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サネガズラ
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今日は素敵な花が咲いている病院があると学校で聞きつけ撮りがいがあると思い早速行くことにした。家からバスで20分でついた。病院に着いてからは撮影に没頭していた。さすがに疲れたので2階にあるカフェでカフェオレとケーキを頼み席を探し歩いた。少し探すとある席が空いていた。座った席は窓側にあるテーブルでほんのり暖かい日差しが差すテーブル、日差しが差す方向には大きな木が育っている広場が見える。広場の中心に大きく育っている木の下に木を囲むように花壇が何列かありどれも綺麗な花だった。1時間前に撮っていた光景とはまた違い上から見ると、花の色が濃い所薄い所が分かるほどに見えるのは手入れが丁寧なんだと目に見えて分かった。花壇の周りを病院で入院している人や見舞いに来た人が多くいる。撮った写真を見ながらケーキを食べていると前方から聞いた事のある声が聞こえてきた。顔を上げるとそこにいたのはあの日雛桜公園にいた女性だった。その女性は病院の患者用服を着ていた。「やっぱり合ってた!どこかで見たことあると思ったら、あの時の紳士さんだ!会えてよかった。」と目が合うなり笑いながら喋りかけてくれた。とても素敵な笑顔で少し戸惑ったが、自分もあれからどうなったか知らなかったので時々ちらほらと考えていた。元気そうでよかったと一安心すると、女性がためらった感じで「相席してもいいですか?」と言うので「大丈夫ですよ」と答えた。女性が目の前に座ると改めて思ったのだが、綺麗な肌に艶やかな黒髪で見とれてしまうのが当然のように思えた。 まずは何から話したらいいのか分からないが、自己紹介をしていないから自己紹介をした。「僕の名前は朧大輔(おぼろだいすけ)です。好きなものは写真を撮ってる時です。」と簡単に自己紹介をすると、女性から「なんて呼べばいいですか?」とありがちな質問に「好きな呼び方で大丈夫ですよ。」と答えた。するとその女性は「じゃあ大輔さんって呼びますね。」とすぐに答えた。初対面の人から下の名前で呼ばれたのは初めてで動揺してしまった。「次は私ですね。私は長塚友佑(ながつかゆう)です。好きなものは…花ですかね。」と少し間があったが気にはしてなかった。「なんて呼んで良いですか?」と自分も同じ質問をした。女性は何か言いたげだったが「呼びやすいように呼んでいただいて構いません。」と答えた。少しの間考え長塚さんと呼ぶことにした。「名字で呼ばなくても大丈夫ですが呼びやすいのなら構いません。」と気を使ってくれた。長塚さんが最初に聞いてきたのは、最近はどんな出来事があったかと言う質問だった。すぐには思いつかなかった。自分は生活していても楽しい時は写真を撮ってる時ぐらいでそれ以外の事は全くと言ってもいい程に興味も楽しいと言う感情が湧かない。そんな自分が最近の出来事なんて思いつくわけがなく、やはり写真の事になってしまう。「知らない花や綺麗な景色を見に行って写真を撮るぐらいしかないですよ。」と答えると「本当に写真を撮るのが好きなんですね」と優しく笑いかけるように言った。自分はその言葉を聞くと自分の何かが動くような何かが変わるようなそんな感覚を感じた。 「本当に写真を撮ることしか出来ないのであまり周りとは馴染めない感じですけどね…」と言うと長塚さんは不思議そうにこっちを見てきた。すると「私は馴染めないとは思えませんけどね」と意外な意見だった。今まで自分の周りの人は写真に興味がなかったり自分と話しても面白みがないなどの理由で仲良くなるとは程遠いものだった。そんな事が当たり前な自分が馴染めないとは思えないと言われたのだから動揺してしまうのが当たり前だと思う。案の定動揺してしまってなんて返せばいいのか分からなかった。考えるよりも先に言っていた事は「なぜそう思うんですか?」と質問していた。すると「私から見れば写真を撮れる事は素晴らしい事ですし話していて楽しいので馴染めないとは思えないんですよ」と気づかいなのか本心で言っているのかは分からなかったがどちらにせよ嬉しいのには変わりない。「お世辞ですか?」と自分はつい聞いてしまった。すると笑いながら「違いますよ本心を言っているんですよ。」と答えた。自分は嘘を言ってるようには思えなかった。その後自分が今まで撮ってきた写真の話をすると今度会いに行って撮った写真を見せることにした。
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