72 / 76
72話 新しい家族
しおりを挟む久美子は安心して眠りについた。
チスンは1秒足りとも久美子から離れず、そばにいた。
病室のドアをノックする音が聞こえると、看護師が赤ちゃんを抱いて入って来た。
「お母さん、眠ってらっしゃいますね。赤ちゃん抱っこされますか?」
赤ちゃんを見たチスンは、あまりの可愛さに目が釘付けになっていた。
「チスンさん?」
「え?」
「フフ…抱っこされますか?」
「はいっ」
「はい、頭をしっかり支えてあげて下さいね」
チスンは初めて赤ちゃんを抱っこした。
「目鼻立ちハッキリして本当に可愛いですよね」
「…はい」
手も足も小さく、あまりの可愛さにチスンは感動した。
「名前は決めてありますか?」
「はい。ミスンです」
前に久美子と、女の子だったらスンミで男の子だったらミスンにしようと決めたことを思い出した。
「ミスンくん…いいお名前ですね!あっ、それと、サインとか…お願い出来たりしますか…?」
「アハハ、いいですよ」
「やった~!では後ほど色紙とペンを持って来ますっ」
翌朝、久美子が目を覚ますと久美子の手を握りしめたままチスンが寝ていた。
安心した様子でチスンの頭を撫でると目を覚ました。
「あっ、ごめん。起こしちゃった?」
「ううん。いつの間に寝ちゃったんだろ…」
「ねぇ、テーブルの上にある大量の色紙は何なの?」
「あ、サイン頼まれて…」
「で?全部書いたの?」
「うん」
「フフ…あんなに?」
久美子の退院の日になり、2人はミスンと一緒にホンユとジスンが待つマンションへ帰った。
「ただいまー」
玄関を開けた瞬間、ジスンが駆け寄って来た。
「パパ、ママ、おかえりー!わぁー、赤ちゃんだぁ‼︎」
「おかえり」
「ホンユさん、ジスン見てくれくれてありがとうございます」
「全然!それにしても赤ちゃん小さいな~」
「手もすごく小さいねっ」
「よく見ると、チスンに似てるな~。目元がそっくり。よかったね、ジスン」
「うん!」
「ホンユ、まだゆっくりして行くだろ?」
「いや、昼から仕事が入ってるからもう行くよ」
「そっか…」
「チスンは仕事どうするの?復帰するんだろ?」
「うん。少し休んで来月から復帰するつもり」
「そっか。お互い頑張ろうな」
「うん。ありがとう!」
ホンユは帰って行った。
「クミ、俺ちょっと着替えて来るよ」
「うん」
あ…
久美子はチスンの物を処分したことを思い出した。
チスンは引きつった顔をして部屋から出て来た。
「俺、ちょっと買い物行って来るねっ」
「チスン、ごめん。整理したの忘れてた」
「ううん、いいんだ。他に処分したのは?」
「…歯ブラシ、靴下、下着、それと…」
「わかった…もういいよ。じゃ、ちょっと行って来るね」
「パパ、ちゃんと帰って来てね」
「すぐ帰って来るよ」
それから2時間後、チスンは大量の紙袋を抱えて帰って来た。
「チ、チスン…何をこんなに買って来たの⁈」
「これとこれは俺ので…こっちはジスンの服、こっちはミスンの服」
紙袋の中には、服の他にも靴やおもちゃがたくさん入っていた。
「かっわいい~!パパー、ありがとう‼︎」
「ジスン、気に入った?」
「うん!」
「よかった。ミスンの分はもうちょっと大きくなってからだな」
「ありがとう。ジスン、よかったねー」
「うん。パパ大好き!」
久美子の分も買っていたが、敢えてまだ渡さなかった。
「ミスンは寝てるのか…可愛いなー」
「可愛いよね」
3人はしばらくミスンに見惚れていた。
それから3日後。
チスンは、ちょっとマネージャーに用があるからと言って朝から出かけた。
夕方前、チャイムが鳴り久美子が玄関を開けると、ホンユと店長が立っていた。
7
あなたにおすすめの小説
年下男子に追いかけられて極甘求婚されています
あさの紅茶
恋愛
◆結婚破棄され憂さ晴らしのために京都一人旅へ出かけた大野なぎさ(25)
「どいつもこいつもイチャイチャしやがって!ムカつくわー!お前ら全員幸せになりやがれ!」
◆年下幼なじみで今は京都の大学にいる富田潤(20)
「京都案内しようか?今どこ?」
再会した幼なじみである潤は実は子どもの頃からなぎさのことが好きで、このチャンスを逃すまいと猛アプローチをかける。
「俺はもう子供じゃない。俺についてきて、なぎ」
「そんなこと言って、後悔しても知らないよ?」
エモパレ ―感情が見えるぽっちゃりな私が、オジさま副局長を無自覚なまま搦め捕るまで―
久乃亜
恋愛
前世の記憶を持つぽっちゃり看板娘ハルネは、
人の「感情の色」が視える魔眼『エモパレ』と、持ち前の経営手腕で、実家の香房を切り盛りしていた。
そんなある日、とある事件から、
オジさま――第二調査局副局長、通称「鬼のヴァルグレイ」に命を救われ、
ハルネの理想のオジさま像に、一瞬で恋に落ちる。
けれど、彼がハルネに告げたのは、愛の言葉ではなく
――理不尽な『営業停止』の通告だった!?
納得いかないハルネは、自らの足と異能で犯人を追い詰めることを決意する。
冷徹で無表情な彼だが、なぜかハルネに同行し、過保護なまでに手伝ってくれて……?
「人生2週目」のポジティブぽっちゃり娘と、不器用な冷徹最強騎士が織りなす、
お仕事×捜査×じれじれの初恋溺愛ファンタジー!
※ 第1部(1~3章)完結済み。 毎日投稿中
課長のケーキは甘い包囲網
花里 美佐
恋愛
田崎すみれ 二十二歳 料亭の娘だが、自分は料理が全くできない負い目がある。
えくぼの見える笑顔が可愛い、ケーキが大好きな女子。
×
沢島 誠司 三十三歳 洋菓子メーカー人事総務課長。笑わない鬼課長だった。
実は四年前まで商品開発担当パティシエだった。
大好きな洋菓子メーカーに就職したすみれ。
面接官だった彼が上司となった。
しかも、彼は面接に来る前からすみれを知っていた。
彼女のいつも買うケーキは、彼にとって重要な意味を持っていたからだ。
心に傷を持つヒーローとコンプレックス持ちのヒロインの恋(。・ω・。)ノ♡
一億円の花嫁
藤谷 郁
恋愛
奈々子は家族の中の落ちこぼれ。
父親がすすめる縁談を断り切れず、望まぬ結婚をすることになった。
もうすぐ自由が無くなる。せめて最後に、思いきり贅沢な時間を過ごそう。
「きっと、素晴らしい旅になる」
ずっと憧れていた高級ホテルに到着し、わくわくする奈々子だが……
幸か不幸か!?
思いもよらぬ、運命の出会いが待っていた。
※エブリスタさまにも掲載
春の雨はあたたかいー家出JKがオッサンの嫁になって女子大生になるまでのお話
登夢
恋愛
春の雨の夜に出会った訳あり家出JKと真面目な独身サラリーマンの1年間の同居生活を綴ったラブストーリーです。私は家出JKで春の雨の日の夜に駅前にいたところオッサンに拾われて家に連れ帰ってもらった。家出の訳を聞いたオッサンは、自分と同じに境遇に同情して私を同居させてくれた。同居の代わりに私は家事を引き受けることにしたが、真面目なオッサンは私を抱こうとしなかった。18歳になったときオッサンにプロポーズされる。
エリート警察官の溺愛は甘く切ない
日下奈緒
恋愛
親が警察官の紗良は、30歳にもなって独身なんてと親に責められる。
両親の勧めで、警察官とお見合いする事になったのだが、それは跡継ぎを産んで欲しいという、政略結婚で⁉
恋は襟を正してから-鬼上司の不器用な愛-
プリオネ
恋愛
せっかくホワイト企業に転職したのに、配属先は「漆黒」と噂される第一営業所だった芦尾梨子。待ち受けていたのは、大勢の前で怒鳴りつけてくるような鬼上司、獄谷衿。だが梨子には、前職で培ったパワハラ耐性と、ある"処世術"があった。2つの武器を手に、梨子は彼の厳しい指導にもたくましく食らいついていった。
ある日、梨子は獄谷に叱責された直後に彼自身のミスに気付く。助け舟を出すも、まさかのダブルミスで恥の上塗りをさせてしまう。責任を感じる梨子だったが、獄谷は意外な反応を見せた。そしてそれを境に、彼の態度が柔らかくなり始める。その不器用すぎるアプローチに、梨子も次第に惹かれていくのであった──。
恋心を隠してるけど全部滲み出ちゃってる系鬼上司と、全部気付いてるけど部下として接する新入社員が織りなす、じれじれオフィスラブ。
溺愛ダーリンと逆シークレットベビー
吉野葉月
恋愛
同棲している婚約者のモラハラに悩む優月は、ある日、通院している病院で大学時代の同級生の頼久と再会する。
立派な社会人となっていた彼に見惚れる優月だったが、彼は一児の父になっていた。しかも優月との子どもを一人で育てるシングルファザー。
優月はモラハラから抜け出すことができるのか、そして子どもっていったいどういうことなのか!?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる