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15話 ストーカー
しおりを挟む翌日。久美子が仕事をしていると、1人の女性客が入って来た。
「ご予約のお客様ですか?」
「いいえ。ダメですか?」
「今からだと…大丈夫です。受付表のご記入お願いします」
女性は記入が終わると久美子を見る。
「あの人にお願いしたいんですが」
「え、あっ、はい…では担当に付けますね」
店長が久美子の元に来る。
「クミちゃん指名なんだけど…あの人知り合い?」
「えっ、知らない方ですが…」
「何だか変な感じの人だったけど…お願い出来るかな?」
「分かりました」
久美子は受付で名前を確認し、女性の元へ行った。
「お待たせ致しました。キムナラ様。今日はどのようになさいますか?」
キムナラは黙って久美子を睨みつける。
「…あ、あの…」
「セットよ、巻いて」
「はっ、はい…巻くんです…ね。どんな感じに仕上げましょうか?」
「適当でいいから、早くして!」
「わ、わかりました」
異様な空気が漂っている中、キムナラは鏡越しに久美子をずっと見ていた。
「あの…何か?」
「あなた…日本人なの⁈」
「はい…」
「何でソウルにいるの?日本に帰らないの?」
「そ、それは…」
「男がいるとか?」
「ま、まぁ…」
「どのくらい付き合ってるの?」
「…半年くらいですが…」
段々とキムナラの顔が強張り出し、久美子は怖くなってきた。
よく見てみると、どこかで会ったことがあるような気がした。
「あの…どこかでお会いしたことがありますか?」
「ないけど」
「そうですか。すみません」
「彼氏からは愛されてるの?」
「は…はい…」
「…そうかしら」
(何なの…この人…)
「その人とはどうやって知り合ったの?」
表情を変えず、質問ばかりしてくるキムナラに久美子は嫌気がさしてきた。
「終わりました!」
久美子は必死で笑顔を作っていた。
セットが終わったキムラナは、不満気に店を出て行った。
「クミちゃん…何なの、あの人…」
「わかりません…すごく疲れました」
「お疲れ様!ラストまで30分あるけど、今日はもう上がっていいわよ。チスンさん帰ってるんでしょ?」
「はい。いいんですか?ありがとうございます店長!」
久美子はチスンに『今から帰る』とメールを送り店を出た。
すると、店の外にキムナラが立っていた。
久美子は軽く会釈して通り過ぎようとする。
「ちょっと‼︎あなたに話があるんだけど」
「はい?何でしょうか?」
キムナラは少し先の公園に、久美子を誘い出した。
「あの…何ですか?お話って…」
「あなたの恋人って…」
「え…?」
「チスンでしょ⁈」
(ど、どうして…知ってるの…⁈)
「チ、チスンって?あの…チスンですか?」
必死にとぼける久美子。
「そうよ!俳優のチスンのことよ!」
「ハハハ…そんなわけないじゃないですか!」
「じゃあ何で一緒にスーパーに来てるのよ‼︎」
久美子は思い出した。
(あの時…チスンの後ろから私を睨んでた女の人だ!)
「そ、それは…ただの知り合いです」
「じゃあ何で同じマンションから出て来るのよ‼︎」
久美子は鳥肌が立った。
(何で知ってるの⁈…それに私の職場も知ってたし…もしかしたら…この人、ストーカー…?)
久美子は段々と怒りが込み上げてきた。
「チスンは私だけのものよ!」
「私のもの?勝手にそう思い込んでるだけでしょ?」
「それはアンタでしょ⁈」
「私とチスンは愛し合っていますから!」
「勝手なこと言わないで!」
「勝手なこと言ってるのはそっちでしょ?」
キムナラは息が荒くなってきた。
「話にならないわ」
キムナラはバックの中からナイフを取り出した。
「チスンの為なら何だって出来るわ。邪魔者には消えてもらう」
そう言うと、久美子の腕を切り付けた。
「痛っ!!」
久美子はその場にしゃがみ込んだ。
キムナラは更に襲いかかろうとした。
「やめろ!!」
男性の声がすると、キムナラは慌てて逃げて行った。
「久美さん、大丈夫⁈」
「ホンユさん…」
顔を上げると、その声はホンユだった。
実はホンユも美容室の近くで久美子のことを待っていた。
久美子が知らない女性と妙な雰囲気で公園に向かっていたのを怪しく思い、後をつけて様子を伺っていたのだ。
ホンユは慌てて逃げるキムナラを捕まえに行こうとするが、久美子が引き留めた。
「捕まえないと!!」
「いいんです…」
「でも…え⁈久美さん、血が!!」
ホンユはハンカチを取り出すと久美子の腕を縛った。
「病院に行こう!」
「大…丈夫…で…す…」
立ち上がろうとすると、久美子はその場に倒れ込んだ。
「久美さん!久美さん‼︎」
ホンユは慌てて、近くの病院に久美子を運んだ。
「先生!どうですか?」
「ショックで気絶したようです。腕の方は傷が深いので、痕が残りそうです。1週間は処方した薬を飲んで、安静にしておくように。目が覚めたら帰れますよ」
「…分かりました。ありがとうございます」
その頃チスンは、久美子に何度も電話をかけていた。
電話が繋がらないので心配になり、久美子が働く美容室に向かっていた。
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