真実【完結】

真凛 桃

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42話 気まずい食事会

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月曜日。ヒョルビとシナとジスはチスンの家に集まった。

ヒョルビとシナを生で見た久美子は緊張で固まっていた。


「初めまして。ヒョルビです」

「初めまして。シナです」

「…ジスと言います」

「は、初めまして。久美子と言います」

「えっ、日本の方なの?」

「はっ、はい…」


挨拶が終わり、5人は飲み始めた。


「いやー、チスンの彼女が日本人だったとはな~」

「出会い方は説明が長くなるから言わないよ」

「うわー♡聞きたいけど…でも、お2人すごくお似合いです‼︎」

「ありがとうございます」

「しかもキレイな方だし!いやー、それにしてもチスンがねー」

「ドラマ撮影が終わって落ち着いたら会見するから、それまで絶対に誰にも言うなよ」

「当たり前じゃん。私たちを信用して彼女に会わせてくれたんだから‼︎」

すると、今まで黙っていたジスが立ち上がった。

「ジスさん、どうしたんだ⁈」

「あの…お手洗い借りていいですか?」

「うん。あっち真っ直ぐ行って右にあるから」

「わかりました」

皆んなの会話が面白くないジスは、気持ちを落ち着かせようとお手洗いに行った。


「ジスさん、緊張してるのかな~」

「新人さん…なんですよね?」

「そうですよ」


きっと脇役なんだろうな…


「そういえば、来週は釜山で撮影だから1泊するみたいだよ」

「本当か?聞いてない…」

「私もまだ聞いてない」

チスンは久美子を見る。

「私なら大丈夫だよ」

「チスンの方が離れたくないんだろ?」

「…ああ」


チスン…かわいい♡


「そういえばジスさん遅くない?」

「そうだな。体調悪いのかな?」

「私、ちょっと見て来ます!」


久美子はトイレのドアをノックするが反応がない。

「ジスさん?開けますよ!」

心配になった久美子はトイレのドアを開けてみたが、中にジスはいなかった。 


え?何で?


久美子は部屋のドアをひとつひとつ開けて確かめる。
ジスは寝室にいた。

「え⁈ジスさん…どうしてここに⁈」

「す、すみません!迷っちゃって…」

そう言うとジスは慌ててリビングに戻って行った。


迷ったって…なぜ寝室に…?


「ジスさん遅かったね。体調悪いの?」

「大丈夫です‼︎さぁ飲もうっと」
 

久美子はモヤモヤしていた。

「クミ、どうした?」

「…え?…何でもない…」


「ねぇ、ジスさんは泊まりがけで撮影あるの知ってた?」

「泊まりがけで⁈知らなかったですぅ♡」 

「嬉しそうね。でも遊びに行くんじゃないからね」

「は、はい…」

「シナはジスさんにトゲがあるね」

「そぉ?」


だって…こういう裏表がありそうな女、嫌いなんだもん…



ドラマの話はしない約束だったはずなのに、ジスが口を開く。

「彼女さんは私たちがどんな役をするかご存知ですか?」

「え…?」

「ジスさん!!」

「チ、チスン!この部屋寒くないか⁈」

「ご、ごめん!温度上げるよっ」


話をそらそうとしているチスンたちに、久美子は逆に怪しい感じがした。


「知りません!知りたいです」

「別に知らなくていいよ」

「そうですよー」

「当然シナさんがヒロイン役ですよね?チスンの相手ですか?」

「シナは俺の相手役ですよ」

「ヒョルビさんのお相手なんですね」


チスンの相手役がこの場にいなくて久美子はホッとした。


「ヒロイン役は私ですよ」

「え…ジスさんが?チスンの相手?」

「ジスさん!酔ってるでしょ!」

「な、何言ってるんだよ」

「もうこの話はやめよう」

「私てっきり…ジスさんは新人だからヒロイン役だとは思わなかったです」

「え?どうしてですか?失礼ですよ!」

「すみません…」


じゃあ、ジスさんとチスンはキスしてるんだ…


久美子はチスンの相手役がジスだということが、なぜか気に入らなかった。


「彼女さんの気持ちも分かりますよ。チスンさんとキスした相手が目の前にいるんですから、いい気はしないですよね。ただ、ドラマですから…演技だし安心して下さい」


久美子はうつむき黙っていた。

そして、その場の空気が重くなった。


「私…そろそろ帰ろうかな。明日も撮影だし」

「そうだね」

「ジスさんも、ほら立って!」

「あ、はいっ。彼女さん…何か私のせいで気分悪くさせてしまったんなら、ごめんなさい」

「…いえ、大丈夫です」

「チスン、じゃまた明日!久美子さん、お邪魔しました!」

「はい」

「久美子さん、またゆっくり飲みましょうね」

「はい。是非!」

「じゃあ、また明日。気をつけて!」
 


3人が帰ると、チスンは久美子を抱きしめた。

「クミ、ごめん。気分悪くしたよね…」

「…私、ジスさん苦手かも。ごめん…」

「もう連れて来ないよ…」

「チスン、本当に過激なラブシーンはないんだよね?キスだって軽くだよね?」

「う、うん」

「…チスンは本当に嘘つけないね」

「…クミ…ベッドシーンとかはない。ただ、この前のキスシーンは軽くするつもりが…本当ごめん」


久美子は涙が出てきた。

「クミ…」
 

本当、チスンは正直な人だから…

「演技とはいえ、チスンとキスしたら誰だってチスンのこと好きになると思う」

「え?何だよそれ。そんなことない!」

「ジスさん、チスンに気がありそうだった…」

「クミ…考え過ぎだよ」

「浮気しないでね」

「浮気?そんな、するわけない!!」

「もし、したら…?」

「クミ…俺が浮気すると思う?」

「信じてるけど、チスン優しいから心配なの…」

「…心配させてごめん。でも俺はクミだけだから、もっと信じて」

「わかってる…わかってるけど…」



チスンの仕事柄、仕方がないことはわかってる。
それをわかった上で付き合ったし、チスンは浮気をするような人じゃないこともよくわかってる…

ただ、どうしてもジスのことが引っかかってる久美子だった。



チスンが撮影で釜山に泊まる日がきた。


「夜、電話するから」

「うん。絶対だよ!」

「必ずするよ!」






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