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終章
絡み
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***
菊の手紙を匿名で、町奉行所に送った。
菊の調査が始まり、被害にあった人達が、次々と見つかった。
本人は亡くなっているが、家は没落した。
町奉行所は、菊を殺した犯人捜しと、肇が妻の時子は殺してないこと。菊の手紙の内容を公開した。
非難は、菊と時子の両親に変わった。
肇のことは
「あの夫婦は、やっぱり仲睦まじい」
「最愛の妻を殺されて、冷静でいられるわけない」
「あの二人が亡くなって残念だ」
と言う声などに変わった。
あの二人が、仲睦まじいと知っていたくせに、刑が執行される時は、罵声を浴びせて、勝手な奴らだ。
その勝手な奴らが、肇と時子のお墓を建てた。
お供え物でいっぱいだ。
俺は、カキツバタの花を、お墓にお供えをする。
カキツバタの花言葉は〝幸運は必ず来る〟
この二人は、子供の時から辛い目にあった。幸せな時間もあったが短すぎる。
今は叶わないが、もし偶然会ったら幸せな顔を見たかったな。
お前らの夫婦の話を聞きたかった。もし子供がいれば遊びたかった。
俺は、菊のことを心の中で報告した。
「巻き込んで、すまない」
菊の話を聞いた時、俺も巻き込んだ責任をとろうと、死ぬことを考えた。
でも止めた。死ぬことは簡単だ。
俺は生き続けて、二人のことを胸に刻み、後悔と反省を忘れてはいけない。
肇と時子は、後悔と反省は望まないだろう。
だけど、これが俺にできるケジメだ。
二人の、お墓を撫でて顔を思い出す。
「俺は、そろそろ行く・・・・・またな」
そう言うと穏やかな風が吹く。
待っていると言われてる気がした。
自分が持っている糸は、誰と結ぶのか分からない。
結ばれた糸は一本だけじゃなく、複数と絡み合うときがある。
その糸を解くことができるときもあれば、できないときもある。
結ばれた糸が一本だろうが、複数だろうが、幸せなのか不幸なのか、どちらでもないのか。それは、その時にならないと分からない。
菊の手紙を匿名で、町奉行所に送った。
菊の調査が始まり、被害にあった人達が、次々と見つかった。
本人は亡くなっているが、家は没落した。
町奉行所は、菊を殺した犯人捜しと、肇が妻の時子は殺してないこと。菊の手紙の内容を公開した。
非難は、菊と時子の両親に変わった。
肇のことは
「あの夫婦は、やっぱり仲睦まじい」
「最愛の妻を殺されて、冷静でいられるわけない」
「あの二人が亡くなって残念だ」
と言う声などに変わった。
あの二人が、仲睦まじいと知っていたくせに、刑が執行される時は、罵声を浴びせて、勝手な奴らだ。
その勝手な奴らが、肇と時子のお墓を建てた。
お供え物でいっぱいだ。
俺は、カキツバタの花を、お墓にお供えをする。
カキツバタの花言葉は〝幸運は必ず来る〟
この二人は、子供の時から辛い目にあった。幸せな時間もあったが短すぎる。
今は叶わないが、もし偶然会ったら幸せな顔を見たかったな。
お前らの夫婦の話を聞きたかった。もし子供がいれば遊びたかった。
俺は、菊のことを心の中で報告した。
「巻き込んで、すまない」
菊の話を聞いた時、俺も巻き込んだ責任をとろうと、死ぬことを考えた。
でも止めた。死ぬことは簡単だ。
俺は生き続けて、二人のことを胸に刻み、後悔と反省を忘れてはいけない。
肇と時子は、後悔と反省は望まないだろう。
だけど、これが俺にできるケジメだ。
二人の、お墓を撫でて顔を思い出す。
「俺は、そろそろ行く・・・・・またな」
そう言うと穏やかな風が吹く。
待っていると言われてる気がした。
自分が持っている糸は、誰と結ぶのか分からない。
結ばれた糸は一本だけじゃなく、複数と絡み合うときがある。
その糸を解くことができるときもあれば、できないときもある。
結ばれた糸が一本だろうが、複数だろうが、幸せなのか不幸なのか、どちらでもないのか。それは、その時にならないと分からない。
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