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29話 3年ぶりの会話
しおりを挟む次の日、お昼でお店を閉め店長と久美子はジスンを連れてソウル市内へショッピングに行った。
色んなお店を見てまわり、カフェに入った。
「昨日、何でホンユさんと進展しなかったの?」
「それが…昨日ホンユさんに連れて行ってもらった場所が、以前チスンと一緒に行ったとこだったから…色々思い出してしまって」
「チスンさんか…」
「私がいけないんです」
店長はもどかしくてたまらなかった。
「あ~もう‼︎私、ホンユさん応援してたのに…」
「え?」
「実はね、ホンユさんから聞いたんだけど…前にチスンさんと済州島に行ったでしょ?」
「はい」
「チスンさんはソウルに戻って来たらクミちゃんにプロポーズするつもりだったらしいよ」
「え…」
久美子はあの日の夜、チスンが指輪のサイズを計るように自分の指を握っていたことを思い出した。
「だからチスンさん…クミちゃんが去って行ったこと、かなりショックだったと思うよ」
久美子は何も言えなかった。
「それから…ごめん。この前私、チスンさんの気持ちを確かめたくてチスンさんのマンションに行って来たの…」
「え⁈会って話したんですか?」
「うん…だけど完全にホンユさんが原因で別れたと思ってる。ジスンのこともあるから」
「…そう思われても仕方ないです…」
「本当にそれでいいの?」
話の途中、店長の携帯が鳴る。
「もしもし?あ、お母さん。え?今⁈わかった…直ぐ帰るね」
電話を切ると店長は立ち上がった。
「どうしたんですか?」
「クミちゃん、ごめん。母親が今、家に来てるみたいで…帰らなくちゃ」
「わかりました。私とジスンはもう少しゆっくりして帰ります」
「ごめんね。ジスン、また明日ね」
「うん。バイバーイ」
店長は急いで帰って行った。
しばらくして、久美子もジスンを連れて帰ることにした。
タクシーを拾うため大通りに出るが、なかなか空車のタクシーが通らない。
「ママーまだぁ?」
「もうちょっと待ってねー」
しばらく道路際に立っていると、1台の車が目の前に停まった。
車の窓が開くと、運転していたのはチスンだった。
久美子は思わず後ずさりする。
「乗って」
「え…」
「後ろから車来てるから早くっ」
久美子は思わずジスンを抱え、言われるがままチスンの車に乗った。
「タクシー待ちしてたんでしょ?」
「う、うん」
「送るよ。どこまで行けばいい?」
「…遠いよ」
「どこ?」
「◯◯町」
「◯◯町⁈…わかった」
「…どうして?」
「家に帰ってたらクミが見えたから。あの辺りはなかなかタクシー捕まらないよ」
「そうなんだ…」
2人は3年ぶりの会話だった。
「ママー、このお兄ちゃん誰?」
「えっと…それは…」
「お兄ちゃんカッコいいねー」
「ハハハ、ありがとう。お嬢ちゃんも可愛いね!」
「うん!!」
「アハハ」
ジスンはずっとチスンの顔を見つめている。
「お名前は?」
「ジスンだよ」
「ジス…ン⁇」
「うん」
「あっっ‼︎ここを真っ直ぐ行ったら左に曲がって下さいっ!」
久美子は慌てて話をそらした。
家の近くで停めてもらった。
「ここでいいの?」
「うん。すぐ近くだから」
「お兄ちゃん、もうちょっと先だよー」
「家の前まで送るよ」
「…うん。ありがとう」
「お兄ちゃん、そこ曲がるんだよー」
「はーい」
家の前に着き、久美子とジスンは車から降りた。
ジスンがチスンの元に駆け寄る。
「お兄ちゃんも降りてー」
「え?う、うん」
チスンが車から降りると、ジスンはチスンに抱きついた。
「ジスン?」
「お嬢ちゃん、どうした?」
「お兄ちゃん、送ってくれてありがとう」
チスンはジスンの頭を撫でる。
「どういたしまして。ジスン」
「じゃ、ジスンお家に入ろっか。チスンありがとう。気をつけてね」
「お兄ちゃん、またねー」
久美子とジスンは家に入って行った。
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