異世界日帰り漫遊記

御結頂戴

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出会うまで編

9.指を挿れられたらそこで試合終了ですよ 1

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「さて。じゃあ始めるか」
 
 青ざめる俺を余所に、目つきの悪い女性(さっき女将って呼ばれてたから多分ここの経営者だ)はお湯やら何やらの用意をし始めて、ゲイリーと呼ばれたマッチョハゲは俺をぐいっと引き寄せて、台の上に座らせる。
 はっと気付いた時には、俺の体はもう四つん這いの状態で鉄の台の上に固定されていた。

「ちょっと何この拘束の仕方! 初めてなんですけど!」
「え、だってお前今日すぐに客を取るんだろ? なあ女将さん、相手って初物所望だったよな」
 
 あの注文どうでしたっけ的なノリの軽さでゲイリーが女将に聞くと、女将はガシャガシャと何かを部屋に持ち込みながら応える。
 どうでもいいけど何運んで来たの女将さん。俺後ろが見えないから何が来たのか解んなくてすっげー怖いんですけど!!
 
「そうそう、好みとは言ってたからね。娼姫に初物なんて中々いないし、わりと食いついたご様子だったから、口で言ってる以上にお好きなんでしょうよ」
「じゃあこの縛り方しかねえよ。初物好きは開発しちゃつまんねーって人が多いからな。とりあえずここではお前の体に負担が掛からないよう解すだけにしとくさ」
「そのご厚意嬉しいやら悲しいやらでございますぅうう」

 アヘ顔ダブルピースらないだけマシなのかもしれないけど、結局挿れられちゃうし、ケツは開かれちゃうわけね……。
 奴隷とは言われたけど、そこまで二人に酷い事言われてないからまだマシなのかな、俺。二人とも人相は悪いけど、そこまで怖い人じゃなさそうだし。
 そんな事を思いつつ難しい顔をしている俺の前に、女将さんがやってきた。

「まあ、あんたも不幸だと思って諦めておくれよ。その代わりこの宿でのあんたの安全は保障するし、お給金はきちんと七三……あんたの取り分が七ってことで払うからさ。といっても、高級娼姫からすりゃスズメの涙の金だけどね」
 
 目つきは悪いけど、見上げた女将はやっぱり怖い感じがしない。
 不満は大いにあるんだけど、そこまで自分を気遣ってくれてるとなんか恨むに恨めなくて困ってしまった。
 なんだろ、まともに会話したのって久しぶりだからかな。
 それとも俺が元いた世界では、こんなに気遣って貰えてなかったからか。
 今から酷い事をされようとしているのに、無理矢理体を売らされようとしているのに、二人を憎めそうになかった。
 俺ってもしかしてこの世界に来て菩薩になっちゃったんだろうか。
 まあ……魔物に掘られて死ぬよりかはマシって気持ちもあるからなんだけど。
 
「あのー女将さん、また変な事聞くけど……これ、痛い?」
「何言ってんだい、指程度なら平気だよ。ただ……客のによっては、解してても痛いかもしれないね。それについては後から教えてあげるから、今は頑張りな。あたしが苦しくない呼吸の仕方を教えるから」
「……なんか、普通に勉強してるみたいっすね」

 思っていた事をうっかり口に出すと、女将は苦笑して肩を揺らした。

「本当にあんた何も知らないんだねえ。真っ当な娼館なら、みんなこんなモンだよ。手練れの娼婦雇う所は別だけど、初物抱える所だったらそりゃあちゃんと指導するさ。雇主が怖がらせて客にまで怯えちまう子を作るようじゃ、娼館の女将失格だからね。他は知らないけど、あたしん所はちゃんと色々教えるつもりだよ。勿論、あんまり怯えるようなら無理に客を取らせることもしないし」

 なんか下手な授業より親身に指導してくれるな。
 今から処女失う準備するってのに緊張解れて来ちゃったじゃないか。
 俺あれだぞ、今エロ漫画で言う所の調教第一段階ってところだぞ。こういう優しい言葉だって嘘かも知れないんだぞ。よくある話じゃないか。
 でも、二人が俺を存外丁寧に扱うもんだから、もうなんか調教っていうより特訓とか訓練にしか思えなくなってくる。
 俺ってば優しくされるとつい尻尾振っちゃうからなあ……。

「とにかく、今回ばかりは前金でかなりの額を積まれちゃったからね、勘弁しておくれよ。その客をとったら、当分あんたは自由にしてていいからさ」

 大金……ってどんだけ望まれてたの俺みたいなタイプ。
 でも、当分自由にしていいって言うのが本当なら、その一回だけ恥ずかしい思いをすれば後はやらなくていいかもしれないって事だよな?
 
「客とか取らなくていいの?」
「うーん、まあ、いつかは取ってもらうけど……正直な話ウチは今男手が足りなくてね。あんたがいいなら、望まれない限り当分は家事手伝いってのでもいいよ」
 
 マジ? 破格の待遇すぎない?

「そんな事して大丈夫なの。俺、奴隷なんでしょ?」
「奴隷だって雇う以上は娼姫だ、自由は与えるさ。それに黒髪の娼姫ってのはこの地方ではかなり貴重なんだ、逃げられたくないしね。なにせ黒髪のあんたがいるだけでここの評価が上がるんだから。その価値分の自由ってのはちゃんと支払うつもりだよ。契約書を書いてもいい」

 やだー意外と会社としてしっかりしてるぅー。
 俺の染めてない髪がこんな所で役立つとは思わなかった。ありがとう厳しい校則よ。ってことは、これさえ乗り切れば家も仕事も手に入ってそれなりにバンバンザイってことになるかも。
 軽く考えてるような気がしないでもないけど、それしか道がないんだからしょうがないか。

「とにかくやるよ。ベイリー」
「あいさ」





※続きは性描写ありのため22時以降更新。今回は同日更新です。
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