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決戦、カルカラ村2

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「やああぁ!」
刹那が槍でカミサマを穿こうと襲いかかる。
「遅いよ」
それをサラリと避けるカミサマ。
刹那は武器の扱いに慣れてないらしく、息も絶え絶えだ。
「こういうのはどうだい?」
そう言ってカミサマは片手から魔力砲を繰り出す。
「っ、術式展開、アイギス!」
アテナの盾、アイギスで魔力砲を防ぐ。
「ならこれでどうだい?」
カミサマは魔力砲を連続で繰り出す。
「術式展開、アイギス!」
刹那は防戦一方だった。
「こっちにいるのを忘れるなよ!」
ルシフェルがカミサマ目掛けて光の槍を顕現させ、投擲する。
「2対1とは卑怯だとは思わないのかい?」
その時。
「てめぇら何してやがる!!」
上空から声が聞こえてきた。
クロだ。
「丁度いいタイミングだね」
そう言うとカミサマはクロに触れる。
「テメェ、勝手に触るんじゃ_っ!?」
クロの魔力がどんどん吸い取られていくのがわかる。
「クソ、俺を吸収するつもりか_!」
「その通りさ。お前さえ居なければ僕は唯一神でいられたのに…!」
クロを吸収し終えると、カミサマの髪が益々伸び、両方に長いもみ上げ、白を基調としたドレスを身にまとっていた。
両目には赤い瞳と黄色の瞳。
完全体のカミサマとなった。
「さぁ、続きといこうか」
カミサマは魔力砲を繰り出す。
「術式展開、アイギス!」
アイギスの盾でも防ぎきれず、刹那はモロに食らってしまう。
「っ…!」
もんどり打って倒れ込む刹那。
「人間!チッ、面倒だな…」
ルシフェルは光の槍で攻撃を続けるも、マナで創りだした武器では歯が立たない。
絶体絶命の窮地の中、明日夢が走って戻ってきた。
「待たせたな!」
明日夢は神級の武具の粉をエクスカリバーの粉と混ぜ合わせる。
すると粉が光出し、二股の槍となった。
「刹那!」
刹那に向けてその槍を投げる。
「っ…取れた!」
何とかキャッチすると、ロンギヌスの槍を構える刹那。
「へぇ、それが神殺しの武器か。面白い」
口調まで変わったカミサマがニヤリと笑う。
「たあああぁっ!」
刹那はロンギヌスの槍でカミサマを穿こうとする。
「遅いと言っているだろうに」
それを軽くいなすと先程とは桁違いの魔力を鎖鎌に込め、振り下ろす。
「いっ…!」
かすった程度だが激痛が走る。
モロに食らっていたら命を落としていただろう。
「おい人間!」
「何?!」
「同時攻撃を仕掛けるぞ!」
「わかった!」
刹那とルシフェルは互いの持つ槍でカミサマを穿こうとする。
「甘い」
それすらも簡単にいなしてしまう。
「こうなったら…術式展開…天照!」
ロンギヌスの槍に炎を纏わせる刹那。
「その程度でどうするつもりだ」
「勿論こうに決まってるでしょ…!」
刹那はそのままカミサマに突っ込んで行く。
「ふん」
それを軽くいなすと、刹那の鳩尾に向けて魔力砲を放つ。
「アガッ…」
モロに食らってもんどり打って倒れ込んでしまう。
「っ…う、あ…」
それでも何とか立ち上がってカミサマを睨みつける。
「この程度で終わりか?つまらんな」
流石のルシフェルも息が切れてきた。
刹那は満身創痍だ。
それでも今止めないと世界が滅んでしまう。
その気持ちを胸に必死に立ち上がる刹那とルシフェル。
「そろそろ終わらせるか」
そう言うとカミサマは鎖鎌に魔力を込めて振り下ろそうとした。
その時。
「…術式展開…アイギス…!」
アイリットがアイギスの盾で攻撃を防ぐ。
魔力の量が刹那以上あるアイリットのアイギスの盾はかなりの強度のようだ。
「…刹那、今…!」
「わかってる…!」
刹那はボロボロになりながらも槍を構え、カミサマ目掛けて突撃する。
「しまっ_」
攻撃は見事に命中し、カミサマの神格を貫く。
「あ_ああああああぁぁぁ!!!」
カミサマが痛みのあまり絶叫する。
「あっ…くっ…」
カミサマの神格は貫かれ、砕け散った。
サラサラとカミサマの身体が消え失せていく。
「やった…の…?」
「みたいだな…」
「君達…この怨みは忘れないからね…」
そう言い残してカミサマは完全に姿を消した。
吸収されていたクロは中身のないただの器になっていた。


最終決戦はこうして幕を閉じたのであった。
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