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13話 別れ
しおりを挟む朝、目が覚めたスミがリビングに行くとソファーにシュンが寝ていた。
テーブルの上には空になったウイスキーの瓶があった。
えっ…これ全部飲んだの…?
私のせいだ…
スミはシュンに毛布を掛け、シュンの髪を触りながら顔を近づけた。
本当にキレイな顔…
シュン…愛してるよ…
今日は素直になるから…
そしてさよならする…
スミがシュンの顔を見ているとシュンが目を覚ました。
慌てて離れようとした時、シュンはスミをギュッと抱きしめた。
えっ…
「おはよ」
「おはよう」
「俺…ここで寝てしまったのか…」
「こんなとこで寝たら風邪ひくよ」
シュンが起き上がろうとすると頭を痛そうに押さえた。
「二日酔いでしょ。ウイスキー全部飲んでるし…」
そう言うとスミは水を持って来た。
「ありがとう」
シュンは一気に水を飲み干した。
「スミは大丈夫?」
「私は大丈夫だよ」
「それならよかった」
昨夜の事を覚えているのか聞きたいと思っていたが、いつものスミに戻っていたので安心したシュンは何も聞かなかった。
「今日は何する?」
「シュンは何したい?」
「水族館!好きな人と水族館に行くのが学生の時からの夢だったから」
「もしかして行った事ないの?」
「うん…」
「じゃ、行こう」
「スミは?どこか行きたいとこないの?」
「私は…公園」
「公園?どこの?」
「2人でよく話した公園」
「え?いつでも行けるのに」
「今日、行きたい」
2人の思い出のある公園で別れようとスミは決めていた。
「了解。じゃあ…水族館行って…街歩いて…食事して…最後に公園に行こう」
「うん」
2人は別荘を出ると夕方まで思い切り遊んだ。
夕食を終えて公園に着いたのは21時を過ぎていた。
「久しぶりにこんなに遊んだなー。楽しかったね」
「うん」
「これからたくさん色んなとこに行こう」
「、、、、」
言わなきゃ…
シュンはスミの手を握った。
「俺が行ってみたい場所覚えてる?」
「…カナダでしょ」
「うん。スミもでしょ」
「うん…」
「いつか必ず行こう。スミと一緒にオーロラ見られたら最高だろうな」
早く…言わなきゃ…
「スミ…結婚はもうちょっと先になりそうだけど余計な事は考えず前向きに行こう」
「え…」
「最近のスミを見て思ったけど疲れてたでしょ。なのに俺…気配りが足りなかった。ごめんね」
「違うのっ」
「えっ」
スミは握っているシュンの手を離した。
「どうした?」
「シュン…」
「何?」
「私…シュンに疲れたの…」
「え…」
「気持ちが冷めた…」
「スミ…何言ってんの?」
「本当はもっと前からシュンに対しての気持ちが冷めてたかも知れない…」
「な…何で?」
「、、、、、」
「全然そんな感じがしなかったけど、どうしてだよ!」
「最近の私の態度見てわかったでしょ?限界がきたのよ。疲れてたのはシュンに対してよ」
ショックを受けているシュンを見てスミは罪悪感でいっぱいになり、心の中で何度も謝った。
「そんな…」
「もうシュンと一緒に居るのが苦痛なの…」
「スミ…」
「だから…」
シュンは思わず下を向いた。
「だから…別れよう…」
スミはシュンに一生言うつもりがなかったはずの言葉を声を震わせながら言った。
シュンはしばらく下を向いたまま黙っていた。
その沈黙の間、スミは必死で涙を堪えていた。
「…俺は…スミが幸せならそれだけでよかった。俺が幸せにしたかったけど…」
シュン…
「俺がスミに苦痛を与えてたなんて…」
ずっと下を向いていたシュンが顔を上げると、スミはシュンが涙を堪えているのがわかった。
「…わかったよ。今までごめんね…」
「え…」
「別れよう…」
再びシュンは下を向いた。
我慢していた涙がシュンの目から溢れた。
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