君で変われた

赤城光城(あかぎみつしろ)

文字の大きさ
2 / 8

サネガズラ

しおりを挟む
今日は素敵な花が咲いている病院があると学校で聞きつけ撮りがいがあると思い早速行くことにした。家からバスで20分でついた。病院に着いてからは撮影に没頭していた。さすがに疲れたので2階にあるカフェでカフェオレとケーキを頼み席を探し歩いた。少し探すとある席が空いていた。座った席は窓側にあるテーブルでほんのり暖かい日差しが差すテーブル、日差しが差す方向には大きな木が育っている広場が見える。広場の中心に大きく育っている木の下に木を囲むように花壇が何列かありどれも綺麗な花だった。1時間前に撮っていた光景とはまた違い上から見ると、花の色が濃い所薄い所が分かるほどに見えるのは手入れが丁寧なんだと目に見えて分かった。花壇の周りを病院で入院している人や見舞いに来た人が多くいる。撮った写真を見ながらケーキを食べていると前方から聞いた事のある声が聞こえてきた。顔を上げるとそこにいたのはあの日雛桜公園にいた女性だった。その女性は病院の患者用服を着ていた。「やっぱり合ってた!どこかで見たことあると思ったら、あの時の紳士さんだ!会えてよかった。」と目が合うなり笑いながら喋りかけてくれた。とても素敵な笑顔で少し戸惑ったが、自分もあれからどうなったか知らなかったので時々ちらほらと考えていた。元気そうでよかったと一安心すると、女性がためらった感じで「相席してもいいですか?」と言うので「大丈夫ですよ」と答えた。女性が目の前に座ると改めて思ったのだが、綺麗な肌に艶やかな黒髪で見とれてしまうのが当然のように思えた。 まずは何から話したらいいのか分からないが、自己紹介をしていないから自己紹介をした。「僕の名前は朧大輔(おぼろだいすけ)です。好きなものは写真を撮ってる時です。」と簡単に自己紹介をすると、女性から「なんて呼べばいいですか?」とありがちな質問に「好きな呼び方で大丈夫ですよ。」と答えた。するとその女性は「じゃあ大輔さんって呼びますね。」とすぐに答えた。初対面の人から下の名前で呼ばれたのは初めてで動揺してしまった。「次は私ですね。私は長塚友佑(ながつかゆう)です。好きなものは…花ですかね。」と少し間があったが気にはしてなかった。「なんて呼んで良いですか?」と自分も同じ質問をした。女性は何か言いたげだったが「呼びやすいように呼んでいただいて構いません。」と答えた。少しの間考え長塚さんと呼ぶことにした。「名字で呼ばなくても大丈夫ですが呼びやすいのなら構いません。」と気を使ってくれた。長塚さんが最初に聞いてきたのは、最近はどんな出来事があったかと言う質問だった。すぐには思いつかなかった。自分は生活していても楽しい時は写真を撮ってる時ぐらいでそれ以外の事は全くと言ってもいい程に興味も楽しいと言う感情が湧かない。そんな自分が最近の出来事なんて思いつくわけがなく、やはり写真の事になってしまう。「知らない花や綺麗な景色を見に行って写真を撮るぐらいしかないですよ。」と答えると「本当に写真を撮るのが好きなんですね」と優しく笑いかけるように言った。自分はその言葉を聞くと自分の何かが動くような何かが変わるようなそんな感覚を感じた。 「本当に写真を撮ることしか出来ないのであまり周りとは馴染めない感じですけどね…」と言うと長塚さんは不思議そうにこっちを見てきた。すると「私は馴染めないとは思えませんけどね」と意外な意見だった。今まで自分の周りの人は写真に興味がなかったり自分と話しても面白みがないなどの理由で仲良くなるとは程遠いものだった。そんな事が当たり前な自分が馴染めないとは思えないと言われたのだから動揺してしまうのが当たり前だと思う。案の定動揺してしまってなんて返せばいいのか分からなかった。考えるよりも先に言っていた事は「なぜそう思うんですか?」と質問していた。すると「私から見れば写真を撮れる事は素晴らしい事ですし話していて楽しいので馴染めないとは思えないんですよ」と気づかいなのか本心で言っているのかは分からなかったがどちらにせよ嬉しいのには変わりない。「お世辞ですか?」と自分はつい聞いてしまった。すると笑いながら「違いますよ本心を言っているんですよ。」と答えた。自分は嘘を言ってるようには思えなかった。その後自分が今まで撮ってきた写真の話をすると今度会いに行って撮った写真を見せることにした。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

不倫の味

麻実
恋愛
夫に裏切られた妻。彼女は家族を大事にしていて見失っていたものに気付く・・・。

なんども濡れ衣で責められるので、いい加減諦めて崖から身を投げてみた

下菊みこと
恋愛
悪役令嬢の最後の抵抗は吉と出るか凶と出るか。 ご都合主義のハッピーエンドのSSです。 でも周りは全くハッピーじゃないです。 小説家になろう様でも投稿しています。

愛された側妃と、愛されなかった正妃

編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。 夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。 連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。 正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。 ※カクヨムさんにも掲載中 ※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります ※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。

次期国王様の寵愛を受けるいじめられっこの私と没落していくいじめっこの貴族令嬢

さら
恋愛
 名門公爵家の娘・レティシアは、幼い頃から“地味で鈍くさい”と同級生たちに嘲られ、社交界では笑い者にされてきた。中でも、侯爵令嬢セリーヌによる陰湿ないじめは日常茶飯事。誰も彼女を助けず、婚約の話も破談となり、レティシアは「無能な令嬢」として居場所を失っていく。  しかし、そんな彼女に運命の転機が訪れた。  王立学園での舞踏会の夜、次期国王アレクシス殿下が突然、レティシアの手を取り――「君が、私の隣にふさわしい」と告げたのだ。  戸惑う彼女をよそに、殿下は一途な想いを示し続け、やがてレティシアは“王妃教育”を受けながら、自らの力で未来を切り開いていく。いじめられっこだった少女は、人々の声に耳を傾け、改革を導く“知恵ある王妃”へと成長していくのだった。  一方、他人を見下し続けてきたセリーヌは、過去の行いが明るみに出て家の地位を失い、婚約者にも見放されて没落していく――。

包帯妻の素顔は。

サイコちゃん
恋愛
顔を包帯でぐるぐる巻きにした妻アデラインは夫ベイジルから離縁を突きつける手紙を受け取る。手柄を立てた夫は戦地で出会った聖女見習いのミアと結婚したいらしく、妻の悪評をでっち上げて離縁を突きつけたのだ。一方、アデラインは離縁を受け入れて、包帯を取って見せた。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

幼馴染の許嫁

山見月 あいまゆ
恋愛
私にとって世界一かっこいい男の子は、同い年で幼馴染の高校1年、朝霧 連(あさぎり れん)だ。 彼は、私の許嫁だ。 ___あの日までは その日、私は連に私の手作りのお弁当を届けに行く時だった 連を見つけたとき、連は私が知らない女の子と一緒だった 連はモテるからいつも、周りに女の子がいるのは慣れいてたがもやもやした気持ちになった 女の子は、薄い緑色の髪、ピンク色の瞳、ピンクのフリルのついたワンピース 誰が見ても、愛らしいと思う子だった。 それに比べて、自分は濃い藍色の髪に、水色の瞳、目には大きな黒色の眼鏡 どうみても、女の子よりも女子力が低そうな黄土色の入ったお洋服 どちらが可愛いかなんて100人中100人が女の子のほうが、かわいいというだろう 「こっちを見ている人がいるよ、知り合い?」 可愛い声で連に私のことを聞いているのが聞こえる 「ああ、あれが例の許嫁、氷瀬 美鈴(こおりせ みすず)だ。」 例のってことは、前から私のことを話していたのか。 それだけでも、ショックだった。 その時、連はよしっと覚悟を決めた顔をした 「美鈴、許嫁をやめてくれないか。」 頭を殴られた感覚だった。 いや、それ以上だったかもしれない。 「結婚や恋愛は、好きな子としたいんだ。」 受け入れたくない。 けど、これが連の本心なんだ。 受け入れるしかない 一つだけ、わかったことがある 私は、連に 「許嫁、やめますっ」 選ばれなかったんだ… 八つ当たりの感覚で連に向かって、そして女の子に向かって言った。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

処理中です...