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五ノ巻
頁39
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「ふわぁっ、何これ……!」
目の前に来たのはデデンと大きく聳え立つパフェ。
テレビや雑誌で目にした事はあったが、直接口にするのは初めてだ。真っ赤な苺が破片となってアイスの周りに散りばめられていてまるで宝石の様だ。「た、食べても…?」と何となく歩に許可を取って「どーぞどーぞ」という言葉を聞いた直後、スプーンをサクッと挿し込む。
スプーンの上に苺や生クリーム、そしてチョコのスパンコール等が乗っているのを確認して口に運ぶ。瞬間、今迄感じた事のない幸福感溢れる甘みが口内に広がり「ん~っ!」と涙目で感嘆の声を漏らす。黒糖きなこプリンを食べていたレオと抹茶アイスを頬張っていた歩は僕の顔を見るなり同時に吹き出した。
「今千紗のオーラが真っピンクになったのが分かったな」
「千紗、滅茶苦茶面白い顔するね。そんなに美味しかったか?」
楽しそうに笑う二人を見て「そんなに笑わなくても…」と照れる自分。誰かと時間を共有してこんな風に楽しく過ごせる「今」に僕は感謝でいっぱいになった。
そうして、もはやレオとのデート関係無しに三人で移動し楽しんだ。
デザートの後は渋谷に出掛けて、流行りに対する疎さを自覚させられる羽目に。服を買ったり、ゲームセンターに行って対戦ゲームをしたり。僕は直ぐに負けてしまって、二人が中々良い戦いを繰り広げていた。しかし流石は幸運を司る守り神、運は彼に常に味方をしていた。せこいせこい、と駄々っ子の様に言う歩を見て僕とレオは顔を見合わせて笑った。そんなこんなで最後に向かったのは…
「水族館なんて僕生まれて初めてだ」
沢山の魚達が透き通った天井を優雅に泳ぐ姿を見てそんな一言を零す。隣で静かに鑑賞して歩いていたレオは思い出したかの様に「隠世の夜はこんなだぞ」と興味深い事を教えてくれる。
「えっ、それって魚が沢山泳いでいるって事?」
「泳いでいるというか…夜になると、龍達が空を泳ぐ様に舞う姿は見えるな。私はもう殆ど隠世に帰ってないが、彼処の夜だけは綺麗で忘れられない」
「へぇ…レオが綺麗だと思うモノ。僕も見てみたいな」
龍が空を泳ぐ様に飛ぶ姿…きっと想像以上の美しさだろう。
目をキラキラさせて耳を傾けていると、数歩後ろを歩いていた歩が突然「見に行けば良いじゃないか」と簡単な事を言う様に告げる。驚いて振り返ると、ジュースを手にした彼がニコニコと笑みを浮かべて立っていた。「お前な」と眉を寄せたレオが歩を一瞥する。
目の前に来たのはデデンと大きく聳え立つパフェ。
テレビや雑誌で目にした事はあったが、直接口にするのは初めてだ。真っ赤な苺が破片となってアイスの周りに散りばめられていてまるで宝石の様だ。「た、食べても…?」と何となく歩に許可を取って「どーぞどーぞ」という言葉を聞いた直後、スプーンをサクッと挿し込む。
スプーンの上に苺や生クリーム、そしてチョコのスパンコール等が乗っているのを確認して口に運ぶ。瞬間、今迄感じた事のない幸福感溢れる甘みが口内に広がり「ん~っ!」と涙目で感嘆の声を漏らす。黒糖きなこプリンを食べていたレオと抹茶アイスを頬張っていた歩は僕の顔を見るなり同時に吹き出した。
「今千紗のオーラが真っピンクになったのが分かったな」
「千紗、滅茶苦茶面白い顔するね。そんなに美味しかったか?」
楽しそうに笑う二人を見て「そんなに笑わなくても…」と照れる自分。誰かと時間を共有してこんな風に楽しく過ごせる「今」に僕は感謝でいっぱいになった。
そうして、もはやレオとのデート関係無しに三人で移動し楽しんだ。
デザートの後は渋谷に出掛けて、流行りに対する疎さを自覚させられる羽目に。服を買ったり、ゲームセンターに行って対戦ゲームをしたり。僕は直ぐに負けてしまって、二人が中々良い戦いを繰り広げていた。しかし流石は幸運を司る守り神、運は彼に常に味方をしていた。せこいせこい、と駄々っ子の様に言う歩を見て僕とレオは顔を見合わせて笑った。そんなこんなで最後に向かったのは…
「水族館なんて僕生まれて初めてだ」
沢山の魚達が透き通った天井を優雅に泳ぐ姿を見てそんな一言を零す。隣で静かに鑑賞して歩いていたレオは思い出したかの様に「隠世の夜はこんなだぞ」と興味深い事を教えてくれる。
「えっ、それって魚が沢山泳いでいるって事?」
「泳いでいるというか…夜になると、龍達が空を泳ぐ様に舞う姿は見えるな。私はもう殆ど隠世に帰ってないが、彼処の夜だけは綺麗で忘れられない」
「へぇ…レオが綺麗だと思うモノ。僕も見てみたいな」
龍が空を泳ぐ様に飛ぶ姿…きっと想像以上の美しさだろう。
目をキラキラさせて耳を傾けていると、数歩後ろを歩いていた歩が突然「見に行けば良いじゃないか」と簡単な事を言う様に告げる。驚いて振り返ると、ジュースを手にした彼がニコニコと笑みを浮かべて立っていた。「お前な」と眉を寄せたレオが歩を一瞥する。
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