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「宝くじ、かぁ……」
ボーっとしながら自転車を押して歩いていると、さっきのスーパーにまたまた来てしまった。
駐輪場の隣にある宝くじ売り場の前で、私の足が止まる。
もう少しで閉店時間なのか、シャッターが半開きになっていた。
「スクラッチ、やってみようかな……」
どうしてか、スクラッチ型の宝くじに挑戦してみたくなった。
すぐに結果がわかるというのと、一等は百万なんだという期待感が、私の財布を開けさせる。
「すいません、スクラッチクジを一枚ください」
「いらっしゃいませ! かしこまりました」
これを当てたら、私一人で高級鉄板焼き屋さんに行ってやる……。
夫への怒りを力に込め、十円玉でゴシゴシと擦った。
同じ絵柄が三つ揃ったら、当たりだ。
一等の絵柄は、何かよくわからないパイナップルのような絵柄だった。
「まずは……一つ目」
左上に、パイナップル。
「もう一個こい……ああー、ダメか」
さすがに二連チャンは欲を出し過ぎか。
気を取り直して、半分はテンポよく削っていった。
「お、二個目!」
真ん中にも、パイナップル。残す場所は、三つ。
慎重に、一つずつ削っていく。
「あ、ダメね、これもダメ……ラスト……」
ダメな予感しかしない。
たった一枚のチャンス、ものにできないのは当たり前。
こんな奇跡にかけるなんて、私、何してるんだろう……。
でもまあ、非現実的になれて良かった……。
私はあきらめムードを前面に出しながら乱暴に削った。
「……全部ハズレか」
最後に現れた絵柄は、パイナップルではなかった。
そう上手くはいかなかった。
真ん中から綺麗に破ろうとした瞬間、違和感に気づいた。
「あれ? よく見たら、イチゴの絵柄が三つある」
なんだ、同じ絵柄が揃っていたのか。
もう一度スクラッチクジのカードの端に書いてある説明欄を読んでみる。
「えーっと……イチゴは……」
イチゴが揃った場合……三等と書いてある。
小さなイチゴの絵柄を数える……間違いなく、イチゴが三つ……。
「すいません、これって……当たりですか?」
窓口のおばさんが、スクラッチクジを受け取って、目を細めながら確認する。
そして、興奮気味に「おめでとうございます!」と言ってくれた。
その後に、「三等は五万ですよ!」と説明を受ける。
え……五万が当たったの!?
それ、結構デカくない?
ボーっとしながら自転車を押して歩いていると、さっきのスーパーにまたまた来てしまった。
駐輪場の隣にある宝くじ売り場の前で、私の足が止まる。
もう少しで閉店時間なのか、シャッターが半開きになっていた。
「スクラッチ、やってみようかな……」
どうしてか、スクラッチ型の宝くじに挑戦してみたくなった。
すぐに結果がわかるというのと、一等は百万なんだという期待感が、私の財布を開けさせる。
「すいません、スクラッチクジを一枚ください」
「いらっしゃいませ! かしこまりました」
これを当てたら、私一人で高級鉄板焼き屋さんに行ってやる……。
夫への怒りを力に込め、十円玉でゴシゴシと擦った。
同じ絵柄が三つ揃ったら、当たりだ。
一等の絵柄は、何かよくわからないパイナップルのような絵柄だった。
「まずは……一つ目」
左上に、パイナップル。
「もう一個こい……ああー、ダメか」
さすがに二連チャンは欲を出し過ぎか。
気を取り直して、半分はテンポよく削っていった。
「お、二個目!」
真ん中にも、パイナップル。残す場所は、三つ。
慎重に、一つずつ削っていく。
「あ、ダメね、これもダメ……ラスト……」
ダメな予感しかしない。
たった一枚のチャンス、ものにできないのは当たり前。
こんな奇跡にかけるなんて、私、何してるんだろう……。
でもまあ、非現実的になれて良かった……。
私はあきらめムードを前面に出しながら乱暴に削った。
「……全部ハズレか」
最後に現れた絵柄は、パイナップルではなかった。
そう上手くはいかなかった。
真ん中から綺麗に破ろうとした瞬間、違和感に気づいた。
「あれ? よく見たら、イチゴの絵柄が三つある」
なんだ、同じ絵柄が揃っていたのか。
もう一度スクラッチクジのカードの端に書いてある説明欄を読んでみる。
「えーっと……イチゴは……」
イチゴが揃った場合……三等と書いてある。
小さなイチゴの絵柄を数える……間違いなく、イチゴが三つ……。
「すいません、これって……当たりですか?」
窓口のおばさんが、スクラッチクジを受け取って、目を細めながら確認する。
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