真実【完結】

真凛 桃

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35話 疑い

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翌朝、久美子が目を覚ますとジスンが飛びついてきた。

「ちょっと、ジスンやめてー」

久美子は二日酔いで酷い頭痛がしていた。


「おはよう。大丈夫?」

ソファーにホンユが座っていた。


「ホンユさん!どうしてここに⁈」

「昨日のこと、覚えて…ないか」 

「え…」

「俺、迎えに行ったんだけど…」

「そ、そうなんですか?」   

「相当楽しかったんだね。あんなに酔っ払って。久美さん起きないから、勝手にバッグから鍵出して開けさせてもらったよ」

「す、すみません…」

「送り届けたら帰るつもりだったけど、ジスンもいるし心配だったからソファーで寝させてもらったよ」

「ご迷惑おかけしました…」

「ママー!お腹すいたー」

「あ、もうこんな時間…」

「二日酔い酷そうだし作るの大変でしょ?俺ジスン連れてどこか食事に行って来るよ」

「…助かります」

ホンユはジスンを連れて出かけた。



久美子は再びベッドに入り、昨夜の出来事を思い出していた。


昨日チスンと飲みに行ったんだ…

何でホンユさんが迎えに来たんだろ…
チスンが呼んだのかな…

そういえば、お店出た後チスンにおんぶされてたような…
そうよ。私が酔ってしまって、タクシー拾う為チスンは私をおんぶして歩いてた…
そこまでは覚えてる…

そのあと…私何か言ったような…
思い出せない…
でも…もう、チスンとは昨日で最後だったんだ…
なのに、私…酔い潰れて…


久美子は後悔していた。





その頃チスンは、事務所でマネージャーとはなしていた。


「昨日は久美子さんと会ってどうでした?ちゃんとケジメつけられました?」

「…うん。ただクミが言いかけて止めた話が気になってる。『ジスンは本当は…』って。何が言いたかったんだろ…」

「え…何ですか、それ」

「いや…いいんだ。ところでマネージャー、もしもだけど…例えば彼女と別れて3年後、その彼女に3歳になる子供がいたらどう思う?」

「どう思うって…?」

「自分との子供だと思う?それとも別れた後に付き合った相手の子供だと思う?」

「3年前に別れて今3歳でしょ?そりゃ自分との子供だと思いますよ」

「だよね」

「もしくは、付き合ってる間に彼女が浮気して出来た子供とも考えられますね」

「それはない!ほとんど毎日一緒にいたし」

「それって、チスンさんと久美子さんのことでしょ?」

「…うん」

「チスンさん、まさか自分の子供だと思ってるんですか?」

「、、、」

「もしそうだとしたら久美子さんから話すはずですよ」

「…うん」

「あまりこういうこと言いたくないんですが…以前パクジヘを探したりして忙しかった時、1週間近く家に帰らなかったことありましたよね?もしかしたらその時に久美子さんとホンユさん…」

「クミはそういうことしないよ‼︎」

「すみません…でもホンユさんとの子供なんでしょ?」

「ホンユとの子供って言ってるけど、もしそうならマネージャーが言ったようにクミとホンユが浮気…?俺もそう考えたことあったけど、どう考えてもクミはそんなことしないはず…」

「チスンさん…」

「子供の名前もそうだけど、よく見ると俺に似てるような…」

「…わかりました!」

「え?」

「調べましょう!」

「調べるって?」

「DNA鑑定するんですよ」

「マネージャー!」

「モヤモヤしてるんでしょ?どうせならハッキリさせましょう」

「…でもジスンの物がないし」

「子供さんに会うことは出来ないんですか?」

「うん。もうクミとは会わない約束だから」

「そうですか…髪の毛1本でもあればいいんですけどね…」

チスンは思い出した。

「あるかも知れない。この前家に泊まらせた時、俺のベッドで寝てたから…もしかしたら髪の毛があるかも…」


2人はチスンの家に行きベッドの上を探す。
枕元で細くて長い髪の毛を1本見つけた。

「これだ、ジスンの髪の毛だ!」

「ありましたね。ではチスンさんの髪の毛を1本下さい。これから病院に行って来ます」

「俺も行くよ!」

「チスンさんはこれから取材がありますから、私に任せて下さい」

「そうだった…わかった。マネージャーありがとう」




2日後、マネージャーは鑑定結果を持ってチスンの家に行った。


「結果はこの封筒の中に入ってます」


マネージャーは封筒をそのままチスンに渡した。


チスンは封を開け1枚の紙を開いて見た。


  

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