プラグマ2 〜永続的な愛〜【完結】

真凛 桃

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92話 あゆみの為

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「何でも好きなの頼んで」

「、、、、」

「俺はステーキランチ。スミは?」

「私はハンバーグ」

「僕はいいです」

「何で?」

「何か…申し訳なくて」

「そう思うなら頼んで」

「でも…」

「じゃあ俺と同じステーキにするよ?」

「うん、お肉がいいと思う。ライスは大盛りがいいんじゃない?」

「それでいい?」

「…はい。すみません」


料理がテーブルに運ばれてきた。


「いただきまーす」

「スミ、一口欲しい?」

「食べたいっ」

「はいっ」

「ありがとう」

「美味っ」

「本当、美味しい」

「斉藤くんも食べろよ」

「はい…」


斉藤は一口食べると涙を流した。


「、、、、」

「…どうしたの?」

「どうしてここまで良くしてくれるんですか?保釈金まで払ってくれて…僕なんかの為に…」

「何言ってるのよ。あゆみちゃんの為よ」

「…え」

「そうだよ。妹さんには君しかいないんだから。しっかりして妹さんを守ってあげないと」

「、、、、」

「いくらお金が必要でも汚い金で妹さん喜ぶと思う?ちゃんと真面目に一生懸命働いてお金稼がないと」

「そうしたかったんですが…どこも雇ってくれなくて…」

「仕事なら用意してあるから」

「え…」

「工場だけど給料はいいと思う。寮付きだし、話は通してあるから安心して」

「ほっ…本当ですかっ…」

「明日か明後日、ここに書いてある住所を訪ねて」


シュンは会社の住所を控えたメモを渡した。


「…え?岡山…ですか?」

「うん。妹さんの病院の近くがいいでしょ?」

「えっ…あゆみは岡山の病院にいるんですか⁈」

「そうだよ。安心できる所だから」

「よかったね、斉藤くん」

「はいっ。本当にありがとうございますっ」

「今日、泊まるとこあるの?」

「…それは…」

「俺のホテルに泊まるといいよ」

「えっ…でも…お金が…」

「話しておくからお金は払わなくていいよ」

「え…」

「岡山には明日行く?」

「…はい」

「じゃ渡しとく」

「え…これは?」

「お金、必要でしょ」

「こっ…こんなに…」

「少し多めに入れといたから」

「何から何まで…ありがとうございます。必ずお返ししますっ」

「妹さんの為にも頑張れよ」

「はいっ。あっ…あの…あゆみにプレゼントしたいので、このお金から使っていいですか?」

「使うのは自由だよ。プレゼントか…喜ぶだろうね」

「今まであゆみにプレゼントした事がなかったので…ありがとうございます」

「明日、岡山に着いたら真っ先に病院に行くの?」

「はい。あゆみに会うのが楽しみです」

「あゆみちゃんも楽しみに待ってるよ」


食事を終えシュンはスミを会社に送った後、斉藤をホテルまで送った。


「ここだよ。フロントに俺の名前言ったら鍵くれるから」

「わかりました。あのっ、この近くにデパートありますか?」

「そこを真っ直ぐ行ったらあるよ。あゆみちゃんのプレゼント?」

「はいっ。じゃ後で行ってみます」

「うん。じゃ明日は気をつけて」

「はい。本当にありがとうございました。このご恩は忘れません。あゆみと地曽田さんたちの為にも精一杯頑張って働きます」

「わかった。頑張れよ」


車から降りた斉藤はシュンの車が見えなくなるまで頭を下げていた。









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