プラグマ 〜永続的な愛〜【完結】

真凛 桃

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第1章

13話 目撃

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スミが家に着くと裕二が帰っていた。


「スミ!こんな時間までどこに行ってたんだよ!」


裕二の顔を見たくなかったけど、シュンの言葉を思い出し我慢した。


「ちょっと外の空気当たりに…裕二はいつ帰ったの?」

「俺?1時間前くらいだけど」

「…そう」


嘘つき…スーツのままだし…
帰って来たばかりでしょ…


「俺、シャワー浴びて来る」

「うん」

「あ‼︎急だけど、明後日の土曜日は家族同伴で会社の別荘に一泊で行くから」

「え…じゃあ私も?」

「うん。あと部下が3組来るから」

「…わかった」


スミはイライラしながら裕二の上着を手に取ると、また香水の匂いがプーンとした。


この匂い…この前の匂いと同じ…
ラインの相手…ATって誰なの…

スミは上着をハンガーに掛けずにその場に脱げ捨て、ベッドに入った。


しばらくしてシャワーを浴び終えた裕二が寝室に入って来た。


「寝るのか?おやすみ」

「…おやすみ」


おめでとうの一言もない…
私の誕生日も忘れてるんだ…



土曜日になり、スミと裕二は3家族と会社の別荘に行った。
買い出しをして夕方からバーベキューをした。
会社の部下たちはすごく飲む人ばかりで、次々とお酒を空にしていた。


「社長、今日はペース遅いですね~」

「そぉか?飲んでるよ」

「奥さんと夜、楽しむんでしょ~?」

「あっ、そういう事か。それにしても奥さんきれいですよね~」

「お前ら何言ってるんだよっ」


スミは部下の奥さんたちと座って食べていたが、裕二たちの会話が聞こえてきて呆れていた。


「それにしても男性陣はよく飲んでますね~」

「本当、私たちも飲みましょっ」

「社長の奥様は次何飲みます?持って来ますよ」

「大丈夫ですよ。ありがとうございます」

「そう言わずに、じゃこれどうぞ」


奥さんの1人がスミにビールを渡した。


「あっ、ど、どうも」


奥さんたちがスミに気を遣っているのがわかった。


「ミク、よく噛んで食べなさいよ」

「はぁーい」

「子供さん、可愛いですねっ」

「あ、ありがとうございます。でも家ではすごいワガママで…」

「そうなんですね。ミクちゃん?いくつ?」

「5才!」

「5才なのぉ?いい子だね」


子供は照れながら父親のとこへ走って行った。


「お子さんは作らないんですか?」

「…そ、そうですね…」

「可愛いですよ、子供は」


裕二と結婚して3年目になるけど…
子供が居ない私たちのことを周りは気になるんだろうな…

すると、若い女性が男性陣の所に来た。


「えっ、た、田中さん」

「どうしたんですか⁈こんな所まで⁈」

「社長に仕事の資料を渡し忘れてたので、お持ちしました」

「うわー、本当に仕事熱心ですねー」

「大事な資料ですから。はい、社長」

「あっ、ありがとう」


するとその女性はスミたちの所へ行った。


「初めまして。私、社長の秘書をしております田中アキと申します」


秘書…か…


「ここまで仕事の用で来られるなんて熱心な方ですね」

「仕事ですから。あの…社長の奥様は?」

「私ですけど…」


アキはスミのことを上から下まで見た。


「主人がお世話になってます」

「いいえ。こちらこそ。では私はこれで失礼します」


アキはスミに微笑み、裕二の所へ行った。

裕二はアキを少し離れた場所へ連れて行った。


「おいっ、何で来たんだよ」

「驚いた?」

「当たり前だろ」

「だって会いたくなったんだもん」

「アキ…そんなこと言われたら抱きたくなるだろ」

「それに、奥さん見てみたかったし」

「もう、いいって」

「案外きれいな奥さんでびっくりしたけど、私の方が勝ってるわね」

「当たり前じゃないか。アキが1番だよ」

「じゃ…私行くね」

「車だよね?もうすぐバーベキューも終わるから、部屋に戻って妻が寝たら出て来るよ。待ってて」

「大丈夫なの?」

「少しの時間なら」

「わかった。待ってる」


スミはアキと裕二が話してるのを見るが、仕事の話だと思い気にしなかった。


バーベキューも終わり、各自部屋へ戻った。
スミと裕二の部屋は2階の1番広い部屋だ。


「スミ、疲れただろ?明日も早いし寝よう」

「うん」


電気を消し、2人は眠った。

…と思っていた。


15分後


「スミ…もう寝た?」


スミは返事をしなかった。
すると裕二は静かにドアを開け出て行った。


え…こんな時間にどこに行ったの?
トイレ?

裕二はなかなか戻って来ない。
スミは起き上がり、カーテンを開けて外を見た。
すると、男女が抱き合いキスをしていた。


誰?部下の人…?


スミは目を擦りよく見た。
裕二だった。


ゆ、裕二⁈えっ⁈あの人は…秘書⁈
た…確かに秘書だ‼︎
えっ、裕二の浮気相手って…
秘書だったの⁈
し…信じられない‼︎

そこでスミは納得した。
ATのイニシャルが田中アキだった事を…


20分後、裕二は部屋に戻って来て何事もなかったかの様に寝てしまった。

結局、朝まで眠れなかったスミは、早朝タクシーを呼び裕二を起こさず帰った。


もう裕二の顔見たくない…
秘書とできてるなんて、どうかしてる‼︎
このまま裕二と一緒に居ても…

スミはシュンが言っていたことを思い出した。
『いつかスミさんの大切さを分かってくれると思います。前向きに行きましょう…』


シュンさん…私どうしたらいいの…


スミは携帯で色々検索しながら考えていた。






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