36 / 76
36話 確信
しおりを挟むこ、これって…
チスンは目を疑った。
「どうしました⁈」
マネージャーも結果を見る。
「ま、まさか⁈チスンさん!!」
チスンは崩れ落ちた。
「チスンさん、大丈夫ですか⁈」
「俺が…俺がジスンの…」
「間違いありません。99.99%一致してるってことは、チスンさんが父親です‼︎」
「そんな…」
「どっ、どうしますか⁈」
「俺、ちょっと行って来る」
チスンは車に乗り、急いで久美子の店に向かった。
俺がジスンの父親…
ジスンの…
疑ってはいたけど、実際に自分が本当の父親だと分かり、居ても立ってもいられなくなったチスンはジスンを一目見たくなったのだ。
その頃、美容室にはホンユが来ていた。
休憩室でジスンに本を読んであげている。
店内では店長と久美子が片付けをしながら話している。
「2連休はゆっくり出来た?」
「はい。二日酔いで1日は潰れちゃいましたけど…」
「そんなに飲むなんて、よっぽど楽しかったのね」
「帰りの記憶がほとんどないんです…」
「アハハ。でもまさかチスンさんと飲みに行くとはねー。ホンユさんもよく会わせたよね」
「最後だったから。もうチスンとは会わないし。だから忘れます」
「そっか…わかった。もうすぐお昼だしホンユさんとジスン連れて食事しに行って来なよ。ここの近くの店、この間行ったら美味しかったよ。歩いて行ってくれば?」
「じゃ、そうしますね!」
チスンが美容室の近くに着いたころ、ちょうど久美子とジスンとホンユの3人が手を繋いで店から出て来た。
3人の姿を見たチスンは、どうすることも出来ず遠目にただ見ているだけだった。
ジスン…
何でもっと早く気付けなかったんだ…
悔しくて力任せにハンドルを何度も叩いた。
その日の夜、チスンはホンユを呼び出した。
「急にどうしたんだよ」
「…話があって」
「怖い顔してどうした?話って?」
「ごめん。お前との約束…守れそうにない」
「約束って…もしかしてもう久美さんと会わないって約束のこと?」
「ああ。この前最後だからって言って会わせてくれたのに、ごめん」
「何でだよ‼︎お前が最後だって言ったから渋々会わせたのに!ダメだ!!」
「ホンユ…何でだよ」
「こっちが聞きたいよ‼︎」
「何で嘘ついた⁈」
「嘘って何だよ?」
「ジスンのことだよ」
「え…」
「お前の子供じゃないだろ」
「ま、まさか…この前久美さんと会った時、久美さんが何か言ったのか⁈」
「クミは何も言わない」
「じゃ…何で…?」
「クミは絶対に浮気なんかしないから」
「だから、俺と久美さんはお前たちが別れた後からだって言っただろ!」
「クミが俺を忘れきれなかったから、しばらくしてから付き合ったんだろ?」
「ああ、そうだよ!」
「ジスンは今年で4歳になるんだろ?俺たちは3年前に別れたんだよ‼︎」
ホンユはハッとする。
「どう考えても合わないだろ。俺とクミが付き合ってる間に、お前とクミに何かない限り…」
「ほっ、本当は…お前たちが別れてすぐ、俺と付き合う前に久美さんには彼氏がいたみたいで。その相手との子供…なんだ…」
ホンユはとっさに嘘をついた。
「…そんなに俺とクミを離れさせたいんだな」
「え…?」
「調べたんだ…」
「調べたって…?」
「DNA鑑定した。俺とジスンの」
「え…」
「俺との子供だったよ…」
ホンユは拳を握りしめた。
「何も知らずに俺は…」
「そうだよ!お前の子だよ!だから何だよ。ヨリ戻すつもり?久美さんはそんなこと望んでないし、ジスンは俺を父親だと思ってる」
「ホンユ!お前…」
「結局、久美さんは浮気するような人じゃないって信じてたって言いたいんだな。でももう遅いよ。俺、久美さんと結婚するから。久美さんとジスンは俺が幸せにする」
「クミとジスンが幸せならそれでいい…お前だったら安心出来るし。クミには俺が知ったことは言わないよ」
「…チスン」
「久美が俺とヨリ戻すつもりがないのは分かってる。だからジスンのことも言わなかったんだろうし。ホンユと一緒になって2人が幸せになるなら、それは何よりだし…ただそれまで、その日が来るまではクミとジスンには会うから」
ホンユはこれ以上、チスンに何を言っても無理だと思った。
「勝手にしろ」
「ああ」
2人の話は終わった。
焦ったホンユはそのまま久美子の家に向かった。
「ホンユさん、こんな時間に…」
「遅くにごめん。ジスンは?」
「もう寝てますよ」
「そっか。起こしちゃいけないからここで話すよ」
「何かあったんですか?」
「もう待てない。結婚しよう」
「え⁈ちょっ、ちょっと待って下さい‼︎いきなりどうしたんですか⁈」
「付き合ってもいないのに結婚なんて順番間違ってるけど、もう関係ない‼︎早く久美さんと一緒になりたい。早く俺のものにしたいんだ!」
「そ、そんな…いきなり言われても…」
「ジスンの為にも早く一緒になろう!」
「そ…そんな…」
「式は後から挙げて入籍だけでも」
「私の気持ちは?どうでもいいんですか⁈」
「…俺とは嫌?」
「そうじゃなくて…」
「俺は絶対に悲しませたりしない」
「…ホンユさん?」
「何?」
「少し考えさせて下さい」
久美子はそう言うと玄関を閉め、中に入って行った。
ホンユは久美子がチスンの元に行きそうで怖かった。
翌日、夕方になってもホンユは美容室に来なかった。
「ジスン、おとなしく座って絵本見ててねー」
「うん。ママがいい子にしてたらお兄ちゃんに会わせてくれるって言ったから、いい子にするんだー」
「あっ、そうなの?」
「そう言うしかなかったんです」
「ところで今日はもうホンユさん来ないのかな」
「…それが昨日…」
ホンユから言われたことを店長に話した。
「とうとうプロポーズしてきたのね‼︎でも入籍だけでも。って…何をそんなに急ぐんだろうね。クミちゃんはどうなの⁇」
「いきなり結婚は…」
「でも、もう付き合うも結婚するのも一緒じゃない?ジスンもいるし。私はいいと思うけどなぁ。なかなかホンユさんみたいな人いないよ。イケメンだし、お金には困らないし…子持ちでもいいって言ってるし」
「…よく考えてみます」
わかってる…
わかってるけど…
なかなか前に進めない久美子だった。
8
あなたにおすすめの小説
年下男子に追いかけられて極甘求婚されています
あさの紅茶
恋愛
◆結婚破棄され憂さ晴らしのために京都一人旅へ出かけた大野なぎさ(25)
「どいつもこいつもイチャイチャしやがって!ムカつくわー!お前ら全員幸せになりやがれ!」
◆年下幼なじみで今は京都の大学にいる富田潤(20)
「京都案内しようか?今どこ?」
再会した幼なじみである潤は実は子どもの頃からなぎさのことが好きで、このチャンスを逃すまいと猛アプローチをかける。
「俺はもう子供じゃない。俺についてきて、なぎ」
「そんなこと言って、後悔しても知らないよ?」
エモパレ ―感情が見えるぽっちゃりな私が、オジさま副局長を無自覚なまま搦め捕るまで―
久乃亜
恋愛
前世の記憶を持つぽっちゃり看板娘ハルネは、
人の「感情の色」が視える魔眼『エモパレ』と、持ち前の経営手腕で、実家の香房を切り盛りしていた。
そんなある日、とある事件から、
オジさま――第二調査局副局長、通称「鬼のヴァルグレイ」に命を救われ、
ハルネの理想のオジさま像に、一瞬で恋に落ちる。
けれど、彼がハルネに告げたのは、愛の言葉ではなく
――理不尽な『営業停止』の通告だった!?
納得いかないハルネは、自らの足と異能で犯人を追い詰めることを決意する。
冷徹で無表情な彼だが、なぜかハルネに同行し、過保護なまでに手伝ってくれて……?
「人生2週目」のポジティブぽっちゃり娘と、不器用な冷徹最強騎士が織りなす、
お仕事×捜査×じれじれの初恋溺愛ファンタジー!
※ 第1部(1~3章)完結済み。 毎日投稿中
課長のケーキは甘い包囲網
花里 美佐
恋愛
田崎すみれ 二十二歳 料亭の娘だが、自分は料理が全くできない負い目がある。
えくぼの見える笑顔が可愛い、ケーキが大好きな女子。
×
沢島 誠司 三十三歳 洋菓子メーカー人事総務課長。笑わない鬼課長だった。
実は四年前まで商品開発担当パティシエだった。
大好きな洋菓子メーカーに就職したすみれ。
面接官だった彼が上司となった。
しかも、彼は面接に来る前からすみれを知っていた。
彼女のいつも買うケーキは、彼にとって重要な意味を持っていたからだ。
心に傷を持つヒーローとコンプレックス持ちのヒロインの恋(。・ω・。)ノ♡
一億円の花嫁
藤谷 郁
恋愛
奈々子は家族の中の落ちこぼれ。
父親がすすめる縁談を断り切れず、望まぬ結婚をすることになった。
もうすぐ自由が無くなる。せめて最後に、思いきり贅沢な時間を過ごそう。
「きっと、素晴らしい旅になる」
ずっと憧れていた高級ホテルに到着し、わくわくする奈々子だが……
幸か不幸か!?
思いもよらぬ、運命の出会いが待っていた。
※エブリスタさまにも掲載
春の雨はあたたかいー家出JKがオッサンの嫁になって女子大生になるまでのお話
登夢
恋愛
春の雨の夜に出会った訳あり家出JKと真面目な独身サラリーマンの1年間の同居生活を綴ったラブストーリーです。私は家出JKで春の雨の日の夜に駅前にいたところオッサンに拾われて家に連れ帰ってもらった。家出の訳を聞いたオッサンは、自分と同じに境遇に同情して私を同居させてくれた。同居の代わりに私は家事を引き受けることにしたが、真面目なオッサンは私を抱こうとしなかった。18歳になったときオッサンにプロポーズされる。
エリート警察官の溺愛は甘く切ない
日下奈緒
恋愛
親が警察官の紗良は、30歳にもなって独身なんてと親に責められる。
両親の勧めで、警察官とお見合いする事になったのだが、それは跡継ぎを産んで欲しいという、政略結婚で⁉
恋は襟を正してから-鬼上司の不器用な愛-
プリオネ
恋愛
せっかくホワイト企業に転職したのに、配属先は「漆黒」と噂される第一営業所だった芦尾梨子。待ち受けていたのは、大勢の前で怒鳴りつけてくるような鬼上司、獄谷衿。だが梨子には、前職で培ったパワハラ耐性と、ある"処世術"があった。2つの武器を手に、梨子は彼の厳しい指導にもたくましく食らいついていった。
ある日、梨子は獄谷に叱責された直後に彼自身のミスに気付く。助け舟を出すも、まさかのダブルミスで恥の上塗りをさせてしまう。責任を感じる梨子だったが、獄谷は意外な反応を見せた。そしてそれを境に、彼の態度が柔らかくなり始める。その不器用すぎるアプローチに、梨子も次第に惹かれていくのであった──。
恋心を隠してるけど全部滲み出ちゃってる系鬼上司と、全部気付いてるけど部下として接する新入社員が織りなす、じれじれオフィスラブ。
溺愛ダーリンと逆シークレットベビー
吉野葉月
恋愛
同棲している婚約者のモラハラに悩む優月は、ある日、通院している病院で大学時代の同級生の頼久と再会する。
立派な社会人となっていた彼に見惚れる優月だったが、彼は一児の父になっていた。しかも優月との子どもを一人で育てるシングルファザー。
優月はモラハラから抜け出すことができるのか、そして子どもっていったいどういうことなのか!?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる