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ロミオの純情
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鷹司は、もう1つ、菓子箱から摘まみあげると、再びコウの口の中に入れ、今度は、もう1つを自分の口の中に入れる。
甘くて魅惑的なチョコレートの香りが、口の中にいっぱいに広がった。
こうやって、コウと一緒に美味い菓子を食べるのは、何て幸せなんだろうかと思いながら、鷹司は空を見上げる。
既に濃紺の夜の色に変わった天には、キラキラと、満天の星が輝いていて、流れ星が、ツーッと落ちてゆくのが見えた。
ふと、コウを見ると、コウも夜空を見上げて、何か考え事をしているかのように、物思いに耽っていた。
夜空を眺めるコウの横顔はどことなく気品があって、そう簡単には手を出せないような近寄りがたさすらあり、鷹司はそんなコウの横顔を静かにそっと眺めていると、
「先輩……?」
鷹司の視線に気がついたコウが、少し恥ずかしそうな表情を見せる。
「そろそろ行くか」
コウに見とれていた鷹司は、少し気まずくなって立ち上がると、「はい!」とコウも元気に立ち上がったが、足元に段差があったのか、一瞬、コウの体がグラつく。
「コウ!」
転びそうになったコウの腕を咄嗟に取ると、鷹司の腕の中に、小柄なコウの体がすっぽりと収まった。
思わずコウを抱き締めると、「っ…先輩……」 ふんわりと、コウの体から発するスズランのような甘い香りが辺りに漂う。
抱き合うような形になった鷹司とコウの視線が絡み合った瞬間、鷹司の理性は飛んだ。
「コウ……」
コウの唇に、吸い寄せられるように鷹司が顔を寄せると、コウは静かに目を閉じる。
二人の唇が重なると、ほのかにチョコレートの香りがして、鷹司は気がつけば、夢中でコウの口をこじ開け、舌を絡ませて柔らかいコウの舌を吸っていた。
「ん、んん……」
甘い甘い、コウとのキス。
一度、唇を離した二人は、まるで、一秒でも離れていたくないかのように、再びまた勢いよく唇を重ねる。
今度はコウの舌が積極的に動きまわり、鷹司の舌を貪るように撫でまわす。鷹司の手は自然とコウの腰へと回り、グイとコウを自分の体の方へと押し付けると、
「あっ……」
とコウが呻いた。
二人の唇が離れ、ツーッと銀色の細い糸がエロティックに垂れる。
思いがけず激しいキスをしてしまった事に、二人は照れ臭くて、無言で下を向く。
こんな時、どんな言葉をかければ良いのだろうか?
鷹司は考えを巡らせる。
『コウ、好きだ。俺の恋人になれ』
とは、恥ずかしくて、とても口に出せなかった。
いくらハンサムで後輩から人気があると言っても、恋愛経験がほぼ無いに等しい鷹司は、こういった場面で上手く立ち回れる技量は持ち合わせていないのだ。
なんとか口を開き、「明日もリンベルの菓子を持ってくるから」そう言った鷹司に、コウは
「はい。楽しみにしています」と小さな声で返事をする。
それから二人は再び無言で歩き出し、それぞれの寮棟への分かれ道に来る。
「失礼します。お疲れさまでした」とコウは礼儀正しくペコリとお辞儀をし、「じゃあ、また明日な」と鷹司が返事をすると、にっこりとコウは笑って、一年生の寮へと歩き出した。
キリッと真っ直ぐ背筋の伸びたコウの背中を鷹司は暫く眺めていたが、やがて鷹司も向きを変えて、三年生の寮へと歩き出す。
ふと、あのコウの背中は何処かで見覚えがあるぞ、と思い、振り返ったが、既にコウの背中は闇に紛れて見えなくなっていた。
甘くて魅惑的なチョコレートの香りが、口の中にいっぱいに広がった。
こうやって、コウと一緒に美味い菓子を食べるのは、何て幸せなんだろうかと思いながら、鷹司は空を見上げる。
既に濃紺の夜の色に変わった天には、キラキラと、満天の星が輝いていて、流れ星が、ツーッと落ちてゆくのが見えた。
ふと、コウを見ると、コウも夜空を見上げて、何か考え事をしているかのように、物思いに耽っていた。
夜空を眺めるコウの横顔はどことなく気品があって、そう簡単には手を出せないような近寄りがたさすらあり、鷹司はそんなコウの横顔を静かにそっと眺めていると、
「先輩……?」
鷹司の視線に気がついたコウが、少し恥ずかしそうな表情を見せる。
「そろそろ行くか」
コウに見とれていた鷹司は、少し気まずくなって立ち上がると、「はい!」とコウも元気に立ち上がったが、足元に段差があったのか、一瞬、コウの体がグラつく。
「コウ!」
転びそうになったコウの腕を咄嗟に取ると、鷹司の腕の中に、小柄なコウの体がすっぽりと収まった。
思わずコウを抱き締めると、「っ…先輩……」 ふんわりと、コウの体から発するスズランのような甘い香りが辺りに漂う。
抱き合うような形になった鷹司とコウの視線が絡み合った瞬間、鷹司の理性は飛んだ。
「コウ……」
コウの唇に、吸い寄せられるように鷹司が顔を寄せると、コウは静かに目を閉じる。
二人の唇が重なると、ほのかにチョコレートの香りがして、鷹司は気がつけば、夢中でコウの口をこじ開け、舌を絡ませて柔らかいコウの舌を吸っていた。
「ん、んん……」
甘い甘い、コウとのキス。
一度、唇を離した二人は、まるで、一秒でも離れていたくないかのように、再びまた勢いよく唇を重ねる。
今度はコウの舌が積極的に動きまわり、鷹司の舌を貪るように撫でまわす。鷹司の手は自然とコウの腰へと回り、グイとコウを自分の体の方へと押し付けると、
「あっ……」
とコウが呻いた。
二人の唇が離れ、ツーッと銀色の細い糸がエロティックに垂れる。
思いがけず激しいキスをしてしまった事に、二人は照れ臭くて、無言で下を向く。
こんな時、どんな言葉をかければ良いのだろうか?
鷹司は考えを巡らせる。
『コウ、好きだ。俺の恋人になれ』
とは、恥ずかしくて、とても口に出せなかった。
いくらハンサムで後輩から人気があると言っても、恋愛経験がほぼ無いに等しい鷹司は、こういった場面で上手く立ち回れる技量は持ち合わせていないのだ。
なんとか口を開き、「明日もリンベルの菓子を持ってくるから」そう言った鷹司に、コウは
「はい。楽しみにしています」と小さな声で返事をする。
それから二人は再び無言で歩き出し、それぞれの寮棟への分かれ道に来る。
「失礼します。お疲れさまでした」とコウは礼儀正しくペコリとお辞儀をし、「じゃあ、また明日な」と鷹司が返事をすると、にっこりとコウは笑って、一年生の寮へと歩き出した。
キリッと真っ直ぐ背筋の伸びたコウの背中を鷹司は暫く眺めていたが、やがて鷹司も向きを変えて、三年生の寮へと歩き出す。
ふと、あのコウの背中は何処かで見覚えがあるぞ、と思い、振り返ったが、既にコウの背中は闇に紛れて見えなくなっていた。
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