真実【完結】

真凛 桃

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65話 迷いなき決断

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3日後、マネージャーの携帯に嬉しい知らせが届いた。

マネージャーは慌てて、チスンの部屋のチャイムを何度も鳴らす。


「チスンさんっ‼︎チスンさんっ‼︎」


チスンがドアを開けると、マネージャーはチスンに抱きつく。


「ちょっ、ちょっと‼︎何だよ‼︎」

「チスンさん!見つかりましたよ‼︎」

「え?何が?」

「手術してくれるとこです‼︎」

「ほ、本当⁈」

「はいっ!直接話しをして決めたいようなので、早速今日、病院に行きましょう!」

「病院はどこ?こっちじゃないよね⁈」

「それが嬉しいことにこっちです。ここから車で2時間位の所です。本当によかった‼︎」

「そっか‼︎ありがとう、マネージャー!」

「私は諦めないって言ったでしょ!」

「本当、感謝するよ!」

「さっ、準備して行きましょう!」

「じゃ、久々にスーツ着ようかな。ハハ…」


マネージャーのおかげでチスンは生きる希望ができ、久しぶりに笑顔になれた。


車で病院に向かった。


これで…手術上手くいって生きられるなら、クミとジスンの元へ戻れる…


チスンは期待が膨らんだ。


病院に着くと、2人は先生の部屋に行った。


「初めまして。えっと…こちらの方がチスンさんですか?」

「はい、そうです」

「先生、本当に手術は可能なんですよね?」

「はい」

「ありがとうございます‼︎」


チスンとマネージャーは顔を見合わせ、微笑んだ。


「ただ、これはチスンさんご本人に決めてもらわないといけないんですが…」

「はい…」

「チスンさんの病気の手術はかなり難しいので、他の病院にも依頼されたと思いますが…手術を引き受けるとこはなかったはずです」

「はい。でもこちらでは手術は可能なんでしょ?」

「出来ます。今までチスンさんと同じ病気でステージも同じ人を4人手術しました。1人は手術成功して、今は元気に過ごしています」

「残りの3人は…?」

「…手術中に亡くなりました。それだけ難しい手術ですので、チスンさんに手術を受けるか受けないかを決めて欲しいんです」

「そっ、そんな…」

「私も手術は成功させたいんですが、こればかりは保証出来ませんので…決めて下さい」

「受けます」

「チスンさん…」

「本当にいいんですね?」

「はい。お願いします」


チスンは迷うことなく答えた。


「チスンさん、でも4人中3人が亡くなってるんですよ。もうちょっと考えた方が…」

「でも1人は生きてる。それにもう考える時間なんてない」

「全力を尽くします。手術は早くて明後日できますが…」

「じゃ、明後日お願いします」

「わかりました」


そして手続きを済ませ、マネージャーはチスンを連れて戻った。


「よかった…って、言っていいんですかね…?」

「どっちみち、あと何ヶ月生きられるか分からない。それだったら手術に賭けるしかないし、もし手術中に亡くなったとしても悔いはないよ」

「チスンさん…」

「明後日か…心の準備をしておかないとな…」

「きっと大丈夫ですよ‼︎必ず成功します!だって、チスンさんですよ‼︎」

「マネージャー、ありがとう。俺の為に本当に感謝してるよ」


するとチスンは引き出しから封筒を取り出した。


「それと、これ」

「何ですか?小切手なら受け取りませんよ!」

「違うよ。本当はもうちょっと先に渡すつもりだったけど」


マネージャーが手にした物は、遺書だった。


「こ…これ…」

「明後日、もし俺が目覚めなければ…これがマネージャー、あとこっちはホンユ。これは俺の両親に渡しといて。前もって準備だけはしてたんだ…」

「渡すことはないと信じてます」

「…そうだね」

「あの…久美子さんには?」

「クミには…書けなかった。もし万が一のことがあっても、クミには知らせないで…」

「…わかりました」



チスンはこの日、久美子との思い出を振り返っていた。



クミ…
俺はこの手術に賭けるよ…
生きてクミの元に戻りたい…



もし、生きることが出来なくても…

永遠に愛してる…


















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