勇者の右腕で魔法使いの俺は実はレベルMAXで最強でした

キャンディ

文字の大きさ
3 / 3

愉快な仲間たち

しおりを挟む
 ーーこうして、パーティーメンバーと合流した俺たちは、行きつけの酒場へときていた。ここは冒険者たちに人気で、毎晩人で溢れかえっている。
 
 ここで一度、俺のパーティーメンバーを紹介しておこう。
 
 勇者・ブレイド 職業:剣士 
 この世界の勇者であり、パーティーのリーダー。人類最強だと言われている。剣の扱いでは右に出る者はいない。

 キュア 職業:癒術士
 パーティーの回復担当で、実は勇者とは恋人関係にある。もしもブレイドを主人公とするなら、彼女はヒロインといったところだろう。

 ブロック 職業:守備兵
 頑丈な巨大と防御スキルを活かして、敵の注意を引く。言ってしまえば、タンクキャラのようなものだ。ゴリゴリの筋肉マッチョに、禿げている頭がチャームポイントである。

 そして、魔法使いの俺ことディル。
 俺たちのパーティーは、この四人で結成されているのだ。

 ーー俺は酒場の隅の方に座って、一人で酒を飲んでいた。
 何故かって?ぼっちだからだよクソが!
 まあ、基本的に一人の方が好きだし、特別仲の良い奴もいないからな。とは言っても……流石に、こういうときに飲み仲間がいないというのは辛いものである。
 ……ああ、誰か一緒に飲んでくれねぇものかなぁ……。
 そんなことを思いながら、ふと勇者がいる方に目をやると、
 
「勇者様!私とも飲んでくださいよー!」
 
「あっ、ずるーい!勇者様、私も御一緒させてください!」
 
うん、めちゃくちゃ女の子にモテていた。全然羨ましくなんてないのだが、何と言うか……これが格差社会というものか……俺はそう思うのだった。
「悪いな、君たち。これでも俺は彼女持ちなんだよ。……その代わりと言っちゃなんだが、この金で好きに飲むといい」
 そして、勇者・ブレイドは女の子たちにさり気なくその金を渡した。
 ああ、何と言うか……ムカつくほどに紳士的な男である……。
 なぁに、ちょっと彼女持ちかつ他の女の子からもモテて、それに加えて性格も良い主人公のような男に嫉妬していただけさ。
 だーくそ!!羨ましいぜちくしょー!!

……なんつってな、俺はもうそんことで悩むのはやめたんだけどな……。

 再びブレイド方へ目を向けると、恋人のキュアから小言を言われているようだった。
「もー!なんで私というものがありながら、他の女性に言い寄られているんですか?」
「いやいや、そう言われてもなぁ……。こういうのって相手がどう思うかだから、俺のせいではないと言うか……」
 勇者は何とか弁解しようとする。正直、見ていて面白かったんだけどな。ちなみに、ブレイドの言い分については俺も納得はできる。(……リア充ムーブをやっているのには眉をひそめた訳だが……)

「悪い悪い……それでもな、俺が好きなのはお前だけだよ」
 そんなキザな台詞を勇者は言った。
「まったくー……ブレイドったら~」
 キュアも惚気たようにそう言う。
 ……やれやれ。完全に絵に描いたようなバカップルがそこにいたので、俺は苦笑を浮かべるしかなかった。

 ーーその後、俺が酒を飲み続けていると、一人の男が話しかけてきた。
「よぉ、ディル!また一人で飲んでんのか?」
「誰かと思ったら、アックスか。ぼっちで悪うござんしたね」

 アックス……職業:斧使い。俺の唯一の友達と言っていいかもしれない。
 ぶっちゃけ言うと、パーティーメンバーよりもコイツの方が断然仲は良い。
 アックスは今みたいに、俺が一人で酒を飲んでいるときによく話しかけてきてくれるのだ。
 本人に言ったことはないが、俺はそのことにとても感謝している。
 ……もともと俺は、周囲に馴染むのが苦手だった。勇者の一味になれるぐらいの実力はあったが、パーティーメンバーの中にも心から信頼できる仲間なんてできなかった。
 だから、パーティーにいるときは、適当に周りに合わせた言動をして、任務などが終わったら酒場でみんなが賑やかにしているのを見ながら酒を飲む……そんな日々が続いていた。
 まあでも、コイツが話しかけかてくれるようになってから、酒場に来る時間が楽しくなったんだけどな。
 
 つーわけでよ、ありがとな、アックス。
 
 俺は、心の中ではそう感謝している。

「何かつまみ頼もーぜ!」
 俺はそんな提案をした。
「あいよ、何にするか?」
「ドラゴンチキンの唐揚げにしよう」
「お前、相変わらずこれが好きだな」
「ああ、もちろんさ!この世にこれ以上美味い食い物は存在しないと思ってるぜ」
「ま、確かに美味いからな。じゃあ頼むぞ。マスター、ドラゴンチキンの唐揚げ、山盛りで頼む」
 マスターは「あいよ、兄ちゃん達!」と言って、注文の品を作り始めた。
 ちなみに、ドラゴンチキンというのは、その名の通りニワトリとドラゴンのハイブリッドをイメージしてもらえるといいだろう。
 数分後、カラッと揚げられたドラゴンチキンの唐揚げが俺たちの元に運ばれて来た。
「でっかいやつもーらい!!」
 次の瞬間、俺は大きめの唐揚げを一つ掴んで、そのままかぶりついた。
「おいおい、子供かよ。もうちょっと落ち着いて食べたらどうだ??」
 アックスは呆れたような顔でそう言う。しかし、俺はその言葉を完全に無視して、
「うんめぇぇーーー!!そしてすかさず……」
 俺は流れるままにジョッキを掴んで、唐揚げを酒で胃袋へと流し込んだ。
「かーーー!!マジでこのために生きてる気がするぜぇぇーーー!!」
 そんな感じで、俺は上機嫌になっていた。
「やれやれまったく……若い癖におっさんみたいな飲み方しやがって……」
「別に良いだろ、こんなに美味いんだから!それにおっさんと言うならお前だろ」
 そんなやりとりをした後、アックスも唐揚げをガツガツと食べ始めた。
 
 言ってなかったが、アックスの方は俺よりも十歳ほど年上である。年上には敬語を使えと言うが、俺たちの友情の前ではそれは無縁なものだった。
 もしかしたら、俺って年上との方が気が合うのかもしれないな。

 それから、俺たちは馬鹿話をしながら飲み食いを続けた。そうしているうちに、ドラゴンチキンの唐揚げは残り一つとなっていた。
「お前唐揚げ何個食べた?」
 俺はアックスにそう尋ねる。
 アックスは、確認のために皿の上にある骨の残骸を確認した。骨付きというのは、こういうときに助かるな。
 ……どうでもいい話だが、アックスの食べ方の方が俺の何倍も綺麗だった。つーか俺の食べ方汚すぎだろ。流石にこれはちょっと直さないとな……。
 それから、アックスが口を開いた。
「俺は四個だな。全部で九個あったから、お前も四個。つまり、お互い同じ数食ったってことだな」
「……そうか」
俺はゆっくりと呟く。
「となると……やることは一つだな」
「ハハハ……お互い、考えていることは同じらしい。」
 俺はそう言うと、ゆっくりと右手を突き出す。
 それに呼応するように、アックスも俺と同じ行動に出た。
 ……そして、緊迫した空気が二人の間に漂う。
 
 次の瞬間、
「じゃーんけーん……」
「じゃーんけーん……」

「ポンッ!」
「ポンッ!」

 結果は、俺はグー、アックスはパーを出していた。つまり、俺の負けだ。
「よっしゃー!!!それじゃあ、ラスト一個は俺がもらうぜ!」
 アックスはそう言うと、最後の唐揚げをヒョイっと掴み上げて美味そうに食べま始めた。
「あー、やっぱうんめぇな!!」
 コイツは自慢するかのようにそう言ってくる。
 ……食いながらこっち見てくるんじゃねぇよ……。と、俺は心中で呟くのだった。

 ……調子のいい奴ではあるが、俺は良い友人を持っているんだなと思った。
 正直、パーティーメンバーの連中とはあまり馬が合わず、仲が良いとも言い難いが、せめてこういう気を許せる友人は大切にするべきだろう。
 俺はそんなことを考えながら、深夜まで飲み続けるのだった。
 
しおりを挟む
感想 0

この作品の感想を投稿する

あなたにおすすめの小説

勇者パーティーを追放されたので、張り切ってスローライフをしたら魔王に世界が滅ぼされてました

まりあんぬさま
ファンタジー
かつて、世界を救う希望と称えられた“勇者パーティー”。 その中で地味に、黙々と補助・回復・結界を張り続けていたおっさん――バニッシュ=クラウゼン(38歳)は、ある日、突然追放を言い渡された。 理由は「お荷物」「地味すぎる」「若返くないから」。 ……笑えない。 人付き合いに疲れ果てたバニッシュは、「もう人とは関わらん」と北西の“魔の森”に引きこもり、誰も入って来られない結界を張って一人スローライフを開始……したはずだった。 だがその結界、なぜか“迷える者”だけは入れてしまう仕様だった!? 気づけば―― 記憶喪失の魔王の娘 迫害された獣人一家 古代魔法を使うエルフの美少女 天然ドジな女神 理想を追いすぎて仲間を失った情熱ドワーフ などなど、“迷える者たち”がどんどん集まってくる異種族スローライフ村が爆誕! ところが世界では、バニッシュの支援を失った勇者たちがボロボロに…… 魔王軍の侵攻は止まらず、世界滅亡のカウントダウンが始まっていた。 「もう面倒ごとはごめんだ。でも、目の前の誰かを見捨てるのも――もっとごめんだ」 これは、追放された“地味なおっさん”が、 異種族たちとスローライフしながら、 世界を救ってしまう(予定)のお話である。

【完結】魔王を倒してスキルを失ったら「用済み」と国を追放された勇者、数年後に里帰りしてみると既に祖国が滅んでいた

きなこもちこ
ファンタジー
🌟某小説投稿サイトにて月間3位(異ファン)獲得しました! 「勇者カナタよ、お前はもう用済みだ。この国から追放する」 魔王討伐後一年振りに目を覚ますと、突然王にそう告げられた。 魔王を倒したことで、俺は「勇者」のスキルを失っていた。 信頼していたパーティメンバーには蔑まれ、二度と国の土を踏まないように察知魔法までかけられた。 悔しさをバネに隣国で再起すること十数年……俺は結婚して妻子を持ち、大臣にまで昇り詰めた。 かつてのパーティメンバー達に「スキルが無くても幸せになった姿」を見せるため、里帰りした俺は……祖国の惨状を目にすることになる。 ※ハピエン・善人しか書いたことのない作者が、「追放」をテーマにして実験的に書いてみた作品です。普段の作風とは異なります。 ※小説家になろう、カクヨムさんで同一名義にて掲載予定です

防御力を下げる魔法しか使えなかった俺は勇者パーティから追放されたけど俺の魔法に強制脱衣の追加効果が発現したので世界中で畏怖の対象になりました

かにくくり
ファンタジー
 魔法使いクサナギは国王の命により勇者パーティの一員として魔獣討伐の任務を続けていた。  しかし相手の防御力を下げる魔法しか使う事ができないクサナギは仲間達からお荷物扱いをされてパーティから追放されてしまう。  しかし勇者達は今までクサナギの魔法で魔物の防御力が下がっていたおかげで楽に戦えていたという事実に全く気付いていなかった。  勇者パーティが没落していく中、クサナギは追放された地で彼の本当の力を知る新たな仲間を加えて一大勢力を築いていく。  そして防御力を下げるだけだったクサナギの魔法はいつしか次のステップに進化していた。  相手の身に着けている物を強制的に剥ぎ取るという究極の魔法を習得したクサナギの前に立ち向かえる者は誰ひとりいなかった。 ※小説家になろうにも掲載しています。

異世界に召喚されたが勇者ではなかったために放り出された夫婦は拾った赤ちゃんを守り育てる。そして3人の孤児を弟子にする。

お小遣い月3万
ファンタジー
 異世界に召喚された夫婦。だけど2人は勇者の資質を持っていなかった。ステータス画面を出現させることはできなかったのだ。ステータス画面が出現できない2人はレベルが上がらなかった。  夫の淳は初級魔法は使えるけど、それ以上の魔法は使えなかった。  妻の美子は魔法すら使えなかった。だけど、のちにユニークスキルを持っていることがわかる。彼女が作った料理を食べるとHPが回復するというユニークスキルである。  勇者になれなかった夫婦は城から放り出され、見知らぬ土地である異世界で暮らし始めた。  ある日、妻は川に洗濯に、夫はゴブリンの討伐に森に出かけた。  夫は竹のような植物が光っているのを見つける。光の正体を確認するために植物を切ると、そこに現れたのは赤ちゃんだった。  夫婦は赤ちゃんを育てることになった。赤ちゃんは女の子だった。  その子を大切に育てる。  女の子が5歳の時に、彼女がステータス画面を発現させることができるのに気づいてしまう。  2人は王様に子どもが奪われないようにステータス画面が発現することを隠した。  だけど子どもはどんどんと強くなって行く。    大切な我が子が魔王討伐に向かうまでの物語。世界で一番大切なモノを守るために夫婦は奮闘する。世界で一番愛しているモノの幸せのために夫婦は奮闘する。

魔王を倒した勇者を迫害した人間様方の末路はなかなか悲惨なようです。

カモミール
ファンタジー
勇者ロキは長い冒険の末魔王を討伐する。 だが、人間の王エスカダルはそんな英雄であるロキをなぜか認めず、 ロキに身の覚えのない罪をなすりつけて投獄してしまう。 国民たちもその罪を信じ勇者を迫害した。 そして、処刑場される間際、勇者は驚きの発言をするのだった。

収納魔法を極めた魔術師ですが、勇者パーティを追放されました。ところで俺の追放理由って “どれ” ですか?

木塚麻弥
ファンタジー
収納魔法を活かして勇者パーティーの荷物持ちをしていたケイトはある日、パーティーを追放されてしまった。 追放される理由はよく分からなかった。 彼はパーティーを追放されても文句の言えない理由を無数に抱えていたからだ。 結局どれが本当の追放理由なのかはよく分からなかったが、勇者から追放すると強く言われたのでケイトはそれに従う。 しかし彼は、追放されてもなお仲間たちのことが好きだった。 たった四人で強大な魔王軍に立ち向かおうとするかつての仲間たち。 ケイトは彼らを失いたくなかった。 勇者たちとまた一緒に食事がしたかった。 しばらくひとりで悩んでいたケイトは気づいてしまう。 「追放されたってことは、俺の行動を制限する奴もいないってことだよな?」 これは収納魔法しか使えない魔術師が、仲間のために陰で奮闘する物語。

後日譚追加【完結】冤罪で追放された俺、真実の魔法で無実を証明したら手のひら返しの嵐!! でももう遅い、王都ごと見捨てて自由に生きます

なみゆき
ファンタジー
魔王を討ったはずの俺は、冤罪で追放された。 功績は奪われ、婚約は破棄され、裏切り者の烙印を押された。 信じてくれる者は、誰一人いない——そう思っていた。 だが、辺境で出会った古代魔導と、ただ一人俺を信じてくれた彼女が、すべてを変えた。 婚礼と処刑が重なるその日、真実をつきつけ、俺は、王都に“ざまぁ”を叩きつける。 ……でも、もう復讐には興味がない。 俺が欲しかったのは、名誉でも地位でもなく、信じてくれる人だった。 これは、ざまぁの果てに静かな勝利を選んだ、元英雄の物語。

チート魔力のせいで神レベルの連中に狙われましたが、守銭奴なので金稼ぎします

桜桃-サクランボ-
ファンタジー
――自由を手に入れるために、なにがあっても金は稼ぎます―― 金さえあれば人生はどうにでもなる―― そう信じている守銭奴、鏡谷知里(28)。 交通事故で死んだはずの彼が目を覚ますと、そこは剣と魔法の異世界。 しかもなぜか、規格外のチート魔力を手に入れていた。 だがその力は、本来存在してはいけないものだった。 知里の魔力は、封印されていた伝説の冒険者の魔力と重なったことで生まれた世界のバランスを崩す力。 その異常な魔力に目を付けたのは、この世界を裏から支配する存在―― 「世界を束ねる管理者」 神にも等しい力を持つ彼らは、知里を危険視し始める。 巻き込まれたくない。 戦いたくもない。 知里が望むのはただ一つ。 金を稼いで楽して生きること。 しかし純粋すぎる仲間に振り回され、事件に巻き込まれ、気付けば世界の管理者と敵対する羽目に――。 守銭奴のチート魔力持ち冒険者 VS 世界を支配する管理者。 金のために生きる男が、望まぬまま世界の頂点と戦うことになる 巻き込まれ系異世界ファンタジー。 ※小説家になろう・カクヨムでも更新中 ※表紙:あニキさん ※ ※がタイトルにある話に挿絵アリ ※月、水、金、更新予定!

処理中です...