28 / 76
28話 気持ちの揺れ
しおりを挟む翌日、美容室にホンユが来た。
「パパー」
「ジスン‼︎」
「ホンユさん!昨日ジスンが寂しがってましたよー」
久美子は、店長からホンユの気持ちを聞かされたこともあって、まともにホンユの顔を見ることが出来なかった。
「クミちゃんとホンユさん。今日うちでジスン預かるから、2人で食事でも行って来たら?」
「そんなっ、いいですよ」
「久美さん行こうよ」
「え…でも…」
「ねぇジスン、今日はお姉ちゃんの家で夜ご飯食べよっか!」
「うん‼︎」
「よし決まりー!あとは私が片付けて閉めるから行っておいで!」
「わかりました!行こう、久美さん」
「は、はい」
2人は食事を終えると、夜道を少し歩いた。
「久美さん…」
「はい」
「この前、最後まで言わせてくれなかったから…今言わせて」
ホンユは立ち止まった。
「俺、実は久美さんとチスンが付き合っている時から久美さんのことが好きだったんだ。なかなか伝えることが出来ずにいたけど…もう久美さんはフリーだし、今なら堂々と言える…好きだ。俺がチスンのこと忘れさせるから」
「ホンユさん…ありがとうございます。ホンユさんは本当頼りになるし、一緒になれば幸せになれると思います…だけど私にはジスンがいるし、ジスンはチスンとの子供なんですよ」
「わかってる…でも俺、頑張りたい。本当にジスンの父親になれるように…久美さんが俺のこと好きになってくれるように…頑張るから」
「…でも、ジスンは私1人で育てようって決めたんです」
突然、ホンユは久美子にキスをした。
ホンユさん…
ホンユの押しの強さに久美子は負けそうだった。
その後も毎日、ホンユは美容室に来て夕方までジスンの面倒をみてくれていた。
「ホンユさん、何か必死だね」
「店長…私…」
「どうしたの?」
「ホンユさんのこと、前向きに考えてみようと思います」
「え⁈本当に⁈いいと思う!」
「結婚とかはまだ考えられないけど…」
「うん。それでもホンユさん喜ぶと思うよ~」
「それで、明日仕事が終わったらホンユさんと会って話をしたいんですが…」
「ジスンでしょ?預かるよ!」
「ありがとうございます」
翌日、久美子はホンユを誘い夕食を終えた後、ホンユの運転でドライブに行った。
「どこに行くんですか?」
「久美さんから話があるっていうから、夜景が綺麗なとこ!」
久美子は高台に登る道に見覚えがあった。
到着して車を降りると…そこは以前チスンに連れて来てもらった場所だった。
「ここは…」
「綺麗でしょう?」
久美子はチスンとの思い出が一気に甦ってきていた。
パクジヘのことやドラマ撮影で忙しい中、疲れていたはずなのに…
チスンはそんな顔見せずに私をここに連れて来てくれた…
私を心配させないように…
「今日はジスン預けてまで誘ってくれて嬉しかったよ。ところで話って…?」
久美子の目には涙が溢れていた。
「久美さん⁈どうしたの?」
「…ごめんなさい」
やっぱりこんな気持ちのまま、ホンユさんと付き合えない…
「久美さん」
「…はい」
「急がなくていいから。チスンのこと忘れられないのは分かる。ただ…前を向いて行こう。俺のことはゆっくり考えて」
「ホンユさん…ごめんなさい。わかりました」
私から誘っておいて…
本当にごめんなさい…
この日、何も進展することなく2人は帰った。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
13
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる