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51話 本当の目的
しおりを挟むシュンが会社に戻ると秘書がやって来た。
「社長、今日スミさんは11時頃会社に来られてました」
「車で?」
「…はい」
「そっか…あっ、もうスミにバレたから。俺が戻って来た事も…」
「えっ…どうして」
「昨日の帰りスミに話しかけてる男がいて…俺あいつかと思って駆け寄ってしまった。結局は道を尋ねられてただけだった」
「社長でもそんな失敗するんですね」
「…するよ。あいつも昼間は仕事があるし下手な事は出来ないだろうから、岸田秘書ももう朝から見張らなくていいよ。後は俺がやるから」
「…わかりました。助けが必要な時はいつでも言って下さい」
「うん。わかった」
「それより…柳本はどうでした?」
「相変わらず最低な男だったよ」
「社長が言うくらいだからよっぽどですね。変わってないならスミさんが危ないんじゃ?社長のことスミさんにバレたなら堂々とスミさんを送ってあげたらいいんじゃないですか?」
「そう言ったけど、スミは俺に甘えないと思う」
「あー!どうにかならないんですかねー。これも全て柳本が釈放されたせいですね…いつになったら落ち着くんですか?」
「あいつが本当にSS社の次期社長になるのか確認しないと。もしそのつもりならSS社のトップが下手な事は出来ないし」
「確かにそうですね。でもどうやって確かめるんですか?」
「あいつの言う事は信用出来ないから、由希に直接確かめるよ」
5日後、スミの会社に裕二から電話が入った。
「もしもし…」
「俺だけど。口座確認したよ。ちゃんと入ってた」
「これでシュンには何もしないって約束してよ」
「は?まだだよ」
「え?まだって…?どういう事⁈」
「とりあえず500万って言ったはずだよ」
「裕二っ‼︎ふざけないで‼︎」
「ふざけてないさ。ちゃんとスミが聞いてなかっただけだろ」
「とりあえずって…またお金を要求する訳⁈」
「とりあえずって言った訳は分割にしてやったんだ。4回払いにね」
「え…って事は…」
「5000万だよ。500万もらったから残り4500万。後は分割でもいいし一括でもいいですよ」
「バカ言わないで‼︎そんなに払える訳ないじゃない‼︎」
「会社の金があるだろ。母親にも頼めるじゃないか」
「もういい。切るわよ」
「そうですか。じゃあ仕方ない。あいつを痛い目に合わせるしかないなー」
えっ…
「俺は何だってやるよ。手段を選ばないから」
この男…どこまで卑怯なの…
「いいんだな?」
放火までした男だし…
私に睡眠薬も飲ませた…
シュンにも何するかわからない…
「おーい、聞いてますかー?」
「…4500万…振り込んだら…本当に…本当に何もしない…?」
「ああ…」
「それ以上は要求しないで、シュンと私の前に2度と現れないって約束して‼︎」
「約束するよ」
「絶対よ‼︎」
「ああ」
「…わかっ…た。振り込むわ…」
裕二は電話を切った後、笑いが止まらなかった。
俺からは現れないのに…
これから俺の前に現れるのはお前たちからだよ…
スミは自分で管理している通帳を確認すると残高が280万しかなかった。
他の通帳は母親に預けていたのだ。
お母さんには言えないし…
全部下ろしてもまだ全然足りない…
でも早く縁を切りたい…
悩んだ挙げ句スミは会社のお金に手を出してしまった。
翌日、裕二が口座を確認するとスミから4500万振り込まれていた。
あいつ…もう振り込みやがって…
会社の金を引き出したに違いない…
スミは俺の予想通りに動いてくれるから助かるな~
後は…柳本グループを潰すだけだ…
全部奪ってやる…
裕二の1番の目的は、シュンではなく柳本グループを潰す事だった。
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