24 / 27
なるようになれ
しおりを挟む
英麟は室内で上半身裸になり、腕立て伏せをしていた。
散歩すら許されていない状況だ。身体が鈍ってしょうがなかった。
しかし理由はそればかりではない。
ここを脱出する機会があればそれを決して見逃したくない。
ここを出て、蒼花を助け、士忠を討つ。
英麟は決して諦めてはいない。
己の愚かさ、無力さは分かった。しかし士忠のやり方に賛同するわけにはいかない。
士忠を増長させたのは自分だ。
その責任はたとえ相打ちになったとしてもとらなければならない。
そんなことすらできなければ英麟は自分が自分で許せない。
その時、扉が開いて、少女が現れた。
「鸞果《らんか》」
鸞果は護衛を外においたようで、一人で入ってくる。
英麟は汗の雫の浮いた身体を起こす。
「それより何のようだ。士忠が何か言ってきたか?」
「ご安心を。陛下に何かをするために参ったわけではございません」
「いいえ。私の一存で参りました。お体、拭きましょうか?」
「無用だ」
英麟は椅子に座った。
鸞果に進めると、彼女も腰掛けた。
「なあ、鸞果。士忠はこれまでに一体、どれくらい人間を殺した?」
「わかりません」
「俺が死ねば、それは終わると思うか?」
「終わらない、と思います……」
鸞果はゆるゆると首を横に振った。
「……何かあったのか」
鸞果の中にある翳りに気づいた。
英麟が見た彼女はいつも笑っていたが、今ばかりは表情は暗く沈んでいる。
今や飛ぶ鳥を落とす羌一族にはあまりに不釣り合いだった。
「兄はまた人を殺しました」
英麟の表情は歪んだ。
士忠が殺せば、それはそっくりそのまま英麟の罪。
胸が押しつぶされているように苦しくなる。
しかし目の前の鸞果に、弱みを見せられないと、苦しくなればなるほど双眸を鋭くさせた。
「兄は、人が変わったようです」
鸞果は英麟の表情にも気づいていないようだった。
「人が変わった、か……。俺にはあいつが反旗を翻すことじたい、信じられなかった」
「……兄を憎んでおられますか」
「憎む? それはお前たちだろう。芳皇太后に両親を殺され、お前たちも命を狙われた。俺を苦しめたくなるのも当然の話だ」
「……私は、兄を止められるのは陛下だけと思っております」
「止める? 止めて欲しいのか?」
「兄はこのままでは怪物になってしまいます。……今もほとんどなりかけているようにしか思えません。でも、私に兄をどうにかすることなどできません。もちろん他の者など、兄の顔色を窺うばかりで。ですから」
「……だが、俺は見てのとおり籠の鳥だ。あいつを止めるどころか指一本触れることも叶わない」
「陛下は決して諦めてはいない、そうではないんですか? 自暴自棄になっている人間なら、もっと部屋は荒れているでしょうし、ご自分の体調など考えることもないでしょうから」
鸞果はそっと袖の中から取りだした鞘に収まった刃渡り一尺ほどの短剣を差し出してくる。
「これを。役に立つ機会をみつけ、この部屋から出て下さい。そして、兄を……止めて、ください。お願い、します……っ」
鸞果の声は震え、その両の目からは涙が流れる。
英麟は手をのばしかけ、すんでのところで止め、鸞果の眼差しを覗き込んだ。
「たとえ、殺すことになっても、いいのか?」
英麟はじっと鸞果を見た。
鸞果の榛《はしばみ》色の瞳に、自分の姿がかすかに揺らぎながら映っている。
彼女は応えず押しつけるように短剣を握らせると、そっと立ち上がり、小さく頭を下げると部屋から出て行った。
英麟は手の中にあるずしりとした重みを感じながら唇を真一文字に引き結んだ。
※
約束の夜、新月ともあって蝋燭に火をともす。
いつもは月明かりがあるから、本を読むなど特別なことがない限り、蝋燭に火はともさない。
蒼花がじりじりとした気持ちで待っていると蔡両が燭台をもって現れた。
一人ではない。蒼花がお願いした通り、背後に新入りの宦官を連れてきている。
蒼花の湯浴みのためという口実があるから従者がいるのもおかしくはない。
「待っていたわ。よろしくね」
「は、はい……っ」
まだ宮廷に入って間もない宦官は緊張の面持ちで頷く。
蒼花は衣服をその宦官と交換する。
宦官の服は上衣下裳はそろって暗色。上衣は膝まで届くくらい裾が長い。頭巾は深皿をひっくりかえしたようで、髪を隠しやすくて助かる。
白昼にみれば違和感はあるかもしれないが、この真の闇が横たわる中だ。
多少の違和感は見過ごされるだろう。
「では……よろしいですか?」
「ええ」
蒼花の襦裙をまとった宦官を部屋に残し、蔡両のあとに続いて部屋を出る。
目を伏せ、やや俯きがちに兵士の前を通る。
(やった……?)
視線は感じるものの呼び止められることなく暴室から出られた。
朝貢の使者のために箏を奏でた時以来の外界。
しずしずと闇の中を宣室殿に向かって歩く。
後宮の中には男の兵士の姿がある。
篝火を焚いて警戒に当たっていたが、誰も、蒼花たちには気づかない。
それものはずだ。
この暗闇の中、篝火を焚けばその周囲はそれだけ明るくなるものの少し離れれば余計闇が深くなって見えなくなってしまうからだ。
「とにかく今は宣室殿へ。陛下と会うことがまず第一です」
「はいっ」
門を通過するときでも宦官ということで少しも怪しまれることはなかった、というより一顧だにされなかった。
まるでそこになにもいないかのように。
いかに宦官という者が疎まれ、忌み嫌われているかを証明してもいた。
宣室殿の近くまでくるとさすがに警備はそれなりに厳重だったが、はっきりいって、これまでもそうだったが、兵士の顔に締まりや緊張感がない。
先を行っていた蔡両が振り返る。
ここからどうするのかとその目は聞いていた。
「恐れることはないわ」
蒼花は胸を張ると、蔡両の前を行く。
「何だっ」
さすがに宣室殿へ入ろうとすると二人の兵士が立ちふさがってくる。
「晶蒼花より陛下に是非渡したいものがあるとのことでございます。どうか、陛下にお目通りを……」
声を発しても、宦官というだけでどれほど声が高くても怪しまれない。
過去には宮廷のどんな女官よりも美しいと言われる宦官まで存在したという。
「大将軍より誰も通すな徒の仰せだ。貴様ら宦官如きを通すと思っているのかッ」
「蔡両」
「はっ」
蔡両は兵士たちの前に、重みのある布袋を差しだす。
「……何の真似だ」
蒼花はにこりと微笑んだ。
「夜分、ご苦労様でございます。こちらは酒でございます。いかがでしょう、これでもお飲みになって身体を温められては」
二人の兵士は顔を見合わせる。迷ってはいるもののかなり酒に心を惹かれているのは明らかだ。
士忠は兵士たちに厳しすぎるほどの規律を要求しているという。そんな窮屈さにさらされている兵士たちの欲求不満はかなり高まっているはずだ。
もう一押しと、蒼花は口を開く。
「いかがでしょうか」
「それで渡したいものは?」
「陛下へ充てた詩歌でございます」
短冊を一瞥をくれると、
「奴隷風情が詩歌とは生意気な。……まあ、いいだろう。だが陛下の部屋の前にも兵士がいるから、俺たちが話を通そう。酒は他にも?」
「ございます」
蔡両がにやりと笑って別の皮袋を取り出す。
「よし、ついてこい」
(……まずいわね)
しかしここで同行を断ったらもっと怪しまれてしまう。
(ともかく、なるようになれ、よっ)
散歩すら許されていない状況だ。身体が鈍ってしょうがなかった。
しかし理由はそればかりではない。
ここを脱出する機会があればそれを決して見逃したくない。
ここを出て、蒼花を助け、士忠を討つ。
英麟は決して諦めてはいない。
己の愚かさ、無力さは分かった。しかし士忠のやり方に賛同するわけにはいかない。
士忠を増長させたのは自分だ。
その責任はたとえ相打ちになったとしてもとらなければならない。
そんなことすらできなければ英麟は自分が自分で許せない。
その時、扉が開いて、少女が現れた。
「鸞果《らんか》」
鸞果は護衛を外においたようで、一人で入ってくる。
英麟は汗の雫の浮いた身体を起こす。
「それより何のようだ。士忠が何か言ってきたか?」
「ご安心を。陛下に何かをするために参ったわけではございません」
「いいえ。私の一存で参りました。お体、拭きましょうか?」
「無用だ」
英麟は椅子に座った。
鸞果に進めると、彼女も腰掛けた。
「なあ、鸞果。士忠はこれまでに一体、どれくらい人間を殺した?」
「わかりません」
「俺が死ねば、それは終わると思うか?」
「終わらない、と思います……」
鸞果はゆるゆると首を横に振った。
「……何かあったのか」
鸞果の中にある翳りに気づいた。
英麟が見た彼女はいつも笑っていたが、今ばかりは表情は暗く沈んでいる。
今や飛ぶ鳥を落とす羌一族にはあまりに不釣り合いだった。
「兄はまた人を殺しました」
英麟の表情は歪んだ。
士忠が殺せば、それはそっくりそのまま英麟の罪。
胸が押しつぶされているように苦しくなる。
しかし目の前の鸞果に、弱みを見せられないと、苦しくなればなるほど双眸を鋭くさせた。
「兄は、人が変わったようです」
鸞果は英麟の表情にも気づいていないようだった。
「人が変わった、か……。俺にはあいつが反旗を翻すことじたい、信じられなかった」
「……兄を憎んでおられますか」
「憎む? それはお前たちだろう。芳皇太后に両親を殺され、お前たちも命を狙われた。俺を苦しめたくなるのも当然の話だ」
「……私は、兄を止められるのは陛下だけと思っております」
「止める? 止めて欲しいのか?」
「兄はこのままでは怪物になってしまいます。……今もほとんどなりかけているようにしか思えません。でも、私に兄をどうにかすることなどできません。もちろん他の者など、兄の顔色を窺うばかりで。ですから」
「……だが、俺は見てのとおり籠の鳥だ。あいつを止めるどころか指一本触れることも叶わない」
「陛下は決して諦めてはいない、そうではないんですか? 自暴自棄になっている人間なら、もっと部屋は荒れているでしょうし、ご自分の体調など考えることもないでしょうから」
鸞果はそっと袖の中から取りだした鞘に収まった刃渡り一尺ほどの短剣を差し出してくる。
「これを。役に立つ機会をみつけ、この部屋から出て下さい。そして、兄を……止めて、ください。お願い、します……っ」
鸞果の声は震え、その両の目からは涙が流れる。
英麟は手をのばしかけ、すんでのところで止め、鸞果の眼差しを覗き込んだ。
「たとえ、殺すことになっても、いいのか?」
英麟はじっと鸞果を見た。
鸞果の榛《はしばみ》色の瞳に、自分の姿がかすかに揺らぎながら映っている。
彼女は応えず押しつけるように短剣を握らせると、そっと立ち上がり、小さく頭を下げると部屋から出て行った。
英麟は手の中にあるずしりとした重みを感じながら唇を真一文字に引き結んだ。
※
約束の夜、新月ともあって蝋燭に火をともす。
いつもは月明かりがあるから、本を読むなど特別なことがない限り、蝋燭に火はともさない。
蒼花がじりじりとした気持ちで待っていると蔡両が燭台をもって現れた。
一人ではない。蒼花がお願いした通り、背後に新入りの宦官を連れてきている。
蒼花の湯浴みのためという口実があるから従者がいるのもおかしくはない。
「待っていたわ。よろしくね」
「は、はい……っ」
まだ宮廷に入って間もない宦官は緊張の面持ちで頷く。
蒼花は衣服をその宦官と交換する。
宦官の服は上衣下裳はそろって暗色。上衣は膝まで届くくらい裾が長い。頭巾は深皿をひっくりかえしたようで、髪を隠しやすくて助かる。
白昼にみれば違和感はあるかもしれないが、この真の闇が横たわる中だ。
多少の違和感は見過ごされるだろう。
「では……よろしいですか?」
「ええ」
蒼花の襦裙をまとった宦官を部屋に残し、蔡両のあとに続いて部屋を出る。
目を伏せ、やや俯きがちに兵士の前を通る。
(やった……?)
視線は感じるものの呼び止められることなく暴室から出られた。
朝貢の使者のために箏を奏でた時以来の外界。
しずしずと闇の中を宣室殿に向かって歩く。
後宮の中には男の兵士の姿がある。
篝火を焚いて警戒に当たっていたが、誰も、蒼花たちには気づかない。
それものはずだ。
この暗闇の中、篝火を焚けばその周囲はそれだけ明るくなるものの少し離れれば余計闇が深くなって見えなくなってしまうからだ。
「とにかく今は宣室殿へ。陛下と会うことがまず第一です」
「はいっ」
門を通過するときでも宦官ということで少しも怪しまれることはなかった、というより一顧だにされなかった。
まるでそこになにもいないかのように。
いかに宦官という者が疎まれ、忌み嫌われているかを証明してもいた。
宣室殿の近くまでくるとさすがに警備はそれなりに厳重だったが、はっきりいって、これまでもそうだったが、兵士の顔に締まりや緊張感がない。
先を行っていた蔡両が振り返る。
ここからどうするのかとその目は聞いていた。
「恐れることはないわ」
蒼花は胸を張ると、蔡両の前を行く。
「何だっ」
さすがに宣室殿へ入ろうとすると二人の兵士が立ちふさがってくる。
「晶蒼花より陛下に是非渡したいものがあるとのことでございます。どうか、陛下にお目通りを……」
声を発しても、宦官というだけでどれほど声が高くても怪しまれない。
過去には宮廷のどんな女官よりも美しいと言われる宦官まで存在したという。
「大将軍より誰も通すな徒の仰せだ。貴様ら宦官如きを通すと思っているのかッ」
「蔡両」
「はっ」
蔡両は兵士たちの前に、重みのある布袋を差しだす。
「……何の真似だ」
蒼花はにこりと微笑んだ。
「夜分、ご苦労様でございます。こちらは酒でございます。いかがでしょう、これでもお飲みになって身体を温められては」
二人の兵士は顔を見合わせる。迷ってはいるもののかなり酒に心を惹かれているのは明らかだ。
士忠は兵士たちに厳しすぎるほどの規律を要求しているという。そんな窮屈さにさらされている兵士たちの欲求不満はかなり高まっているはずだ。
もう一押しと、蒼花は口を開く。
「いかがでしょうか」
「それで渡したいものは?」
「陛下へ充てた詩歌でございます」
短冊を一瞥をくれると、
「奴隷風情が詩歌とは生意気な。……まあ、いいだろう。だが陛下の部屋の前にも兵士がいるから、俺たちが話を通そう。酒は他にも?」
「ございます」
蔡両がにやりと笑って別の皮袋を取り出す。
「よし、ついてこい」
(……まずいわね)
しかしここで同行を断ったらもっと怪しまれてしまう。
(ともかく、なるようになれ、よっ)
5
あなたにおすすめの小説
「地味ブス」と捨てられた私、文化祭の大型スクリーンで王子様の裏の顔を全校生に配信します
スカッと文庫
恋愛
「お前みたいな地味女、引き立て役にもならないんだよ」
眼鏡にボサボサ頭の特待生・澪(みお)は、全校生徒が見守る中、恋人だった学園の王子・ハルトから冷酷に捨てられた。
隣には、可憐な微笑みを浮かべる転校生・エマ。
エマの自作自演により「いじめの犯人」という濡れ衣まで着せられ、学園中から蔑まれる澪。
しかし、彼女を嘲笑う者たちはまだ知らない。
彼女が眼鏡の奥に、誰もが平伏す「真実の美貌」と、学園さえも支配できる「最強の背景」を隠していることを――。
「……ねぇ、文化祭、最高のステージにしてあげる」
裏切りへのカウントダウンが今、始まる。
スクリーンの裏側を暴き、傲慢な王子と偽りのヒロインを奈落へ突き落とす、痛快・学園下剋上ファンタジー!
【完結】モブのメイドが腹黒公爵様に捕まりました
ベル
恋愛
皆さまお久しぶりです。メイドAです。
名前をつけられもしなかった私が主人公になるなんて誰が思ったでしょうか。
ええ。私は今非常に困惑しております。
私はザーグ公爵家に仕えるメイド。そして奥様のソフィア様のもと、楽しく時に生温かい微笑みを浮かべながら日々仕事に励んでおり、平和な生活を送らせていただいておりました。
...あの腹黒が現れるまでは。
『無口な旦那様は妻が可愛くて仕方ない』のサイドストーリーです。
個人的に好きだった二人を今回は主役にしてみました。
イケメンエリートは愛妻の下僕になりたがる(イケメンエリートシリーズ第四弾)
便葉
恋愛
国内有数の豪華複合オフィスビルの27階にある
IT関連会社“EARTHonCIRCLE”略して“EOC”
謎多き噂の飛び交う外資系一流企業
日本内外のイケメンエリートが
集まる男のみの会社
そのイケメンエリート軍団のキャップ的存在
唯一の既婚者、中山トオルの意外なお話
中山加恋(20歳)
二十歳でトオルの妻になる
何不自由ない新婚生活だが若さゆえ好奇心旺盛
中山トオル(32歳)
17歳の加恋に一目ぼれ
加恋の二十歳の誕生日に強引に結婚する
加恋を愛し過ぎるあまりたまに壊れる
会社では群を抜くほどの超エリートが、
愛してやまない加恋ちゃんに
振り回されたり落ち込まされたり…
そんなイケメンエリートの
ちょっと切なくて笑えるお話
病弱な彼女は、外科医の先生に静かに愛されています 〜穏やかな執着に、逃げ場はない〜
来栖れいな
恋愛
――穏やかな微笑みの裏に、逃げられない愛があった。
望んでいたわけじゃない。
けれど、逃げられなかった。
生まれつき弱い心臓を抱える彼女に、政略結婚の話が持ち上がった。
親が決めた未来なんて、受け入れられるはずがない。
無表情な彼の穏やかさが、余計に腹立たしかった。
それでも――彼だけは違った。
優しさの奥に、私の知らない熱を隠していた。
形式だけのはずだった関係は、少しずつ形を変えていく。
これは束縛? それとも、本当の愛?
穏やかな外科医に包まれていく、静かで深い恋の物語。
※この物語はフィクションです。
登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。
完結【強引な略奪婚】冷徹な次期帝は、婚姻間近の姫を夜ごと甘く溶かす
小木楓
恋愛
完結しました✨
タグ&あらすじ変更しました。
略奪された大納言家の香子を待っていたのは、冷徹な次期帝による「狂愛」という名の支配でした。
「泣け、香子。お前をこれほど乱せるのは、世界で私だけだ」
「お前はまだ誰のものでもないな? ならば、私のものだ」
大納言家の姫・香子には、心通わせる穏やかな婚約者がいた。
しかし、そのささやかな幸福は、冷徹と噂される次期帝・彰仁(あきひと)に見初められたことで一変する。
強引な勅命により略奪され、後宮という名の檻に閉じ込められた香子。
夜ごとの契りで身体を繋がれ、元婚約者への想いすら「不義」として塗り潰されていく。
恐怖に震える香子だったが、閉ざされた寝所で待っていたのは、想像を絶するほど重く、激しい寵愛で……?
「痛くはしない。……お前が私のことしか考えられなくなるまで、何度でも教え込もう」
逃げ場のない愛に心が絡め取られていく中、彰仁は香子を守るため、「ある残酷な嘘」を用いて彼女を試す。
それは、愛するがゆえに彼女を嫉妬と絶望で壊し、「帝なしでは息もできない」状態へ作り変えるための、狂気じみた遊戯だった。
「一生、私の腕の中で溺れていろ」
守るために壊し、愛するために縛る。
冷酷な仮面の下に隠された、
一途で異常な執着を知った時、香子の心もまた甘い猛毒に溶かされていく――。
★最後は極上のハッピーエンドです。
※AI画像を使用しています。
冷徹団長の「ここにいろ」は、騎士団公認の“抱きしめ命令”です
星乃和花
恋愛
⭐︎完結済ー全16話+後日談5話⭐︎
王都最硬派、規律と責任の塊――騎士団長ヴァルド・アークライトは、夜の見回り中に路地で“落とし物”を拾った。
……いや、拾ったのは魔物の卵ではなく、道端で寝ていた少女だった。しかも目覚めた彼女は満面の笑みで「落とし物です!拾ってくださってありがとうございます!」と言い張り、団長の屋敷を“保護施設”だと勘違いして、掃除・料理・当番表作りに騎士の悩み相談まで勝手に開始。
追い出せば泣く、士気は落ちる、そして何より――ヴァルド自身の休息が、彼女の存在に依存し始めていく。
無表情のまま「危ないから、ここにいろ」と命令し続ける団長に、周囲はざわつく。「それ、溺愛ですよ」
騎士団内ではついに“団長語翻訳係”まで誕生し、命令が全部“愛の保護”に変換されていく甘々溺愛コメディ!
冷酷総長は、彼女を手中に収めて溺愛の檻から逃さない
彩空百々花
恋愛
誰もが恐れ、羨み、その瞳に映ることだけを渇望するほどに高貴で気高い、今世紀最強の見目麗しき完璧な神様。
酔いしれるほどに麗しく美しい女たちの愛に溺れ続けていた神様は、ある日突然。
「今日からこの女がおれの最愛のひと、ね」
そんなことを、言い出した。
お兄ちゃんはお兄ちゃんだけど、お兄ちゃんなのにお兄ちゃんじゃない!?
すずなり。
恋愛
幼いころ、母に施設に預けられた鈴(すず)。
お母さん「病気を治して迎えにくるから待ってて?」
その母は・・迎えにくることは無かった。
代わりに迎えに来た『父』と『兄』。
私の引き取り先は『本当の家』だった。
お父さん「鈴の家だよ?」
鈴「私・・一緒に暮らしていいんでしょうか・・。」
新しい家で始まる生活。
でも私は・・・お母さんの病気の遺伝子を受け継いでる・・・。
鈴「うぁ・・・・。」
兄「鈴!?」
倒れることが多くなっていく日々・・・。
そんな中でも『恋』は私の都合なんて考えてくれない。
『もう・・妹にみれない・・・。』
『お兄ちゃん・・・。』
「お前のこと、施設にいたころから好きだった・・・!」
「ーーーーっ!」
※本編には病名や治療法、薬などいろいろ出てきますが、全て想像の世界のお話です。現実世界とは一切関係ありません。
※コメントや感想などは受け付けることはできません。メンタルが薄氷なもので・・・すみません。
※孤児、脱字などチェックはしてますが漏れもあります。ご容赦ください。
※表現不足なども重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけたら幸いです。(それはもう『へぇー・・』ぐらいに。)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる