何の説明もなく異世界に飛ばされました

模擬戦

「おい、人間」
「何？」
「暇だ。」
「そう言われても…」
刹那とルシフェルは留守番をしていた。
明日夢と東は買い出し、篠目は散歩に行ったのだ。
アイリットは一言も喋らない。
「何かいい案ないかな…」
「…模擬戦…でも…したら…？」
アイリットがやっと口を開く。
「模擬戦か、悪くないな」
「えぇ…痛いの嫌なんだけど…」
「…とりあえず…外行こう…」
屋敷の庭へと移動する3人。
「相手が降参するまででいいか？」
「…それが…妥当…」
こくり、と頷くアイリット。
「先手は譲ってやる」
「気乗りしないけど…」
そう言うと刹那は天叢雲を創り出すと、ルシフェルに向かって斬り掛かる。
「遅い」
ルシフェルはそれを軽くいなすと、火の玉の様なものを繰り出してきた。
「危なっ」
ギリギリで避ける刹那。
2人の攻防はしばらく続いた。
刹那は息切れをし、ルシフェルは全く息切れしていなかった。
「こ、降参…」
ボロボロの刹那はそう告げる。
「お前、弱いな。私が鍛えてやる」
「え…いいの？」
「構わん。退屈しのぎには丁度いい。」
そんなこんなでルシフェルから指導を受ける事になった刹那。
「お前の能力は神降ろし。ならなんの神を降ろすのかを考えて使え。」
「なんの神様を降ろすか…？」
うぅん、と唸る刹那。
「こう…？」
そうして出たのはパンドラの箱だった。
「そんな感じだ。その感覚を忘れるなよ」

しばらくルシフェルからアドバイスを貰い、なるほど、と頷く刹那。
その時。
「ただいま～」
篠目が散歩から帰ってきた。
「目さんおかえりなさい」
「戻ったか、篠目」
「なんで私だけ人間呼びなの？」
「お前が未熟だからだ」
「酷い…」
そんなやり取りをしていると、買い出しに行っていた明日夢と東が帰ってきた。
ルシフェルとのやり取りを話すと、明日夢が口を開く。
「珍しいな、ルシフェルが何かを教えるの」
「そうなの？」
「あぁ。ルシフェルは刹那の事気に入ってる見たいだけどな」
「あの態度で…？！」
「あぁ。」
「気に入ってるのは認めるがマスターに対して失礼だぞ、人間」
「え、ごめん…」
「あたしは気にしてないから大丈夫だ。」
そう言って笑う明日夢。
「そう言えば、武具は見つかったの？」
「いいや、一向に見つかる気配がない」
刹那がそう問いかけると東が答える。
「こうなったら直接聞きに行った方が早そうだね」
「聞きいくって誰に？」
「カミサマにだよ。アイリットはカミサマの巫女でな。」
「…カミサマに…頼み事…？私が伝えてあげる…」
話しを聞いていたアイリットがそう提案する。
「いいのか？じゃあよろしく頼んだぞ」
「…ん、任された…」
ぐっ、と握りこぶしを作るアイリット。
と言っても相変わらずの無表情だが。

とりあえず決まった事は近いうちにカミサマにトリアイナとエクスカリバーの場所を聞く、ということになった。
果たしてカミサマは答えてくれるのだろうか。