友と過ごしたあの森で

神流砂嵐

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死ぬには縄があればいい

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 「人は、脆い。首をふっと切ってやれば悶えながら意識を遠のかせることができる。縄で首を吊り上げると、釣られた稚魚のような無様な姿で死ぬ事ができる。家族、友人、恋人、大切にするものがあっても、首を吊り上げれば人は死ぬ。死ねるのだ。全ての責任から逃れられ、その先はわからない。責任から逃れたら、また誰かに責任が行く。それは食物連鎖と同じように人間に生まれつきある本能。身近な人が死ぬと身近な人が哀しむ。だが、そんな事をして何になる?哀しみ泣いたところで責任からは逃れられない。哀しみから逃げるには別の道を歩むしかない。死を恐れているのか?それとも哀しみを受け入れて生きるのか?」
小さなテレビに映る男は、急に激しくがなりだす。
「楽しめ!踊れ!笑え!できるだろう?首に縄をかけてきつく締めれば苦しくなくなる。友に苦しもう!そして乗り越えよう!死に損ないの糞野郎共を泣かしてやろう!さぁ!私達と共に!下に降りよう!では、待っているよ…」
荒々しく切れた映像の後には、薄汚い画面には砂嵐が広がる。
「・・・ザーッ・・た・・ザザッ・・の」
下に降りよう、恐らく樹海の事だろう。私は静かに携帯を取り出す。この日本一高い山でもまだ五合目なら使える。両親に別れのメールを送る。責任から逃れられるのだ。私ら樹海に流れ込む暗い若者達の波に乗りながら、下へ、下へと雪の積もった道を歩く。
 彼も言っていた。責任から逃れるだけだ。そんなにも素晴らしい事の代償がこんなにも少ないとは。世界は合理的にできている。
「楽しめ、踊れ、笑え。」
1人で呟きながら降りる。いや、1人ではない。閉山中のこの山に来ているのは、疲れ切った者達、私の友。さあ死のう、死にに行こう!
 
         あなたもおいでよ
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