普通の学生だった〜番外編。「吸血鬼」

かーにゅ

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脱走 2

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夏視点

「ただいまー!!」
「夏おかえり」
「…あれ?柚は?いつもなら声が聞こえたらお出迎えしてくれるのに…」
「柚なら昼寝してるよ。泣いておやつにちょっと飲んでお腹いっぱいになって寝ちゃったの」
「柚満腹になるとすぐ寝ちゃうもんね」
「今日は目元も冷やしてたから気持ちよかったみたい。魔法使わずともすぐ寝たよ」
「へ~ぐっすり眠れたんだ~ぬいぐるみもないのに」
柚の安眠用のぬいぐるみは全部部屋に置いてあるもんね。
リビングはたまに応接室としても使われるから残念ながら柚のぬいぐるみは置いてあげられない。
といっても…ほとんどリビングに通す人はいないけど。
「柚、夏帰ってきたよ」
「ただいま!!」
柚をビックリさせようと専用のソファーを背もたれ側から覗き込んだのだが…そこにはお気に入りのブランケットがあるのみ。
「兄さん…柚いないんだけど」
「え?…すぐさま捜索隊を組もう!!」
柚どこいっちゃったの!!
これ迷子癖があるからあの貝殻型のベッドにしてあるのに!!






















「柚ー!!」
兄さん+執事達は屋敷の中を。
夏+帰ってきた翔兄さん+別邸にいた父さん母さん+メイドは庭を捜索に出た。
「もう庭全部行っただろ…」
「いや…あともう1箇所」
柚に見せられない危険なものを集めたが。
「翔様!!夏羽様!!あちらにこれが!!」
「…柚のリボン…」
胸元に結んだリボンが…?
あちらって…今メイドがいたの本当に柵の方向だよね?
「植木の下に引っかかっているのを犬獣人の使用人が見つけました…」
「…今すぐ全員でそこに迎え!!もうこの際貴重な植物など関係ない!!柚の安全が第一だ!!」
「はい!!」
柚…変なのに触らないでね。
夏の授業用のマンドラゴラも植えてあるんだから…絶対抜いちゃダメだよ?
抜いたら弱い柚なんて気絶しちゃうからね?









その頃の柚
「…ふぁ」
おっきいお花だ~と色々見回って大興奮していた。(夏を探すという目標はとうの昔に消えていた)












「柚ー!!聞こえたら返事してー!!」
拡声魔法も使って色んな場所から呼びかけた。
「なつにぃにだー!!」
「柚!?」
茂みからぴょこんと飛び出して抱きついてきた。
「よかった…無事だった…」
「なつにぃにまいごなんてめずらしいねー」
「迷子になってたのは柚でしょ」
「えー?なおにぃにがおきたらなつにぃにいるっていってたからまいごかなーってさがしてたのー」
「…ごめんね、今日だけ学校にいる時間長かったの。ちょっとトラブルがあって…」
「むー」
「ほら、帰ろ?いっぱい汚れちゃったからお風呂入ろうね」
「もふもふ!!」
「お風呂入ったあとなら触っていいから」
「やったぁ!!」
抱き上げてから気づいた。
柚のポッケにすっごい量の花が…。
「…柚、それどうしたの?」
「あっちにいっぱい生えてたのー」
全く毒性のないただの花が…?
どこからか飛んできて増殖したか?
大量の木で囲まれたここに?
「にぃにどうぞ」
「ありがと…」
心臓止まるかと思った…。
いや止まっても執念でアンデッドにでもなって戻ってくるけど。
「おふろ~♪ちゃぷちゃぷおふろ~♪」
「きれいきれいしようね」
「今日はねーぴーちゃんにするー」
「…どの子?」
「にぃにわかんないの?ぴーちゃんだよ?」
ごめん…柚のアヒル軍隊大量にいるからどれが誰か全くわかんないよ…。



















「この子がぴーちゃん!!」
赤色の蝶ネクタイの子がぴーちゃんらしい。
なんで道は覚えられないのに同じ顔したアヒルの名前は覚えられるの?
「ぴーちゃんもおふろはいるの」
「いいよ」
ちゃぷん、と湯船に浮かせて柚は膝に乗せてお腹に腕を回した。
「あぅー?」
「ちょっとだけぎゅってさせて…」
この腕の中に柚がいることを…確認させて。
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