プラグマ 〜永続的な愛〜

真凛 桃

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第1章

12話 涙の意味

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「ヤベッ、お腹がキツくなってきたっ…ちょっとベルト緩めていいですか?」

「はっ、はい…ハハ」


シュンはスミを笑わせようと必死だった。


「ワイン空きましたね。もう1本飲みましょっか」

「シュンさんの奥さんは幸せですね」

「え…」

「ケンカとかしないでしょ?シュンさん優しいし」

「、、、」

「今頃…女とホテルに居るんです」

「え?」

「うちの主人…浮気してるんです」

「まっ、まさか…スミさんの誕生日なのに…」

「そんな人なんです…何か笑っちゃいますよね…ハハ…信じてたのに…」

「考え過ぎじゃないですか?」

「見てはいけないとわかってながら、携帯を見てしまったんです…そしたら…そしたら…」


シュンは拳を握りしめ裕二に対して怒りが込み上げていた。


「スミさん、そろそろ出ましょうか」

「…はい」


シュンは会計を済ませ2人は店を出た。


「ここを上がった所に、ちょっとした公園があるんですけど行きませんか?」

「はい…」


少し坂を上り公園に着いた2人はベンチに座った。


「ここなら誰も居ないし、思い切り泣いていいですよ」


え…だからここに?


「辛い時は思い切り泣いた方がいい。我慢しないで下さい」


スミは一気に色んな事が込み上げ、泣いた。
シュンは何も言わず下を向いていた。
しばらく思い切り泣き続けたスミは、涙が止まった。


「スッキリしました?」

「…はい。すみません。見苦しいとこ見せてしまって」

「大丈夫ですよ…実は僕のとこも色々あるんです。だから真っ直ぐ帰りたくない時は散歩とかして気持ちを切り替えて帰るようにしてます」

「え…そうだったんですか」


シュンさんは奥さんと上手くいってると思ってた…


「何かあればいつでも話し相手ぐらいなりますよ。番号交換したいけど、お互い結婚してるから立場上それは出来ませんが…」

「…そうですね」

「ご主人の携帯見たって言いましたよね」

「はい…」

「初めて見たんでしょ?」

「そうです。人の携帯なんて見たらダメですよね」

「僕の妻は毎日、僕の携帯見てますよ。携帯見られてるの気付いてるって、妻は知らないけど」

「え…何で?シュンさんは何もやましい事ないでしょ?」

「何もないですよ。だから別に見られてもいいけど、僕に隠れて見てるの見たら気分は良くないです」

「…ですよね」


シュンは遠くを見ながら話していた。


「ご主人とは恋愛結婚ですか?」

「…はい」

「大丈夫ですよ。ご主人はそのうちスミさんの大切さをわかってくれると思います。だから今は辛いかも知れないけど、前向きにいきましょう。恋人じゃなく結婚してるんですからね…」

「シュンさん…」


シュンさんと居るとすごく気持ちが落ち着く…


「シュンさんが旦那さんなら…」

「え?」


よかったのに…


「いいえ、何でもないです」

「もうこんな時間ですね。そろそろ帰りましょうか。ご主人、帰ってるかもですよ」

「…はい」

「スミさん」

「え?」

「素敵な年になるといいですね」

「ありがとうございます…」


スミは最後は嬉し涙が出てきた。


そうして2人は、それぞれの家に帰った。






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