愛の形

来栖瑠樺

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第三章

お別れ

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 お互いの気持ちを・・・言いたいことを伝えられて良かった。
「これから、どうするの?賊を続けるの?」
「辞める」
「そんな簡単に辞めれるの?」 
首を傾げて問うと、ちょっと考え込んでから、答えが返ってきた。
「すぐかは分からない。もともと助けてもらったから、大将達に恩返しのつもりで続けてた。ちゃんとできたかは分からない。これからは、時子と二人で暮らしたい。大将も、分かってくれると思う」
「私も、一緒にお願いに行くわ」

 私達は、皆の場所に戻った。そこに大将もいた。
「大将」
肇が声をかける。
「なんだ?」
「記憶が戻りました。それで「ああ、辞める話だろ。次の村でお別れだ」」
肇の言葉を遮って、私達が、言おうとした言葉を先に言われた。
「お前ら、剛は賊を辞める。時子は、剛と一緒に抜ける。次の村でお別れだ。今日は、贅沢に食べるぞ」
皆にそう言うと、周りは準備に取りかかっている。
「え、そんな簡単に辞めれるんですか?なんで、分かったんですか?」 
話が順調に進んで驚く。
「なんでって二人を見れば、これから、どうしたいか分かる。好きな人が、危ないことをしてる集団だと気が気じゃないだろ」 
大将には、お見通しと言うことか。
さっきだって、前に進めたのは、大将のおかげだったな。
お礼を言おうとした時
「二人とも良かったな。幸せになれよ。俺とあの人の分まで」
「「え?」」
「・・・ああ、余計なこと言ったな。最後のは忘れてくれ」 
「「・・・はい」」
大将の寂しげな顔を初めて見た。
あの人とは誰なんだろう・・・
でも、聞ける雰囲気ではなかった。
肇を見ると、同じことを考えてるようだ。
私の視線に気づき、頷いた。
「大将」
もう一度、肇が声をかけると、寂しげな顔は消えた。
「「ありがとうございました」」
二人で、お礼を伝える。
大将は軽く笑った。
「もう、お前らの面倒を見る人はいなくなるからな。自分らで、何とかしろよ」
「「はい!」」
私と肇は、手を握り応えた。
これからは、二人で何とかしないといけないけど、肇となら大丈夫。

 その後は、私が炊事をしていると、皆が、いつもより話しかけてくれた。
大将と肇は、二人で何か話している。
六年間一緒にいたし、いろいろ話すことあるよね。
ご飯が出来上がり、食事になると、残された時間を・・・別れを惜しんでいるのが伝わる。
「・・・お前ら、しんみりした空気出すなよ。いつか来ると分かってただろ。明るく送り出してやれ」
大将の言葉に反応し、皆、応援だったり、今までの話をした。離れ離れの時の肇が、どう言う感じか知ることができたし、会話は盛り上がった。
私は、皆と過ごした時間は短いけど、会えて良かったな。
皆のこと忘れないよ。
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