ある復讐とその後の人生

来栖瑠樺

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第3章

教育係

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   「お前、得意な武器は?」
訓練所に行き、owlの得意なものを聞いた。得意なものは、制度を上げ、苦手なものは、欠点を見つけて潰していくしかない。
「得意な武器ですか?ないです」
owlは、練習用の武器を眺めながら、答えた。
練習用なので、当たっても死なないように、作られている。
「・・・」
どれも平均的な強さなのか、自分で分からないのか知らないが・・・。
まずは、どれくらいの腕前なのか、確かめる必要がある。
「じゃあ、どれくらいの腕前なのか、確かめる。まずは銃から」
owlが銃を取り、一定の距離を空けた。
「え、Bloody roseさん。武器を、何も持ってないじゃないですか」
owlは、戸惑いながら、こちらを見る。
「腕前を見るだけだから。まだ武器はいらない。その銃で、私に当ててみろ。全力でやれよ」
「でも・・・」
「いいから、早くしろ」
こうしてる時間が、もったいない。
owlは、躊躇いながらも、銃口を私に向け、銃弾を撃ち放つ。
私は、その銃弾を避けていく。途中で弾切れになり、新しい弾を入れ、攻撃が続いた。私は、銃弾を避けながら、移動していく。攻撃が長引くほど、放った銃弾が、私から、離れたところに当たる。移動を続け、ついにowlの背後に立った。
その瞬間、owlは大きく肩を揺らした。そして、素早く後ろを振り返り、銃口を向けようとしたが、その前に銃を奪い取った。
   「銃はもういい。次は刃物で狙ってみろ」
私は銃を置き、owlは、刃物を1本握る。
「1本だけ?」
「二刀流は、できません」
「じゃあ、そのまま全力で、狙いに来い」
owlは、走り出し、私のところまで来ると、刺そうとした。それを何度か躱し、今度は、私が移動した。後を追うように、owlも走り出す。私は、全力ではない。owlは、全力疾走だが、2人の差が大きくなっていく。私は、スピードを落とし、立ち止まった。owlも、私の前で立ち止まり、刺そうとしたが、素手で払い落とした。
 カランと無機質な音が響く。その音の方向に目を向けると、ナイフが落ちている。ナイフを見つめていたowlが、私を見た。
「お前の腕前は、見せてもらった。自覚があるかもしれないが、今の状態だと殺される」
「・・・はい」
owlは肩で息をしていて、汗を流している。
「お前は、銃と刃物だったら、銃の方がマシ。ターゲットが、一般人相手なら多少逃げられても問題ないが、殺し屋を相手にするなら別。長期戦になると、放った銃弾が、外れる範囲が広くなる。走るのも早くない。それと、刃物も二刀流は使いこなせるようにすること」
腕前の感想を伝えた。
「分かりました」
息切れは治まり、私の言葉に耳を傾ける。
「今から特訓するから、任務に参加できるかどうかは、owlの気持ちと努力次第だ」
「成し遂げてみせます!」
owlが、真剣な顔で答えた。
ここから、本格的な特訓が始まった。
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