2 / 7
②
しおりを挟む
「でも……ちょっと言い過ぎちゃったかな」
スーパーの中で、食材を選びながら独り言を口にする。
食材を選びながら、さっきのやり取りを思い出していた。
ちょっと一方的に怒り過ぎたかもしれないと、唐突に反省モードになる。
ムカついたり、反省したり、起伏が激しい自分が嫌になった。
でもこれは仕方ない。夫が自己中心的なのも悪いんだ。これはお相子だろう。
夫は、一度でも私のことを考えてくれたことがあるのだろうか……。
それを考えながら、店内をグルッと回っている。
初詣に行きたいと言い出したことだってそうだ。
夫はまず初めに、金運アップのことを考えただろう。
いや、そうじゃなくて、第一に家内安全のことを考えてほしかった。
あの一言によってガックリきたから、つい口をついて喧嘩になってしまった。
きっと夫は、私なんてただの家政婦くらいにしか思えてないんだろう。
まあ、家計を支えているのは夫なわけだから、些細なことでへそを曲げるのはいけないことだとは思うけど……今まで散々我慢してきた。
少しくらい、怒ってもいいはず。
無理矢理自分を肯定するように考えていた時、ちょうどお肉コーナーのところで、考えていたことが一瞬で飛んだ。
「え、ステーキ肉が特売になってる……安い……」
……喧嘩したとはいえ今日は記念日なわけだし……何か特別なものを作らないと。
このステーキ、結婚記念日にピッタリかも。
私は綺麗なサシの入ったステーキ用牛肉を、迷わずカゴに入れた。
あとは、頼まれていた缶ビール。
発泡酒を一度手に取った後、それを置いて生ビールに変える。
いくらなんでも、結婚記念日の日に発泡酒は可哀想だ。
その他にも今日のために使う食材を買って、スーパーを出た。
自転車置き場の前にある宝くじ売り場に目が入る。
今ならスクラッチで、一等が百万らしい。
百万あったら、こんな割引のステーキではなくて、人気の鉄板焼き屋さんで良いお肉が食べられるな……頭でそんなことを考えながら、再び自転車を漕ぎ始める。
ステーキなんて、家で食べることはない。
いつも質素な食卓だったから、今日の奮発は多めに見てくれるだろう。
久しぶりに、夫とまったりする時間が過ごせると思う……。
ステーキ肉を見たら、さっきまでの怒りは、いつの間にか収まっていた。
「ただいまー」
今日の食材がびっしりと入っているエコバックを、ソファーの上に置く。
いつもの気怠そうな「おかえり」が聞こえてこなかった。
スーパーの中で、食材を選びながら独り言を口にする。
食材を選びながら、さっきのやり取りを思い出していた。
ちょっと一方的に怒り過ぎたかもしれないと、唐突に反省モードになる。
ムカついたり、反省したり、起伏が激しい自分が嫌になった。
でもこれは仕方ない。夫が自己中心的なのも悪いんだ。これはお相子だろう。
夫は、一度でも私のことを考えてくれたことがあるのだろうか……。
それを考えながら、店内をグルッと回っている。
初詣に行きたいと言い出したことだってそうだ。
夫はまず初めに、金運アップのことを考えただろう。
いや、そうじゃなくて、第一に家内安全のことを考えてほしかった。
あの一言によってガックリきたから、つい口をついて喧嘩になってしまった。
きっと夫は、私なんてただの家政婦くらいにしか思えてないんだろう。
まあ、家計を支えているのは夫なわけだから、些細なことでへそを曲げるのはいけないことだとは思うけど……今まで散々我慢してきた。
少しくらい、怒ってもいいはず。
無理矢理自分を肯定するように考えていた時、ちょうどお肉コーナーのところで、考えていたことが一瞬で飛んだ。
「え、ステーキ肉が特売になってる……安い……」
……喧嘩したとはいえ今日は記念日なわけだし……何か特別なものを作らないと。
このステーキ、結婚記念日にピッタリかも。
私は綺麗なサシの入ったステーキ用牛肉を、迷わずカゴに入れた。
あとは、頼まれていた缶ビール。
発泡酒を一度手に取った後、それを置いて生ビールに変える。
いくらなんでも、結婚記念日の日に発泡酒は可哀想だ。
その他にも今日のために使う食材を買って、スーパーを出た。
自転車置き場の前にある宝くじ売り場に目が入る。
今ならスクラッチで、一等が百万らしい。
百万あったら、こんな割引のステーキではなくて、人気の鉄板焼き屋さんで良いお肉が食べられるな……頭でそんなことを考えながら、再び自転車を漕ぎ始める。
ステーキなんて、家で食べることはない。
いつも質素な食卓だったから、今日の奮発は多めに見てくれるだろう。
久しぶりに、夫とまったりする時間が過ごせると思う……。
ステーキ肉を見たら、さっきまでの怒りは、いつの間にか収まっていた。
「ただいまー」
今日の食材がびっしりと入っているエコバックを、ソファーの上に置く。
いつもの気怠そうな「おかえり」が聞こえてこなかった。
0
あなたにおすすめの小説
嘘をありがとう
七辻ゆゆ
恋愛
「まあ、なんて図々しいのでしょう」
おっとりとしていたはずの妻は、辛辣に言った。
「要するにあなた、貴族でいるために政略結婚はする。けれど女とは別れられない、ということですのね?」
妻は言う。女と別れなくてもいい、仕事と嘘をついて会いに行ってもいい。けれど。
「必ず私のところに帰ってきて、子どもをつくり、よい夫、よい父として振る舞いなさい。神に嘘をついたのだから、覚悟を決めて、その嘘を突き通しなさいませ」
行き場を失った恋の終わらせ方
当麻月菜
恋愛
「君との婚約を白紙に戻してほしい」
自分の全てだったアイザックから別れを切り出されたエステルは、どうしてもこの恋を終わらすことができなかった。
避け続ける彼を求めて、復縁を願って、あの日聞けなかった答えを得るために、エステルは王城の夜会に出席する。
しかしやっと再会できた、そこには見たくない現実が待っていて……
恋の終わりを見届ける貴族青年と、行き場を失った恋の中をさ迷う令嬢の終わりと始まりの物語。
※他のサイトにも重複投稿しています。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
お飾り妻は天井裏から覗いています。
七辻ゆゆ
恋愛
サヘルはお飾りの妻で、夫とは式で顔を合わせたきり。
何もさせてもらえず、退屈な彼女の趣味は、天井裏から夫と愛人の様子を覗くこと。そのうち、彼らの小説を書いてみようと思い立って……?
夫に愛想が尽きたので離婚します
しゃーりん
恋愛
次期侯爵のエステルは、3年前に結婚した夫マークとの離婚を決意した。
マークは優しいがお人好しで、度々エステルを困らせたが我慢の限界となった。
このままマークがそばに居れば侯爵家が馬鹿にされる。
夫を捨ててスッキリしたお話です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる