シンデレラの娘たち

daisysacky

文字の大きさ
上 下
84 / 140
第4章 夢のつづき

   12

しおりを挟む
「そうかぁ~あなた、ここへ連れて来られたのね」
 信子はようやく、二人の事情が呑み込めてきたようだ。
「私もずいぶん前に、この世界に飛ばされてきたのよ」
同じね、と懐かしそうな顔つきで、自分の弟の顏を見つめる。
「飛ばされた?」
 それって、どういう意味?
まだジュンヤには、きちんと理解が出来ないけれども。
だが彼は何度か、夢に見ていた光景に、とても似ている…と思う。

「姉さん、ここで何をして暮らしているの?」
 彼女が姿を消してから、かなりたつはずだ。
みんなは、そんなことは、すっかり忘れているけれど…
すると信子はふふっと笑い、
「そうねぇ~私、シンデレラになったのよ」
わざと冗談めかして、そう答える。
「シンデレラ?何のこと?」
まさか、そういう仕事か何か、この世界ではあるのか?
まったく予想を上回る答えに、その言葉の意味がわからず、
ジュンヤはポカンとする。
(まさか…ボクのこと、からかっているの?)

 どこをどうすれば、そういうことになるのだろう?
 きっと、あの子には、わからないだろうなぁ~
信子には、ちゃんとわかっていた。
ジュンヤのことを、すべて思い出したわけではない。
だけど…彼を見た瞬間、心がピョンと飛び跳ねたのだ。
それがきっと、真実なのだ。
信子は、そう悟った。
「あっ、あの女の子は、どうしたの?」
まさか、妹?
信子は後ろを、振り返る。
ジュンヤが来る前に、飛び込んで来た女の子。
やけに親し気に笑いかけると、
「こんにちは!」
ニコニコと話しかけてきた。
 だけど…どこかで見たことがある、と思ったのは、気のせい
なのだろうか?
彼女はその不思議な女の子のことが、やけに気になっていた。
しおりを挟む
1 / 5

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

キミとボクとのおやくそく

絵本 / 完結 24h.ポイント:0pt お気に入り:1

青の境界、カナタの世界

ライト文芸 / 完結 24h.ポイント:0pt お気に入り:1

離れていく…

恋愛 / 完結 24h.ポイント:0pt お気に入り:0

スリーサムトーキング

青春 / 連載中 24h.ポイント:0pt お気に入り:0

それでも愛がたりなくて

恋愛 / 完結 24h.ポイント:0pt お気に入り:13

足跡

ホラー / 完結 24h.ポイント:0pt お気に入り:0

妖(あや)し瞳の、艶姿

BL / 連載中 24h.ポイント:0pt お気に入り:30

神代永遠とその周辺

青春 / 連載中 24h.ポイント:228pt お気に入り:2

北欧フィンランド オーロラの下で

エッセイ・ノンフィクション / 連載中 24h.ポイント:0pt お気に入り:5

処理中です...