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25話 ホンユとの再会
しおりを挟む3年後
「コラ!ジスン‼︎走り回っちゃダメでしょ」
美容室の中で走り回るジスン。
店長が久美子の家の近くに新店舗を構え、また一緒に働くことになった。
仕事が終わった久美子はジスンを連れて、店長が予約をしたお店に食事に行った。
お店に着き、案内された個室に入るとそこには3年ぶりに会うホンユがいた。
「ホンユさん⁈え⁈どうして?」
「クミちゃん、ごめん。私が呼んだの」
「俺がご一緒したいって頼んだんだ」
「え…」
「実はクミちゃんが前にうちの店を辞めた後、ホンユさんが来て電話番号の交換してたのよ」
「そうだったんですか…」
「まぁ立ってないで座ろうよ。お嬢ちゃんこっちにおいで」
ホンユはジスンを隣に座らせた。
「あ…その子は…」
「聞いたよ」
「ごめん、私が話したの」
「そうですか…」
「名前は?」
「ジスンだよー」
「ジスンって…」
ホンユは顔も名前もチスンにそっくりなジスンをじっと見つめる。
「ジスン、可愛い顔してるねー。何歳?」
「3歳」
「3歳なのー、えらいねー」
しばらく食事をしていると、ジスンがウトウトし始めた。
久美子がジスンを抱えようとすると、ホンユが自分の足の上にジスンを乗せて眠らせようとしてくれている。
「そんな、いいですよ」
「いいよ。このままで」
「でも…」
「クミちゃん、ここはホンユさんに甘えて飲もう。飲むのも久しぶりでしょ?」
「そうだよ。それに俺こう見えて子供好きなんだ」
「えー、そうなんですねー」
「しかし、3年ぶりだよね。心配してたけど久美さん元気そうでよかった」
「ホンユさんも元気そうでよかったです」
「ホンユさんはねー、クミちゃんの居場所を教えろってしつこかったんだよー」
「店長さん、全然教えてくれないし!」
「すみません。私が誰にも居場所を知られたくなかったから、店長に口止めしてたんです」
「わかってるよ。ところでチスンとは全く連絡とってないの?ジスンのことも知らないんだよね?」
「…はい。電話番号も変えたし連絡もしてません。ジスンのことも言わないつもりです」
「そっか…でもまさか2人が別れるなんてな…」
「チスンは…元気にしてますか?」
「俺も全然連絡とってないけど、スジンさんの話によると、かなり仕事に没頭してるみたい」
「…そうですか」
「笑顔も少なくなったみたいだし…」
「何かに没頭してるってことは忘れようとしてるんだね」
「久美さん…まだチスンのこと…」
「もう、この話はやめましょう」
久美子はチスンのことを思い出すと辛くてたまらなかった。
「そ、そうだね」
「うん、この話はやめよう」
翌日、ホンユは再び店長を飲みに誘った。
「昨日の今日ですみません」
「全然いいんですけど、私だけ誘われたから驚きました」
「はい…」
「私に聞きたいことがあるんでしょ?」
「えっ…」
「クミちゃんのことですよね?」
「え⁈どうして…わかったんですか?」
「気づいてましたよ。クミちゃんのこと好きなんでしょ?」
「、、、」
「前にチスンさんの家で4人で食事会した時、何となくそうかなぁーって…」
ホンユは笑いながらうつむく。
「それにクミちゃんがチスンさんと別れて姿消した時も、ホンユさん必死で捜してたし…バレバレでしたよ」
「アハハハ。そうでしたね」
「クミちゃんの何が知りたいんですか?」
「それは…久美さんの気持ちです」
「気持ちって…?」
「別れて3年経つけど、まだチスンのこと…」
「クミちゃん、私には言わないけど…まだ好きだと思います。チスンさんの話になるとかなり辛そうだし。2人はあれだけ大恋愛してたんですから…」
「じゃあ何で別れたんですか?久美さんの方からでしょ?」
「それは…愛しているから、じゃないですか?私にはよく理解出来ないけどクミちゃんなりに色々と考えた結果で別れを決めたんでしょう」
「愛してるから?」
「多分ですよ。クミちゃんはチスンさんのこと必死で忘れようと努力してるので、クミちゃんの前ではなるべくチスンさんのこと話さないようにしてます」
「そうですか…実はあの2人が以前、済州島に旅行に行く前にチスンから電話があったんです。旅行が終わってソウルに戻ったらプロポーズするんだって」
「そ…そんな…」
「それ聞いた時、もちろん久美さんはOKするはずだから俺はもう無理だと思って諦めたんです。だから店長から2人が別れたって聞いて驚いたし…別れを告げたのは久美さんからって知ったんです」
「チスンさん…プロポーズするつもりだったんですね…辛かっただろうな…何だかショックです」
「俺が…チスンのこと、忘れさせます」
「え⁈」
「3年経ったけど、久しぶりに会ってみて…やっぱり久美さんのことが好きです。2人は別れてるし、何も気にする必要はない。こんな気持ち、初めてなんです」
「ホンユさんは素敵な人だし、いいと思いますけど…クミちゃんは恋人は作らないって言ってましたよ。ジスンもいるし」
「ジスンがいても構わない。チスンの子供でも…久美さんを必ず俺に振り向かせます」
「ホンユさん…そこまでクミちゃんのこと…」
「応援してくれますか?」
「…わかりました!」
1週間後
久美子は仕事が長引いて、時刻は20時を回っていた。
休憩室にいるジスンの元へ行くと、ジスンは苦しそうに横たわっていた。
「ジスン‼︎どうしたの⁈」
慌ててジスンを抱えると、真っ赤な顔をして汗びっしょりになっていた。
「クミちゃん、どうしたの?」
「ジスンが苦しそうで」
店長がジスンのおでこに手を当てると、とても熱かった。
「すごい熱よ!!」
「病院に行って来ます!」
初めての経験で久美子は慌てる。
「ちょっと待ってて‼︎」
この時間は近くの病院が閉まっていることもあり、店長はホンユに相談しようと電話をかけた。
しばらく経って店長が戻って来た。
「店長、行って来ますっ」
急いで病院に行こうとする久美子を店長は引き止めた。
「えっ?」
「あと15分待って。連れて行ってくれる人呼んだから」
それから15分後、慌ててホンユが来た。
「ホンユさん‼︎」
ホンユはジスンを抱え、車に乗せた。
「ホンユさんに連れて行ってもらいなさい」
「わかりました。行ってきます」
ホンユは久美子とジスンを車に乗せ、少し離れた病院に向かった。
診察してもらうとジスンくらいの年の子供にはよくあることだと言われ、点滴受けてぐっすり眠れば明日には回復するそうで、1日入院することになった。
久美子とホンユは安心した。
「大したことなくてよかったね」
「はい…こんなこと初めてだったので気が動転してしまいました。本当に助かりました。ありがとうございます」
「久美さん…」
「はい」
「1人で大変でしょ?」
「え…」
「仕事しながらジスンの面倒みて。それにお金の面だって…」
「…大丈夫ですよ」
「そうやって強がるけど、たまには弱音吐いたり人に頼ってもいいんじゃない?」
「…それは大変じゃないと言えば嘘になるけど、私決めたんです。ジスンを命がけで守ろうって。辛い思いだけはさせたくないし、私がジスンを必ず幸せにするって」
ホンユは、チスンも命がけで久美子を守ろうとしたことを思い出した。
「そっか…でもまた何かあったら俺に頼って欲しい。今は仕事も落ち着いてて、結構ヒマしてるから」
「ありがとうございます」
翌日、ジスンは元気になり家に帰った。
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