【R18】Hで淫らなボクの夏休み！【完結】

星影のセレナーデ

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朝起きると、九条先輩の姿は無かった。

　気だるい身体で、先輩のいないベッドを眺めながら、僕と先輩の関係には名前がついていないな、と美雨は思う。

　ただの先輩後輩の関係？　それともただの友達？　九条先輩は誰にでも、昨日僕にしたような事をするの？

　あんなにハンサムで格好いい先輩を、僕が独り占め出来ないのは分かってる。

　もしかしたら、帰省している恋人がいるのかもしれない。

　いつも先輩の周りにいる取り巻きの人たちは、洗練されていて、しかも、物凄い美形揃いだった。あの中に先輩の本命がいても、ちっともおかしくない。

　そんな人たちから比べれば、僕なんてその辺の道端に転がっている、石ころとまるで等しい。
　僕に名前がついてる事すら、知ってる人なんて、ほとんどいない。

　先輩が僕の名前を呼びながら、「美雨、可愛い」と言って何度もキスをくれるのは嬉しいけれど、あれは、子犬を愛でるような、そんな感覚で、結局、僕は夏の間の遊び相手なのかも……

　そう考えると、急にズクズクと胸が苦しくなった。

　考えてみれば、先輩は最初から、ボクのカラダしか見てなかったような気がする。

　分かってる。

　僕が先輩の本命として、隣に堂々と並んで歩けないのは、分かってる。
　
　どう考えてたって、先輩と僕とでは、釣り合わないのだから……

　美雨は先輩の匂いがするブランケットをぎゅっと抱きしめる。

　今は、それでも良かった。先輩の、“ひと夏のお愉しみ”でも、僕にとっては夢のようなひとときで、この先、一生無いであろう出来事なのだから。

　けれど、夢もいつかは終わる。

　夏休みが終われば部屋も元に戻る。

　先輩が隣にいない日がやって来る事を考えると、涙が出そうだった。