて、家を飛び出したのか、と柚は
一瞬そう思う。
だけどすぐに、それが勘違いだ、と気が付いた。
なぜならば、隣の部屋から、人の気配がしたからだ。
(えっ、ママ?)
まさかパパと、話し込んでいるんじゃあないよね?
振り向くと、父親は反対側で眠っている。
(ママ…どうしたの?)
柚はあわてて、廊下に出ると、ママの部屋から灯りが漏れている。
(何をしているの?)
そーっと、ドアのすき間から、中をのぞき込んだ。
すると…窓の側で、うずくまっている母親の姿が見える。
「ママ…」
声をかけようとするけれど、その背中があまりに寂しそうで、柚はあわてて
言葉を飲み込んだ。
母親は、背後の気配には気付かない様子で、傷だらけのガラスの靴を、
そっと月に向かって差し上げる。
くっきりと、無数の傷が浮かび上がる。
その傷をそーっと指でなぞると、ギュッと彼女は抱き締めた。
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