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第2章
92話 新たな遺言書
しおりを挟むそれから2日後、いまだにスミのことを引きずっているシュンだったが仕事だけは疎かにしなかった。
その反動で仕事が終わると一気に力が抜け何もする気が起こらなかった。
19時過ぎにシュンが帰ろうとすると専務から電話がかかってきた。
「もしもし社長」
「…うん」
「今から柳本グループに来れますか?」
「え?今から?」
「ロッカーを見つけたんです‼︎S-0123と書いてあるからきっとこれです!」
「あいつの部屋か?」
「いいえ別の部署の使用してない部屋のロッカーです。社長今鍵持ってます?」
「うん」
「柳本はもう帰りましたので来て下さい」
「…わかった」
シュンは柳本グループに向かった。
到着すると入り口で専務が待っていた。
「こちらです」
シュンは専務に連れられ中へ入って行った。
「社長…どうかされました?」
「え、どうして?」
「何か電話の時もそうでしたけど元気がないような…」
「それが…スミと柳本やり直す事になったみたいなんだ」
「えっ…冗談でしょ?まさかぁ」
「信じたくないけど」
「ど…どうしてですか⁈そんなのダメですよ!スミさんは何て⁈」
「スミとは話してない。会ってくれないんだ。あいつが会社に来て…」
「嘘ですよ!柳本の言う事なんて嘘に決まってます。またスミさん何かされてるんじゃ…」
「そう思ったけど…スミの母親が会いに行ったらしくて、スミは幸せそうにしてたみたい。お母さんは嘘つくような人じゃない…」
「…信じられない…どうして急に…あんなに社長のこと想っていたのに」
「専務、もう…うちに戻って来いよ。ここに居る必要ない」
「そ…そうですね。近いうちにそうします。ただ…ロッカーに何が入っているかだけ確かめましょう」
ロッカーの前で2人は立ち止まった。
あまり気が乗らないシュンだったが鍵を差し込んで扉を開けた。
中には会社の書類や資料が入っていた。
「何でこんなとこに書類がたくさん入ってるんだ…特に必要ない書類なのに…」
シュンがゴソゴソ探していると手が止まった。
「こ…これ…」
「何ですか?それ」
「遺言書?」
シュンが白い封筒を手に取ると表には遺言書と書いてあった。
「どうして遺言書がこんな所に⁈誰の遺言書ですか?」
「…わからない」
「封が閉じてありますね…どうします?」
シュンはしばらく封筒を見つめていると何故か嫌な予感がした。
ま…まさかな…
そう自分に言い聞かせたシュンは封を開け読み始めた。
シュンは目を疑った。
「どうしました⁈社長…?」
「こっ…これは…」
それはスミの母親から見せてもらった遺言書とは内容が違う、スミの父親の遺言書だった。
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