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23話 別れ
しおりを挟む2人は夕食の食材を買いに行き、日が暮れるまで海で遊んだ。
「クミと一緒に海に来たの初めてだね」
「そうだね」
「クミ、はしゃぎ過ぎだよ」
「チスンもおいでよー」
しばらく海で遊んだ2人は別荘に戻り、久美子はチスンの為に一生懸命料理を作った。
夕食を終えた2人は、庭のベンチに座ってビールを飲みながら話す。
「クミの料理めちゃくちゃ美味しかったな~!幸せ!」
「よかった…」
「クミ、これからもたくさん旅行しようね」
「、、、」
「クミ、聞いてる?」
「え?あ…う、うん」
「俺さぁ…病院で眠っている間、すごく嫌な夢を見たんだ…」
「…どんな夢?」
「クミが俺の前からいなくなる夢。初めてクミが夢に出てきたのに、本当に嫌な夢だったな~」
久美子は必死に涙をこらえていた。
「無茶してクミを悲しませてごめん。もう無茶なことはしないし、これからはクミと人前でも堂々と出来るようにするから。信じてついて来て欲しい」
「本当だよ!私なんかの為に無茶しないでよ。もっと自分を大事にして」
「クミの為なら何でも出来るからだよ。ただ今回のことは本当にごめん」
チスンは謝りながら久美子の手を取り、1本1本指を握って指輪のサイズを確かめている。
「どうしたの?」
「え、いや…クミの指って細いなーと思って」
「そぉ?」
「明日、お昼にはソウルに戻ろう。一緒に来て欲しいところがあるから」
チスンは明日プロポーズし、久美子を両親に会わせると決めていた。
「…うん。ねぇチスン…」
「ん?」
「そろそろ寝よ。眠たくなってきちゃった」
「そうだね」
部屋に戻り、2人はそれぞれ布団に入った。
「クミ、愛してるよ。おやすみ」
「…おやすみなさい」
早起きして長距離を運転して来たチスンは直ぐに眠りについた。
しばらくすると久美子は起き上がり、チスンを見つめる。
こらえていた涙が一気に溢れ出した。
チスン…ごめんね
チスンのこと本当に大切だし大事な人だから…
だから…私なんかと一緒にいちゃダメなんだよ…
もっと自分を大事にして…チスン
たくさんの人に愛されているんだから…
チスン…まさか私がチスンと付き合えるなんて思いもしなかったよ
幸せな夢を見ていたと思うよ
今まで本当に本当にありがとう
幸せでした…愛してるよ
眠ってるチスンにキスをすると、久美子は1通の手紙を置いて去って行った。
翌朝、チスンが目を覚ますと久美子がいないことに気づいた。
手紙を見つけた。
チスンは突然のことで現実を受け入れられず、何度も手紙を読み返した。
クミ…何でだよ…
チスンへ
私はチスンと一緒ならそれでいいと思ってた。
すごくすごくチスンのことが好きでたまらなかったから…。
ただそれが迷惑かけていたことに気づいた。
もうチスンには私みたいな人のせいで、またトラウマになって欲しくない。
チスンにはもっと気楽に生きて欲しい。
自分を大事にして欲しい。
みんなのチスンなんだから。
私はチスンの負担になるだけだからチスンとは別れを選びます。
携帯も変えるから探したりしないで下さい。
今まで本当に本当にありがとう。
本当に幸せでした。
自分勝手な私を許さないでね。
さようなら クミ
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