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66話 悪夢
しおりを挟む4ヶ月後。
久美子は臨月に入った。
いつでも病院に連れて行けるように、毎日ホンユが様子を見に来ていた。
3人で朝食をとっていると、久美子がお手洗いに立った。
するとジスンがホンユに小声で話す。
「お兄ちゃん…パパまだ帰ってこないの?」
「えっ…そ、そうだね。まだ忙しくて帰って来れないと思うよ…」
「ママ、元気なふりしてるけど、毎日夜寝るとき泣いてるよ…」
「そ、そうなの?」
「あーあー、早くパパに会いたいなぁ」
チスンはどうしてるんだ…
連絡も全くないし…
まさか…
ホンユは嫌な予感がした。
久美子が戻ってくると、ホンユは久美子をじっと見つめていた。
「ど、どうしました?」
「今日、泊まっていい?俺ソファーで寝るから」
「別に…いいですけど…」
「やった~!夜、お兄ちゃんとゲームしよー」
「うん、そうしよう!」
毎晩、久美子が泣いていると聞いたホンユは久美子のことが心配だった。
夜になり、久美子とジスンは寝室で、ホンユはソファーで寝た。
深夜2時過ぎ、久美子はうなされていた。
「チスン…チスン…イヤーッ」
久美子はとっさに起き上がった。
久美子の声で目が覚めたホンユは、慌てて寝室に行った。
「久美さんっ、大丈夫⁈」
「チスンが…チスンが…」
チスンが亡くなる夢を見た久美子は泣き叫ぶ。
ホンユは思わず久美子を抱きしめた。
「大丈夫…大丈夫だから」
「チスンは大丈夫ですよね⁈なんで連絡ないんですか⁈」
「…久美さん。ちょっと落ち着こう…」
ホンユは久美子を落ち着かせ、2人はソファーに座った。
「少しは落ち着いた?」
「…はい。すみませんでした」
「よくうなされるの?」
「…最近特に…嫌な夢を見ます。チスンの病気も1年近く経ったので、すごく不安で…」
「チスンに、もし何かあったとしても知らせは来ないと思う…その為に韓国離れたんだから」
「もしこのまま、何も連絡なかったら…」
「なかったら?」
「考えたくもないけど…そう思うしかないんですよね…」
「そうだね…その時は受け入れるしかない…」
「チスンがこの世からいなくなるなんて…」
久美子は再び涙が出てきた。
「久美さん…お腹の子の為にもしっかりしなきゃ。もうすぐ生まれてくるのに。それに…チスンの子だろ」
「…はい」
「それに…久美さんは知らないけど、実はチスンがアメリカに行く日、ジスンを空港に連れて来るように頼まれて…会わせたんだ」
「え…ジスンを?」
「チスン、ジスンに言ってたよ。久美さんを支えてって。約束してた」
「…ジスン。だから強くなったんだ…」
「だからジスンの為にも久美さん…チスンのことを忘れろとは言わないけど、もう期待するのはどうかと思う…」
そうだよね…
ジスンとこの子の為にも…
私がずっと引きずってたら、誰の為にもならない…
久美子は自分のことしか考えていなかったことに気づいた。
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