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第52話 膝枕
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「それにしても自分で誘導しておいてなんだけど、こんな巨乳美少女メイドに膝枕されているのに少しも緊張しないで堂々と身を任せているのはちょっと自信なくすよ……」
初心な姿を微塵も見せない実親に紫苑は複雑な気分になっていた。
自分に魅力がないのかと思ってしまうし、膝枕くらいでは緊張しないほど実親は女性慣れしているということがわかってしまうからだ。
「お前の膝枕は最高だぞ。ずっとこうしていたいくらいだ」
そう言うと実親は右手を紫苑の太股に伸ばす。
「ふふ、擽ったいよ」
太股を撫でられても嫌な顔一つしない紫苑は、慈愛の籠った眼差しで実親のことを見下ろしている。
「ご主人様専用の膝枕だからお望みならいつでもしてあげるよ」
「それならお言葉に甘えさせてもらうとしよう」
「いくらでも甘えて下さいな」
実親が喜んでくれることが紫苑にとっても嬉しいことだった。なので断る理由など存在しない。恩返しでもあるので尚更だ。寧ろ今みたいに二人で過ごす時間は彼女にとって幸せなひと時であった。
「この手触り癖になるな」
「お? 私の太股の虜になった?」
「ああ」
すっかり紫苑の太股の魅力に憑りつかれた実親の手は止まる気配がない。
自分に夢中になっていることが嬉しくて口元が緩んでいる紫苑は、実親の手から伝わる温もりに心地よさを感じていた。
暫く二人は今の状況を甘受する。
互いに離れ難い気持ちになってきたところで、風呂が沸いたことを知らせる音が鳴った。
「お風呂沸いたね」
「そうだな」
しんみりとした雰囲気の中呟いた紫苑の息が実親の耳を撫でる。
「先に入って来て良いよ」
「お前が先で良いぞ」
互いに一番風呂を譲り合う。
「ううん。ご主人様が先に入って来て」
しかし、紫苑は世話になっている身なのに一番風呂を頂く訳にはいかないと思い首を左右に振った。
一方的に恩恵を受けるのは気が引けるし、実親のことを都合良く利用するような女にはなりたくなかったのだ。
そんな彼女の心情を察した実親は自分が折れることにした。
「そうか。なら遠慮なく先に頂くとする」
「うん。そうして」
実親は膝枕に名残惜しさを感じつつも、浴室へ向かう為に起き上がる。
すると起き上がる途中で紫苑の豊満な胸と接触し、ぼよん、と効果音がつきそうな弾力の塊に顔面が包まれた。この世の物とは思えない包容力が顔から全身に伝わっていく。
「いやん」
と吐息を多分に含んだ声を紫苑は漏らす。
顔面に衝撃が走る中、実親は理性を極限まで振り絞って離れようとする。
だが、それを見越していたかのような素早さで紫苑が両腕で実親の頭をホールドした。
「お、おい」
呼吸をするのも困難なほど顔面が胸に覆われるも、なんとか口を開くスペースを確保した実親は言葉足らずな苦言を漏らす。
「ご主人様の方から私の胸に飛び込んで来たんじゃん。私は迎え入れただけだよ?」
小悪魔を彷彿とさせる艶笑を浮かべる紫苑は未成年とは思えない色香を放っていた。
しかし残念ながら実親の両目は彼女の胸に埋もれてしまっているので拝むことは叶わない。
「まさか当たるとは思わなかったんだ……」
決して狙ってやった訳ではなく、普通に起き上がろうとした結果である。
紫苑の胸の大きさを見誤っていたが故に接触してしまったのだ。
「私のおっぱいを甘く見た罰だよ。私が満足するまで大人しくしていて下さいねご主人様!」
「いや、折角沸かした風呂が冷めるだろ」
「そうでした……」
つい先ほど一番風呂を譲り合ったのはなんだったのであろうか?
そんなにすぐ忘れるか? と実親は心の中で溜息を吐く。
「ついテンションが上がって……」
紫苑は「あはは」と乾いた笑いを漏らしながら実親の頭から手を離す。
窒息する前に無事解放された実親は今度こそ起き上がり、「至福のひと時だった」と告げる。
「ご満足頂けたようで何よりです」
今日一番の笑顔を浮かべる紫苑は非常に輝いて見え、実親は衝動的に彼女の頭を優しく撫でた。
「えへへ」
緩みきった表情を晒す紫苑の頭から手を離すと、名残惜しそうに見つめてくる。
そんな彼女のことを無視して実親は鞄から着替えを取り出して浴室へ向かう。
しかし浴室まで辿り着くも、何故か紫苑が後を追い掛けて来ていた。
「何故ついてくる?」
当然尋ねずにはいられない。
「ご主人様の背中を流す為」
「……」
「あ、でもこの格好じゃ濡れちゃうか」
メイド服だったのを失念していた紫苑はスカートの裾を掴んで苦笑すると、振り返って脱衣所に置きっぱなしにしていた自分の鞄のもとへ歩み寄る。
そして屈んで鞄の中を漁り始めた。
「おい」
「何ー?」
「丸見えだぞ」
「あ」
今の紫苑はミニスカートである。それも立っているだけで下着が見えてしまいそうなほど短いスカートだ。にも拘《かか》わらず屈んだらどうなるか。それは説明するまでもないだろう。
紫苑は指摘されて反射的にスカートを両手で抑える。
「お前……Tバック穿いていたのか……」
Tバックなので布で覆われていない肉付きの良い張りのあるプリっとした尻がはっきりと瞳に映っていた。
「もしもご主人様とそういうことになった時の為に勝負下着を履いていました……」
流石の彼女でも、実は気合を入れていたことがバレてしまったのは恥ずかしかったようだ。
屈むのをやめて振り返ると、スカートの裾を抑えながらモジモジする。
赤面している姿が珍しらしくて新鮮味があり、非常にいじらしい。
「それが勝負下着なのか」
「……Tバック好きじゃなかった?」
「大好物だ」
「ご主人様が喜んでくれたのなら恥をかいた甲斐がありました……」
「ああ。眼福だった」
「それは何よりです……」
実親が真顔で即答して見つめるので紫苑は居た堪れなくなっていく。
「とりあえず俺は一人でゆっくり湯に浸かりたいからお前は大人しくしていろ」
「そうします……」
ただ本心を口にしただけだが、結果的に紫苑を助けることになっていた。
この場から逃げる口実が出来たからだ。
紫苑が脱衣所から出て行くのを見届けた実親は深々と溜息を吐いた後、服を脱いで浴室に足を踏み入れた。
刺激的な光景を目撃した所為で下半身が元気になっており、暫く湯に浸かって煩悩を振り払うことにしたが、悲しいことに中々収まらない。なので諦めて自分で一発抜いて落ち着くことにした。
いや、ラブホテルにいるという事実に気持ちが流されてしまうかもしれない。
万が一があってはいけないので、念の為二発抜いておくことにした。
一方、実親に対して久々に羞恥心を感じた紫苑はベッドにダイブし、布団に潜り込んで膝を抱えながら身悶えていた。
初心な姿を微塵も見せない実親に紫苑は複雑な気分になっていた。
自分に魅力がないのかと思ってしまうし、膝枕くらいでは緊張しないほど実親は女性慣れしているということがわかってしまうからだ。
「お前の膝枕は最高だぞ。ずっとこうしていたいくらいだ」
そう言うと実親は右手を紫苑の太股に伸ばす。
「ふふ、擽ったいよ」
太股を撫でられても嫌な顔一つしない紫苑は、慈愛の籠った眼差しで実親のことを見下ろしている。
「ご主人様専用の膝枕だからお望みならいつでもしてあげるよ」
「それならお言葉に甘えさせてもらうとしよう」
「いくらでも甘えて下さいな」
実親が喜んでくれることが紫苑にとっても嬉しいことだった。なので断る理由など存在しない。恩返しでもあるので尚更だ。寧ろ今みたいに二人で過ごす時間は彼女にとって幸せなひと時であった。
「この手触り癖になるな」
「お? 私の太股の虜になった?」
「ああ」
すっかり紫苑の太股の魅力に憑りつかれた実親の手は止まる気配がない。
自分に夢中になっていることが嬉しくて口元が緩んでいる紫苑は、実親の手から伝わる温もりに心地よさを感じていた。
暫く二人は今の状況を甘受する。
互いに離れ難い気持ちになってきたところで、風呂が沸いたことを知らせる音が鳴った。
「お風呂沸いたね」
「そうだな」
しんみりとした雰囲気の中呟いた紫苑の息が実親の耳を撫でる。
「先に入って来て良いよ」
「お前が先で良いぞ」
互いに一番風呂を譲り合う。
「ううん。ご主人様が先に入って来て」
しかし、紫苑は世話になっている身なのに一番風呂を頂く訳にはいかないと思い首を左右に振った。
一方的に恩恵を受けるのは気が引けるし、実親のことを都合良く利用するような女にはなりたくなかったのだ。
そんな彼女の心情を察した実親は自分が折れることにした。
「そうか。なら遠慮なく先に頂くとする」
「うん。そうして」
実親は膝枕に名残惜しさを感じつつも、浴室へ向かう為に起き上がる。
すると起き上がる途中で紫苑の豊満な胸と接触し、ぼよん、と効果音がつきそうな弾力の塊に顔面が包まれた。この世の物とは思えない包容力が顔から全身に伝わっていく。
「いやん」
と吐息を多分に含んだ声を紫苑は漏らす。
顔面に衝撃が走る中、実親は理性を極限まで振り絞って離れようとする。
だが、それを見越していたかのような素早さで紫苑が両腕で実親の頭をホールドした。
「お、おい」
呼吸をするのも困難なほど顔面が胸に覆われるも、なんとか口を開くスペースを確保した実親は言葉足らずな苦言を漏らす。
「ご主人様の方から私の胸に飛び込んで来たんじゃん。私は迎え入れただけだよ?」
小悪魔を彷彿とさせる艶笑を浮かべる紫苑は未成年とは思えない色香を放っていた。
しかし残念ながら実親の両目は彼女の胸に埋もれてしまっているので拝むことは叶わない。
「まさか当たるとは思わなかったんだ……」
決して狙ってやった訳ではなく、普通に起き上がろうとした結果である。
紫苑の胸の大きさを見誤っていたが故に接触してしまったのだ。
「私のおっぱいを甘く見た罰だよ。私が満足するまで大人しくしていて下さいねご主人様!」
「いや、折角沸かした風呂が冷めるだろ」
「そうでした……」
つい先ほど一番風呂を譲り合ったのはなんだったのであろうか?
そんなにすぐ忘れるか? と実親は心の中で溜息を吐く。
「ついテンションが上がって……」
紫苑は「あはは」と乾いた笑いを漏らしながら実親の頭から手を離す。
窒息する前に無事解放された実親は今度こそ起き上がり、「至福のひと時だった」と告げる。
「ご満足頂けたようで何よりです」
今日一番の笑顔を浮かべる紫苑は非常に輝いて見え、実親は衝動的に彼女の頭を優しく撫でた。
「えへへ」
緩みきった表情を晒す紫苑の頭から手を離すと、名残惜しそうに見つめてくる。
そんな彼女のことを無視して実親は鞄から着替えを取り出して浴室へ向かう。
しかし浴室まで辿り着くも、何故か紫苑が後を追い掛けて来ていた。
「何故ついてくる?」
当然尋ねずにはいられない。
「ご主人様の背中を流す為」
「……」
「あ、でもこの格好じゃ濡れちゃうか」
メイド服だったのを失念していた紫苑はスカートの裾を掴んで苦笑すると、振り返って脱衣所に置きっぱなしにしていた自分の鞄のもとへ歩み寄る。
そして屈んで鞄の中を漁り始めた。
「おい」
「何ー?」
「丸見えだぞ」
「あ」
今の紫苑はミニスカートである。それも立っているだけで下着が見えてしまいそうなほど短いスカートだ。にも拘《かか》わらず屈んだらどうなるか。それは説明するまでもないだろう。
紫苑は指摘されて反射的にスカートを両手で抑える。
「お前……Tバック穿いていたのか……」
Tバックなので布で覆われていない肉付きの良い張りのあるプリっとした尻がはっきりと瞳に映っていた。
「もしもご主人様とそういうことになった時の為に勝負下着を履いていました……」
流石の彼女でも、実は気合を入れていたことがバレてしまったのは恥ずかしかったようだ。
屈むのをやめて振り返ると、スカートの裾を抑えながらモジモジする。
赤面している姿が珍しらしくて新鮮味があり、非常にいじらしい。
「それが勝負下着なのか」
「……Tバック好きじゃなかった?」
「大好物だ」
「ご主人様が喜んでくれたのなら恥をかいた甲斐がありました……」
「ああ。眼福だった」
「それは何よりです……」
実親が真顔で即答して見つめるので紫苑は居た堪れなくなっていく。
「とりあえず俺は一人でゆっくり湯に浸かりたいからお前は大人しくしていろ」
「そうします……」
ただ本心を口にしただけだが、結果的に紫苑を助けることになっていた。
この場から逃げる口実が出来たからだ。
紫苑が脱衣所から出て行くのを見届けた実親は深々と溜息を吐いた後、服を脱いで浴室に足を踏み入れた。
刺激的な光景を目撃した所為で下半身が元気になっており、暫く湯に浸かって煩悩を振り払うことにしたが、悲しいことに中々収まらない。なので諦めて自分で一発抜いて落ち着くことにした。
いや、ラブホテルにいるという事実に気持ちが流されてしまうかもしれない。
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