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第七部 魔法使い、双子の悪魔との出会い
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──
────
遠い、いつかの記憶。
これは夢.....?それとも現実──?
今とは身なりが全く違う.....僕と同じ顔をした青年が古びたローブを身に纏い、此方をすました顔で振り返る。キラッと光に反射したピアスが小さく耳元で揺れた。
僕は深い森の中を彷徨っていた。長く上に伸びきった草花を掻き分けながら、目的地である泉に向かって歩みを進める。
『はぁ....』
着いたばかりの泉のふもとにゆっくり腰を下ろして持っていた携帯用の水汲みに注いでいく。魔法を酷使し過ぎて頭が痛い.....ふらふらする。据わった目で辺りを見渡してから、ようやく一息吐く。しかし.....
『.....!』
人の気配なんてさっき迄無かった筈なのに──少し離れた箇所から嫌な音がした。バッと立ち上がり手を翳すが姿は現れない。ゆっくりと手を下ろして何となく周辺を歩いてみると.....
『.....何、これ』
視線の先で丸みを帯びた二つの小さな背中が寄り添う様に固まっている。
そして、その二つの背中にギャーギャーと何匹かの魔獣の鳥が突いて喚き合っていた。不愉快だったので勢いよく魔法を唱えて飛ばすとジュウッ.....と焼ける様な音と共に魔獣はモヤとなって消えた。静かになったその場に自分の足音が響く。
『.....人』
.....いや、違う。人の形はしているが.....
魔獣が瞬く間にいなくなり驚いた面持ちで静かに顔を上げた瓜二つの二人の背後から黒いモヤが上がる。悪魔族.....人の形をしたモノは初めて見た。
『.....』
悪魔族は見つけたら殺すべき──確かそう言われていたな。でも.....
暫し見つめ合って数秒後、自分の僅かな殺気を感じた一人が静かにもう一人の前にスッと腕を翳した。ジッと此方の様子を窺ってくる彼の反応を見て毒気が抜けた自分は『殺さないよ.....』と静かに呟いていた。
『別に君達を殺す意味なんてないし.....僕は自由に生きている、ただ魔法が使えるだけのエルフだ。びっくりしただけ.....』
彼等に近付きぐしゃっと無造作に二人の頭を撫でると、キョトンとした様子で無言で見上げてくる。その間抜け顔が可愛くて、思わずふっと笑い『じゃあね』と短く告げて彼等の間をすり抜けていく。
(あんな幼い悪魔族がこんな所を彷徨って.....一体何処から来たのやら.....)
再び泉に戻り、ボーッと水に足を突っ込んだ状態で木々の間から溢れ落ちる光を浴びる。何となく気になったから近付いて煩かったから魔獣を払っただけ.....ただそれだけだったのに。
『おねーさん。ひとり?』
『助けてくれたの、おねーさんがはじめて』
.....何故か先程の双子がいつの間にか近くに来て僕に付き纏ってくる。薄っぺらい布の様な服を身に纏った彼等は、僕の隣で同じ様に水に足を浸からせて此方を向いて寝返りを打っていた。
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遠い、いつかの記憶。
これは夢.....?それとも現実──?
今とは身なりが全く違う.....僕と同じ顔をした青年が古びたローブを身に纏い、此方をすました顔で振り返る。キラッと光に反射したピアスが小さく耳元で揺れた。
僕は深い森の中を彷徨っていた。長く上に伸びきった草花を掻き分けながら、目的地である泉に向かって歩みを進める。
『はぁ....』
着いたばかりの泉のふもとにゆっくり腰を下ろして持っていた携帯用の水汲みに注いでいく。魔法を酷使し過ぎて頭が痛い.....ふらふらする。据わった目で辺りを見渡してから、ようやく一息吐く。しかし.....
『.....!』
人の気配なんてさっき迄無かった筈なのに──少し離れた箇所から嫌な音がした。バッと立ち上がり手を翳すが姿は現れない。ゆっくりと手を下ろして何となく周辺を歩いてみると.....
『.....何、これ』
視線の先で丸みを帯びた二つの小さな背中が寄り添う様に固まっている。
そして、その二つの背中にギャーギャーと何匹かの魔獣の鳥が突いて喚き合っていた。不愉快だったので勢いよく魔法を唱えて飛ばすとジュウッ.....と焼ける様な音と共に魔獣はモヤとなって消えた。静かになったその場に自分の足音が響く。
『.....人』
.....いや、違う。人の形はしているが.....
魔獣が瞬く間にいなくなり驚いた面持ちで静かに顔を上げた瓜二つの二人の背後から黒いモヤが上がる。悪魔族.....人の形をしたモノは初めて見た。
『.....』
悪魔族は見つけたら殺すべき──確かそう言われていたな。でも.....
暫し見つめ合って数秒後、自分の僅かな殺気を感じた一人が静かにもう一人の前にスッと腕を翳した。ジッと此方の様子を窺ってくる彼の反応を見て毒気が抜けた自分は『殺さないよ.....』と静かに呟いていた。
『別に君達を殺す意味なんてないし.....僕は自由に生きている、ただ魔法が使えるだけのエルフだ。びっくりしただけ.....』
彼等に近付きぐしゃっと無造作に二人の頭を撫でると、キョトンとした様子で無言で見上げてくる。その間抜け顔が可愛くて、思わずふっと笑い『じゃあね』と短く告げて彼等の間をすり抜けていく。
(あんな幼い悪魔族がこんな所を彷徨って.....一体何処から来たのやら.....)
再び泉に戻り、ボーッと水に足を突っ込んだ状態で木々の間から溢れ落ちる光を浴びる。何となく気になったから近付いて煩かったから魔獣を払っただけ.....ただそれだけだったのに。
『おねーさん。ひとり?』
『助けてくれたの、おねーさんがはじめて』
.....何故か先程の双子がいつの間にか近くに来て僕に付き纏ってくる。薄っぺらい布の様な服を身に纏った彼等は、僕の隣で同じ様に水に足を浸からせて此方を向いて寝返りを打っていた。
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