魔法使い、双子の悪魔を飼う

よんど

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第一部 魔法使い、双子の悪魔を飼う

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「.....何するんだよ」
「勝手に触らないでくれますか」

二人とも不機嫌そうにこちらを見て言ってくるが払い除ける素振りはない。撫で続けているとそれ以上何も言われなくなった。何で撫でているのか、自分でも分からなかったけれど.....何となく、にこんな風にされた光景が朧げだけど記憶の中で蘇る。

(あ.....なんかある?)

ふと、撫でている最中に彼等の頭に突起がある事に気付き触れてみる。
深い黒色をした──角だろうか。変に欠けた跡がある。恐らく無理矢理折られてしまったのか、それともぶつけたか。

(流暢に喋り、オーラも黒に近い。加えて角がある時点でこの子達が悪魔族である事は間違いない。でも.....彼等にとって角には一番魔力が込められている大切な部分だ。それを折られるなんて致命傷みたいなものだ)

僕の白魔法だと彼等に何かしらの影響を与えてしまうかもしれない。一応、王宮で覚えさせられた純魔法の方で彼等の角を治癒してみようか。そんな簡単に治るものではないだろうけど、時間を掛けてみよう。

「──よし。セル、ヨル。洗い合いこしようか!」

ザバーッと浴槽の中で立ち上がり、近くに置いてあったハンドタオルと石鹸を掲げる。得体の知れない物を目にした二人はまるで幼子の様に振るわせ、二人で固まる。やめろー!と喚く声が響く中、僕は彼等を無理矢理ぴかぴかに磨き上げていった。









「.....酷い目にあった」

ぐったりとした様子で椅子に凭れ掛かるセルと、同じく壁に背中を預けて座るヨル。こちらは声も出せないらしい。天然素材の石鹸なんだけれど二人には合わなかったのだろうか。

「そんなに怒らないでよ。僕の家なんだから綺麗でいてもらわないと。ほら、髪乾かすからこっちにおいで」
「俺はいい。このくらい自然に乾く」

ふい、と顔を逸らし窓の外を眺めるヨルはツンツン具合が凄まじい。まるで猫みたいだ。それに比べてセルはツンツンはしているが結構甘えただ。静かに何も言わずに、椅子に座る僕の足と足の間にちょこんと座った。

「じゃあ、セル。痛かったら言ってね」

掌から風を出すと同時に、折れた角に治癒魔法を掛けていく。本当は白魔法の方が治りが早いのかもしれないけれど。

(にしても綺麗な髪色だなぁ。黒かったけれど泥とススだったのか)

グラデーションの掛かった紫色のふわふわの髪だ。真っ黒な瞳に尖った耳。傷はあるが、確かに容姿が整っている。そして、今更気付いたのだが彼等は双子だ。表情や態度でしか見分けがつかない程、二人は瓜二つである。

「.....何で俺達を助けた」

魔法を掛けられている間、ポツリとセルが呟く。返答を求めている訳じゃなかったのだろう、「君達が生きたいって顔をしていたからだよ」と答える自分の言葉に無意識に彼は振り返っていた。
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