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32話 ホンユの嫉妬
しおりを挟む翌朝、久美子が目を覚ますとジスンとチスンはベッドにいなかった。
リビングに行くと朝食を作っているチスンに、ジスンはベッタリくっ付いていた。
「おはよう!」
「クミ、おはよう。もうすぐ朝食出来るから食べたら送るよ」
「ありがとう。ちょっと顔洗って来るね」
洗面所に行くと、以前久美子が使っていた化粧品や歯ブラシがそのまま残してあった。
捨てないで、そのままにしてたんだ…
やだ…何で涙が出てくるの…
久美子は涙を拭いながら、そこに置いてある自分の物を全部処分した。
リビングに戻ると、ジスンはチスンの膝の上で食事をしていた。
「チスン、ごめん。ほらジスン降りなさい」
「いいよ、クミ。熱いうちに食べて」
「う、うん。ありがとう…」
「ママー、昨日お兄ちゃんがオムライス作ってくれたんだ」
「本当~?よかったね~」
「アタシずっとここにいたいなぁ~」
「何言ってるの!」
「ジスン、パパが聞いたら悲しむよ」
「お兄ちゃんもパパになって!!」
「…え」
チスンは困った顔をする。
「ジスン、そんなこと言わないの‼︎」
突然、玄関のチャイムが鳴った。
「誰だろ…」
ドアを開けるとホンユがいた。
久美子とジスンの靴を見つけたホンユは、リビングまで上がり込んだ。
「パパ!」
「ホンユさん‼︎どうして⁈」
「美容室行っても閉まってるし…久美さんは電話出ないし…それで店長に連絡して昨夜のこと聞いたんだよ」
「そうですか…」
「昨夜ここにジスンを迎えに来て、今もまだここにいるってことは…久美さんたち泊まったってことなんだね…」
「はい…」
「まさかとは思って来てみたけど…何やってんだよ」
「昨夜遅かったし、俺が無理に泊まらせたんだ。ごめん、悪かった」
「もういい。帰ろう」
ホンユが久美子とジスンを連れて帰ろうとすると、ジスンが泣き出した。
「ジスン?どうした⁈」
「まだお兄ちゃんと一緒にいたいー」
「ダメだ!帰るぞ」
泣きじゃくるジスンを抱え、部屋を出た。
「チスン、ごめんね…」
そう言って久美子は慌てて出て行った。
帰りの車の中では、重い空気が流れていた。
「ママ、次いつお兄ちゃんのとこ行くの?」
「もう行かないの!」
「えー、行きたいー!」
ずっと黙っていたホンユが口を開く。
「昨日…別々のタクシーで帰らなければよかった。まさかチスンの家に泊まったなんて…俺を頼って欲しかったよ」
久美子は何も言えず黙っていた。
「ジスンはチスンに懐いてるし…もしかして連絡先も交換したとか?」
「してません」
「…もうチスンとは会わないで」
「ホンユさんから言われなくても会いませんから」
久美子は苛立ち、強い口調で答えた。
「ごめん…」
久美子の家に着いた。
「ありがとうございました。帰ろ、ジスン」
「待って!久美さん今日は仕事休みでしょ?3人で出掛けない?ジスン、どこに行きたい?」
「アタシ行かない…」
「ジスン?」
「すみません。疲れてるし、ジスンと家でゆっくりします」
そう言うと久美子はジスンを連れて家の中に入って行った。
夜になり寝る準備をしていると、ジスンがチスンのことを話し出した。
「ジスン、お兄ちゃんのことは忘れなさい」
「どうして?またお兄ちゃんに会いたいな」
「もう1人のお兄ちゃんがいるじゃない」
「パパは嫌っ!お兄ちゃんがいいの‼︎」
「お兄ちゃんは忙しいから会えないの!」
「会いたいー!お兄ちゃんに会いたいー」
「…じゃあ、ジスンがいい子にしてたら、いつか会わせるから」
「本当ー?いい子にする‼︎」
「じゃあ、おとなしく寝ようね」
「うん‼︎おやすみー」
ジスンったら…
ジスンは直ぐに眠りにつき、久美子も寝る準備をしていると、玄関のチャイムが鳴った。
ドアを開けるとホンユが立っていた。
「ホンユさん‼︎」
「こんな時間にごめん」
「どうしたんですか?」
「今朝のことで…謝りたくて。まだ彼氏でも何でもないのに、彼氏ヅラしてごめん…」
「…それを言う為にわざわざ?」
「…うん。帰って反省したよ。今日の俺の行動も発言も最低だった…」
「私の方こそ…冷たくしてごめんなさい」
「久美さんは謝らないで。俺が悪いし。怖かったんだ…チスンとヨリが戻るんじゃないかって。だからつい…」
滅多に弱音を吐かないのに、この日はホンユらしくなかった。
「ホンユさんらしくないですよ」
「俺らしいって何?俺だって悩むし弱気になったりするよ…」
「私のせいで悩まないで下さい」
「人を好きになると苦しいんだね。チスンが羨ましいよ。久美さんは俺のことなんか気にならないでしょ?」
「…少しずつですが、前向きに考えてますので」
「本当?ありがとう。少しずつで大丈夫だから」
「…はい」
「明日、チスンにも謝りに行こうと思う。考えてみたらアイツ悪くないのに…俺が嫌な態度とってしまったし。いいかな?」
「ホンユさんがそうしたいなら…」
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