全てはあの日から

来栖瑠樺

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第3章

ルール

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 「selfish person。頼みがある」
突然freedomが、1人の男を連れてやって来た。
「なんだ」
freedomの後ろにいる男が、1枚の写真を見せる。
「この女について調べろ。名前は志津川ナミエ。俺が、次のターゲットとして殺す女だ」
威圧的な態度で、私を見下ろす男。この男が殺し屋のNo.5のbig attitudeか。
「情報なら、そこにいる男でも調べられるだろ」
私は、freedomを見て言った。
「この男に言ったら、着いてこいって言われてここに来た。いいから調べろ」
なかなか調べない私に、苛立ちを感じているbig attitude。
freedomは何を考えている。私と、わざと目を合わせない。
私は、志津川ナミエをPCで調べ始めた。調べ終えた後、手を止める。
「情報を教えろ」
big attitudeは、すぐに聞いてきた。
「big attitude、お前に志津川ナミエの情報は渡さない」
「は?」
big attitudeは、意味が分からない様子で一瞬間抜けな顔をしていたが、その後怒りの顔に変わる。
「ふざけるな!お前、情報屋でもあるだろ!なんだ、金か!?金が欲しいなら言えよ、希望額渡してやる!!」
「お金はいらない」
「だったら、何を渡せば情報をくれるんだよ!」
「何もいらない。私からは情報を渡さない」
「ふざけるな!freedom!お前が着いてこいって言ったから来たのに、無駄足だったじゃないか!お前が無理な案件かと思って来たのに!」
火の粉はfreedomに向く。その状態でも、freedomは平然としていた。
「俺、無理な案件なんて言ってねえぞ」
freedomなら、簡単に調べられる内容なのに、なんで、わざわざここに来た。
「くそ!おい、そこのアマ!PC見せろ!」
big attitudeの手がPCに伸びて来るのを止めた。そして、奴の手首を握りしめると顔を歪めている。
私は、そのまま話をする。
「情報は渡さないって言っただろう。私にも、情報を渡すか渡さないかの権利はある。ターゲットの情報を知りたいなら、他を当たるんだな」
そして、奴の手首を離した。
すると奴は鼻で笑った。
「どうせ、情報が分からなかったんだろ。なぜNo.1と言われてるか理解できない」
私は、それを聞いて同じように鼻で笑った。
「どう思ってもらってもかまわないが、お前、ずいぶん態度がデカいな。自分が今いる地位のせいか。殺し屋のNo.5は捏造のくせに。笑えるな。本当は殺し屋のレベルは低いのに、お金を積んで今の地位にいるだろ」
それを聞いたbig attitudeは、顔が青くなる。
「な、なぜそれを?!頼む!言わないでくれ!!!」
big attitudeは頭を下げた。私は、冷たい目で見た後にこう言った。
「もう帰れ。ここには、もう来るな」
big attitudeは、急いで帰っていった。
それをfreedomは、笑いながら見ていた。
「あ~、これが顔を青くして帰っていくのか。リアルで見たが、良いものだな」
私は、freedomを一瞥する。
「なぜ、奴を連れて来た」
「あ~、アイツ態度がデカかっただろ。大人気ないけどムカついちまったからよ、お前のところに連れて来た」
「迷惑だ」
「悪かったよ。それより、selfish personは、誰の情報でも渡すわけじゃないんだな。基準はなんだよ」
「・・・・・殺し屋でも情報屋でも自分の中でルールがある。それに反することはしない」
freedomは不思議そうな顔をする。
「どんなルールだ?」
「そこまで言う必要はない。freedomも、もう帰れ」
「ああ。お前のことが1つ分かって嬉しいよ」
そう言って帰っていった。 

 freedomが帰った後、big attitudeが、不正で今の地位にいることを本部に報告した。今後のアイツは、本来の地位になるだろう。
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