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暗黒都市ガルデピュタン、消えぬ縛鎖の因業編
14.逃れる事すらも
しおりを挟むなんか、冷たい。重い。
変だな……館に住むようになってからはガストンさんが枷を外してくれたから、俺の奴隷装備は首輪だけになって軽くなってたはずなんだけど。
それに、この冷たいのは何なんだろう。俺いつの間に寝転がったのかな。
……いや、これ多分アレだ。俺気絶してたんだ。
だって俺、そばかすお兄さんのマルセルに重いボディーブローを喰らって……
「あああっ、ぐっ! ゲホッ、げほっ……!」
びっくりして起き上がろうとしたが、腹のあたりに痛みを感じて蹲る。
しかしそのお蔭でやっと頭がはっきりして来て、一体何が起こっているんだと周囲を見回し……俺は、瞠目した。
「な……なに、ここ……」
暗くてかび臭い、清潔感の欠片も無い部屋。
薄汚れた木箱が重ねられていたり、ぼろきれのような布が天井からぶら下がったりしている所からして、まず普通の場所ではあるまい。廃墟のようにすら見える。
だが、それ以上に俺を驚かせたのは――
俺を取り囲んでいる狭い檻と、その檻の向こう側に何重とも並べられた、俺と同じように檻に入れられ犬のように座り込んでいる、拘束された人々だった。
「ここ、って……」
どこだ。こんな場所知らない。少なくとも黒狼館じゃない。
窓もないし、よく見ると凄く広い部屋なのに空気が淀んでいる。二十以上はあるんじゃないかってくらいに置かれている人間の檻のせいで、部屋の酸素が足りないんだろうか。あまりにも檻が並び過ぎていて、檻の迷路のようになってしまっている。
だけど、恐らく奴隷……っぽい人達を入れた檻を並べて迷路を作ってどうしようってんだよ。展示会でも開こうってのか。そこまで考えて、俺は血の気が引いた。
そ、そうじゃん。これってまるきり漫画で見たような「奴隷市場」じゃん……。
慌てて自分の檻に何かが掛かっていないか見るが、値段が書いてありそうな値札や怪しい所は特に見当たらない。だが、他の檻には何やら貼ってあるようだった。
目の前の檻に貼ってある紙を見れば、何が書かれているか解るだろうか。
でも……目の前の人、凄く痩せてて俯いてるんだけど、見て大丈夫かな。
どう見ても俺と同じ奴隷だし、首だけじゃなく足や腕にまで鎖が付けられて、完全に拘束されている。いや、俺も同じ状態なんだけども……とにかく、そんな風に拘束されてるし“この世の全てを呪うモード”になってたら、俺が凝視してしまうと余計にストレスにならないだろうか。
しかし確認しない事には、この状態がどういう経緯によるものか推測も出来ない。
どうか気付かないでくれよと思いながら、俺は極力自分を戒めている鎖を鳴らさぬように努め、俺は細い檻の間から出来るだけ顔を出した。
幸いな事に、この世界の文字の記憶は俺の中に残っている。
だから読書するのも問題なかったし、ある程度の文字は解読可能だ。難しい文字は習っていないから、まだ判らない部分も有るけど……この世界の文字は、基本的にはひらがなと漢字のような特殊な文字で構成されているので、俺みたいなビギナーであっても前後の文字で多少は意味を推測できる。
文字の記憶まで失ってなくて本当に良かったと思いつつ、俺はなんとか檻に貼ってある紙に書かれた文字を確認した。
「なになに……?」
『体力なし、容姿並、使用済。持病無し。精神的に難あり。要治療。五等奴隷』
その下には、金額が記されている。
どう考えてもそれって……檻の中に居る人の値段ってことだよな……。
…………なんか……なんというか……実際にこんな光景を見てしまうと、なんとも言えなくなる。本当に奴隷ってモノ扱いされてるんだな……。
自分もその一員なのだと思うと、気が滅入ってしまった。
しかし、こうしてみるとこの部屋も薄汚い猛獣ペットショップみたいな感じに見えるな。でもペットショップはこんな風に不衛生でもないし、少なくとも身動きが取れないように鎖で四肢を縛ったりしないはずだ。あっちのほうがナンボかマシだ……。
やっぱりここ……もしかしなくても「奴隷市場」みたいな場所なんだろうな……。
黒狼館では見た事もないような奴隷も沢山並んでるから、ここには別の奴隷商人が所有している奴隷もいるのだろう。良く見ると、値札代わりのには紋章が押印されていて、それぞれ一グループで固まって置かれているようだ。
もしかして、商人ごとに売る場所が決まってるのかな。
フリーマーケットとかみたいに、良い場所は高いとかそういう感じなのか?
どこが入り口かは解らないが、人の目に付きやすい場所は高かったり、お得意様の優先席だったりするんだろうな。まあそれは置いといて……だとしたら、俺も商品として出品されてるって事で、これって……まあ、ガストンさんの仕業ではないよな。
やっぱりアイツか、マルセルがやりやがったのか。
「あの野郎……ッ」
俺が失神している間に、この奴隷市場に連れて来たに違いない。
これも腹いせか。それとも、俺が邪魔で勝手に売り出したってのか。
何にしろとことん自己中な奴だと憤っていると、ガチャンと何かを外すような音が聞こえて来た。他の奴隷達と一緒にその音の方向を見やると、かなり遠くの方の壁がドアの形に開き、そこからぞろぞろと身形が整った人達が入って来る。
なんだか世紀末な服装をした人もいれば、貴族っぽい人も居るな……もしかして、彼らは奴隷商人なのだろうか。
壁に取り付けられている燭台に次々と明かりが灯されて、仄明るくなった部屋の中をキョロキョロと見回していると、見た事のある人影がこちらに近寄って来た。
「よおツカサ……じゃなかった二百六番。目が覚めてたんだな」
そう言いながら、何かの紙を持って俺の入った檻に寄り掛かって来たのは、にっくきマルセルその人だ。俺をこんな場所に連れ来て何様だと睨み付けると、相手は心底楽しそうにニヤニヤ笑いながら、俺に紙を見せた。
「よかったなあ、お前、特殊一級奴隷だってよ! 黒髪ってのが一番ヤバかったが、お前みたいな未貫通の少年は珍しいし、教養も有るってんで、特記事項付きじゃあるが、めでたく一級に合格らしい。金持ちに買って貰えるぞ」
どんな金持ちかは解らないがな、と言いながら笑うマルセル。
……こういう奴を本当のゲスって言うんだろうな。
ガストンさんは自分の事を悪い人間だと思っていて、話すたびに自分を責めているようだったけど、俺からすればあの人は悪い人じゃない。
自分が悪い事をやっていると自覚して悩みながらも、それでも自分に出来る精一杯の事を奴隷に対してもやってきた。同じ悪人に「信頼できる」と言えるような仁義を持った人に奴隷を売るために、あれだけ真面目に仕事をしてるんだ。
悪人だけど、あの人は本当の意味での悪人じゃない。
人の心をちゃんと考えられる優しさがある、繊細な人なんだ。
そんな人とこの男を同列に語りたくなかった。
だけど、そんな俺の思いなど知らず、マルセルは上機嫌で紙に書かれている詳細を読み上げやがる。
「読み書き可能、家事技能有り、容姿優良で未使用……ハハッ、ハハハ! あのクソオヤジからは盗み損ねたが、お前を売れば丸二年は遊んで暮らせそうだぜ」
「こんな事してタダで済むと思ってんのか……」
「あ? 俺はもう黒狼館とか関係ねえし。あんな面倒くせえ所に二度と戻るかよ。金はお前を売ればどうにでもなるしなあ。ま、せいぜい俺の為に高く売れてくれよ」
「……ッ!」
思わず、檻から手を伸ばしてマルセルに掴みかかろうとする。
だけど相手はひらりと簡単に躱して、俺の目の前でこれ見よがしに人差し指をチッチッと揺らし、余裕満面で目を細めた。
「んな風に逆らってたら、売れるモンも売れなくなるぞ? まあ俺はここ以上に劣悪な客しか付かねえ奴隷市場に売りに行っても良いんだけどよォ。ここ以下っつったら何をされても文句は言えねえ気狂いの買い手ばっかがくるからなぁ~。お前だって、実験材料として体を切り裂かれたり、暴行されながら犯されて殺される……なんて事にはなりたくないだろ?」
だから大人しくしてな、なんて嘯く相手に、文句を言おうとする。
でも、情けない事に俺は「ここ以上に酷い場所」という言葉に怯んだらしく、急に言葉が出なくなってしまって。そんな自分の弱腰に頭がカッとなったが、相手は俺の激昂具合が面白いようで、愉しそうに笑っていた。
ちくしょう、俺にチートな能力が有れば、こんな鎖すぐ引き千切ってガストンさんの所に戻ってるのに。ああ、どうしよう。俺が消えたってガストンさんが知ったら、今度こそ愛想を尽かされてしまうかも知れない。
そんなの嫌だ。せっかくお互いに心を許し合えたのに。
だけど、それだってここから逃げられない事には考えたって仕方ない。
どうにかして逃げなければ。でも、この状態では逃げる事なんて出来ない。
だとすると、誰かに買われてココから抜け出し、後は買い主の隙を突いて逃げるという方法しかないが、俺にそんな事が出来るのだろうか。
マルセルには最初から信用なんて無いだろうし、だったら俺が逃げたって大丈夫だと思うが、しかし街の外に連れて行かれたらどうしようもなくなる。
そもそも、俺は誰かに購入されるのだろうか。
もし買い手が付かなかった場合、檻のままどこかに移動する可能性もある。
恐らくマルセルは、俺がトイレ行きたいと言っても檻から出してくれないだろう。この男は自己保身の術だけは長けている。俺が逃げないように注意深く見張っている事だろう。媚びても靡かないだろうし、もう八方ふさがりだ。
だけど、希望を捨ててはいけない。
黒狼館に帰る術はきっとあるはずだ。諦めるもんか。
そんな意思を籠め、改めてマルセルを睨み上げると……相手は笑みを収めて、俺に冷たい視線を向けて来た。
「お前が悪いんだぞ? 俺が折角世話してやったってのに、あんなクソオヤジの方に懐きやがって……あんな顔も性格も悪いクソ守銭奴と俺の何が違うってんだ。あ゛? お前に色々教えてやった俺に懐くのが道理だろうが!! そんな事も解らねえ頭の悪いクソ奴隷は、こういう所がお似合いってこった」
何を言ってるんだ、コイツは。
世話してやったって、なんだ。アンタは自分はいつも指示だけして何もしなかったじゃないか。世話って言うならガストンさんの方がよっぽど俺に良くしてくれたよ。
何かを盗めとも言わなかったし、俺をただ受け入れてくれた。
アンタみたいに、利用してしゃぶりつくそうとなんてまるで思ってない。俺のために毛布を用意したり、一緒に食事を摂ってくれる。俺みたいな素性も知れない奴を気遣ってくれる純粋な人だったんだ。そんな人を侮辱するなんて許せない。
許せないのに……俺は、何も出来なかった。
「おっと、ついに開場だ。場所代をケチったらクソみてえな所に置かれちまったが、まあ一級品があるって言いに行けばいいか。おい、大人しく待ってろよ!」
再び遠くの壁の扉が開いたのを見て、マルセルがそちらへ向かっていく。
開場ということは、お客が入って来るのか。……俺はこの国では忌避されるという黒髪だし、早々買い手はつかないと思うが……どうなるんだろう。
そんな事を思いながらドアの方を見ると、次々に身形の良い人達が入って来た。
あれが奴隷を求めてる人達か……普通そうな人も多いな。まあ、奴隷と言っても、小間使いとして欲しがる人も居るし、ムチで叩いてスパルタ労働させる人だっているだろう。俺の世界のチートもの小説では、戦闘用やえっちな事する用や、使用人での買い取りってのが多かったから、この世界でも色々なんだろうな。
「それにしても、やっぱり手前の方が人気だなあ……」
マルセルの言葉から推測すると、手前であればあるほど場所代が高いようだ。
ということは、入り口付近には、キチンと育て上げられた見目麗しい奴隷が溢れているに違いない。それなら、こちらにくる買い手は少ないかもな。
そんな事を考えていると、マルセルが誰かを連れ立って帰って来るのが見えた。
「……ん?」
檻の並びで作られた通路をぐねぐねと移動しながら、その間にマルセルが俺の事を説明しているらしく、アイツに連れられている二人は熱心に聞いているようだった。
しかし……二人とも黒いマントだなんて変だな。この世界、というか、この国では黒って嫌われてるんじゃなかったっけ。ガルデピュタンでは関係ないのかな。
一体何なんだろうと思って言うと、ついにマルセルが俺の檻に辿り着いた。
「ほら、どうです旦那方。可愛らしいでしょ? こんなに器量よしですから、価格もやはりそれなりでありませんと……」
そう言いながらゴマをするマルセルに、マントのフードを目深に被った二人の内の一人が、檻の外から俺を覗き込んで小さく息を吐いた。
「やっと、見つけた」
…………あれ。この声、なんか、どこかで……。
でもどこだっけ。誰だっけ、この声。
思い出せない。もしかして失った記憶の中に答えがあったのだろうか。
「どうです、この器量でこの値段はお安い方かと思いますが……」
そんな事を言うマルセルに、さきほど声を出したのとは違う人が何やら話しかけている。マルセルの声からして、恐らく商談がまとまったのだろう。
開場して何分も経ってないのに売られてしまうなんて、予想外だ。
でもなんで。俺は黒髪で、早々は売れないようなモノのはずなのに。
訳が解らなくて目の前でじっと俺を見ている相手を見上げると、相手は少し狼狽し軽く仰け反った。お見合いかよと思いながらも、相手に当たり障りのない方向に視線を逸らすと、今度は相手が屈んで檻の中に手を伸ばしてきて。
そうして、俺の肩を、掴んだ。
「っ……」
「ずっと、探していたんだ」
さっきと変わらないような言葉を掛けられる。
だけど、何かおかしい。
さっきから、冷や汗が出てくる。頭が混乱して来て、何かがわぁっと洪水のように溢れ出て来そうで、それが恐ろしくてたまらない。
自分でもどうしてしまったんだろうと思うけど、動揺が収まらない。
なんで。どうして、こんなことに。
相手が怖いのか。売られる事に今更恐れているのか。
だけど、だったらなんで今、ただ「探していた」と嘯いている相手に対して、俺はこれほど震えて全身に怖気を覚えているのだろう。
解らない。解らないけど、でも、怖い。怖くてどうしようもない。
堪え切れない衝動に混乱し、逃げようとする俺に、相手は肩を掴んだままで無理に自分の方を向かせて――――黒衣のフードを脱ぎ捨てた。
「さあ、一緒に行こう。ツカサ」
一番初めに見えたのは、綺麗な、赤い髪。
「あ…………」
だけど、違う。
俺が見てた、赤い髪じゃない。
長くない、うねってない、怖い、怖い、怖い。
「もう二度と、逃したりしないからな」
俺を射抜く、海の色のように鮮やかな、青い、瞳……――――
「あ……あ、ぁ……あぁああああ……!!」
頭の中で、何かが決壊したように一気に見た事のない映像が流れ込んでくる。
森、街、人、出会って別れて一緒になって仲間が出来て大切な物が出来て沢山の人の顔が浮かんで来て、大切な、大切な人の顔が、大切な人の、腕が――
「れ、っど」
そう、だ。すべて、思い出した。
俺は……俺達は……この男に……
目の前にいる、男に、引き裂かれて……
「あぁ……ほら、だから顔を見せない方がいいと言ったでしょう。せっかく記憶喪失だったのに、貴方が顔を見せたせいで全て思い出してしまった」
「――――!!」
この声、忘れもしない。忘れられない。
レッドよりも酷い、マルセルなんか比べ物にならない程の邪悪の声。
沢山の人達を傷付けて嘲笑って来た、ギアルギン…いや、クロッコの声……!!
「お、まえ……!!」
「ああ、思い出さなくてもいいですよ? どうせまた失うんですから」
それはどういう意味だ。
思わず顔を歪めた俺に、レッドがまた俺の体を強引に自分の方へと向けさせる。
重たい鎖の音がガシャンと鳴って、思わず怯んだ俺に、レッドは複雑そうな表情を向けて……開いていた片方の手で、俺の顔を覆うように掴んだ。
「あ゛ッ……!?」
「すまない、ツカサ」
そう言って、レッドが何事かを呟く。
何を言ったんだ。まさか。
そう思ったと同時――俺は、全身の力が抜けてそのまま一気に目を閉じた。
「ぅ……ぐ……!」
眠りたくなんて、なかった。なのに、体が、意識が勝手に落ちて行く。
急に意識が沈んで、保とうとするのに暗闇の中に埋もれて行って。
完全に――――意識は、落ちた。
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