12 / 110
12話 卑下
しおりを挟む2時間後、スミは1人でワインを2本空けた。
「スミ、ちょっと飲み過ぎじゃない?」
「全然大丈夫よ。もう1本開けて」
「まだ飲むの?」
「いいから」
呆れた表情でシュンはスミのグラスにワインを注いだ。
そうよ…私のことなんか嫌いになって…
そう思いながらスミはワインを何杯も飲み続けた。
「今日の飲み方はヤケ酒だな。こんなスミは初めて見たよ」
「これが本性よ。今まで猫かぶってただけ」
「…そうですか」
スミは更にワインを注ごうとした。
酔って手元が狂ったせいでボトルがグラスに当たりワインを溢してしまった。
シュンは慌ててタオルを手に取り、スミにかかったワインを拭き始めた。
「ちょっとスミ!大丈夫⁈」
するとスミはシュンの手を払い除けた。
「スミ…?」
「優しくしないでよ、私なんかに…」
突然スミは泣き出した。
「え?スミ…どうしちゃったんだよ」
「シュンは…どうしてそんなに優しいのよ‼︎」
「何だよ、急に」
「ねぇってば‼︎」
「スミのことを愛してるからに決まってるだろ‼︎」
「え…」
「スミ、今日は飲み過ぎだよ。この水飲んで寝な」
「イヤ…話がしたい」
「話って…」
「私ね、さっき言った通り今までシュンの前で猫かぶってたの。本当は超ワガママで酒癖だって悪いし性格も悪いのよ。お金使いだって荒いし…」
「…で?」
「家事するのも大嫌いなの」
「じゃあ、しなくていいよ」
「それに…私よく考えたらワイルド系が好みだった。シュンはワイルド系じゃないよね…」
「ふーん。じゃ髭生やして日サロ行ってワイルド系になるよう努力するよ」
シュンには何を言っても敵わないと思ったスミは頭を抱えた。
するとシュンはスミの頭を優しく撫でた。
「自分のこと悪く言うなよ。スミのことはちゃんとわかってるから」
「シュン…」
「本当に悪酔いしたみたいだな」
シュンはスミを抱えてベッドに寝かせた。
「ゆっくり寝なさい。俺はもうちょっと飲むから」
そう言ってシュンは部屋を出た。
シュン…
せっかく私の為にここまで連れて来てくれて…
私の為に料理まで作ってくれたのに…
ぶち壊してごめんなさい…
もうこれ以上演技なんて出来ないと思ったスミは明日、別れを告げようと決めた。
一方で内心傷付いていたシュンはウイスキーを飲んでいた。
俺…何かスミに気に触るような事したかな…
それともマリッジブルーとか…?
いや…でも結婚は延期したし…
結婚もしてないのに家のこと任せてたから不満が募ったのかな…
スミの態度に対して、シュンは自分を責めていた。
18
あなたにおすすめの小説
橘若頭と怖がり姫
真木
恋愛
八歳の希乃は、母を救うために極道・橘家の門を叩き、「大人になったら自分のすべてを差し出す」と約束する。
その言葉を受け取った橘家の若頭・司は、希乃を保護し、慈しみ、外界から遠ざけて育ててきた。
高校生になった希乃は、虚弱体質で寝込んでばかり。思いつめて、今まで養ってもらったお金を返そうと夜の街に向かうが、そこに司が現れて……。
氷の宰相補佐と押しつけられた厄災の花嫁
瑞原唯子
恋愛
王命により、アイザックはまだ十歳の少女を妻として娶ることになった。
彼女は生後まもなく始末されたはずの『厄災の姫』である。最近になって生存が判明したが、いまさら王家に迎え入れることも始末することもできない——悩んだ末、国王は序列一位のシェフィールド公爵家に押しつけたのだ。
Emerald
藍沢咲良
恋愛
教師という仕事に嫌気が差した結城美咲(ゆうき みさき)は、叔母の住む自然豊かな郊外で時々アルバイトをして生活していた。
叔母の勧めで再び教員業に戻ってみようと人材バンクに登録すると、すぐに話が来る。
自分にとっては完全に新しい場所。
しかし仕事は一度投げ出した教員業。嫌だと言っても他に出来る仕事は無い。
仕方無しに仕事復帰をする美咲。仕事帰りにカフェに寄るとそこには…。
〜main cast〜
結城美咲(Yuki Misaki)
黒瀬 悠(Kurose Haruka)
※作中の地名、団体名は架空のものです。
※この作品はエブリスタ、小説家になろうでも連載されています。
※素敵な表紙をポリン先生に描いて頂きました。
ポリン先生の作品はこちら↓
https://manga.line.me/indies/product/detail?id=8911
https://www.comico.jp/challenge/comic/33031
【完】瓶底メガネの聖女様
らんか
恋愛
伯爵家の娘なのに、実母亡き後、後妻とその娘がやってきてから虐げられて育ったオリビア。
傷つけられ、生死の淵に立ったその時に、前世の記憶が蘇り、それと同時に魔力が発現した。
実家から事実上追い出された形で、家を出たオリビアは、偶然出会った人達の助けを借りて、今まで奪われ続けた、自分の大切なもの取り戻そうと奮闘する。
そんな自分にいつも寄り添ってくれるのは……。
魔法師団長の家政婦辞めたら溺愛されました【完結】
iru
恋愛
第19回 恋愛小説大賞エントリーしています。ぜひ1票お願いします。
小説家になろうですでに完結済みの作品です。よければお気に入りブックマークなどお願いします。
両親と旅をしている途中、魔物に襲われているところを、魔法師団に助けられたティナ。
両親は亡くなってしまったが、両親が命をかけて守ってくれた自分の命を無駄にせず強く生きていこうと決めた。
しかし、肉親も家もないティナが途方に暮れていると、魔物から助けてくれ、怪我の入院まで面倒を見てくれた魔法師団の団長レオニスから彼の家政婦として住み込みで働かないと誘われた。
魔物から助けられた時から、ひどく憧れていたレオニスの誘いを、ティナはありがたく受ける事にした。
自分はただの家政婦だと強く言い聞かせて、日に日に膨らむ恋心を抑え込むティナだった。
一方、レオニスもティナにどんどん惹かれていっていた。
初めはなくなった妹のようで放っては置けないと家政婦として雇ったが、その健気な様子に強く惹かれていった。
恋人になりたいが、年上で雇い主。
もしティナも同じ気持ちでないなら仕事まで奪ってしまうのではないか。
そんな思いで一歩踏み出せないレオニスだった。
そんな中ある噂から、ティナはレオニスの家政婦を辞めて家を出る決意をする。
レオニスは思いを伝えてティナを引き止めることができるのか?
両片思いのすれ違いのお話です。
二度目の初恋は、穏やかな伯爵と
柴田はつみ
恋愛
交通事故に遭い、気がつけば18歳のアランと出会う前の自分に戻っていた伯爵令嬢リーシャン。
冷酷で傲慢な伯爵アランとの不和な結婚生活を経験した彼女は、今度こそ彼とは関わらないと固く誓う。しかし運命のいたずらか、リーシャンは再びアランと出会ってしまう。
優しい雨が降る夜は
葉月 まい
恋愛
浮世離れした地味子 × 外資系ITコンサルのエリートイケメン
無自覚にモテる地味子に
余裕もなく翻弄されるイケメン
二人の恋は一筋縄ではいかなくて……
雨降る夜に心に届いた
優しい恋の物語
⟡☾·̩͙⋆☔┈┈┈ 登場人物 ┈┈┈ ☔⋆·̩͙☽⟡
風間 美月(24歳)……コミュニティセンター勤務・地味でお堅い性格
雨宮 優吾(28歳)……外資系ITコンサルティング会社勤務のエリートイケメン
「がっかりです」——その一言で終わる夫婦が、王宮にはある
柴田はつみ
恋愛
妃の席を踏みにじったのは令嬢——けれど妃の心を折ったのは、夫のたった一言だった
王太子妃リディアの唯一の安らぎは、王太子アーヴィンと交わす午後の茶会。だが新しく王宮に出入りする伯爵令嬢ミレーユは、妃の席に先に座り、殿下を私的に呼び、距離感のない振る舞いを重ねる。
リディアは王宮の礼節としてその場で正す——正しいはずだった。けれど夫は「リディア、そこまで言わなくても……」と、妃を止めた。
「わかりました。あなたには、がっかりです」
微笑んで去ったその日から、夫婦の茶会は終わる。沈黙の王宮で、言葉を失った王太子は、初めて“追う”ことを選ぶが——遅すぎた。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる