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癇癪 1

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柚琉視点

「うー…!!」
「柚。大丈夫よ」
「やだやだ!!いかない!!いかないのー!!」
「これ終わったらまた美味しいの食べに行こう?ね?」
「やだやだやだぁ!!」
僕は白い建物の前でパパとママに手を繋がれてイヤイヤしていた。
だってここ痛い痛いしたとこだもん!!
もう行かないもん!!
「予防接種だから。数分で終わるから、ね?」
「やぁや!!」
「じゃあ柚はこの後のご飯は無しかしら?」
「やぁだ!!」
「ほら、じたばたしちゃうとスカートの中見えちゃうから。大人しくだよ」
「ふゃっ」
パパに抱っこされちゃった。
「はい、行こうね」
「いやぁぁぁぁぁ!!」























「…ふぇ?」
「柚琉ちゃんはぬいぐるみ好きかな」
「うん!!」
「ほら猫ちゃんだよ~」
猫ちゃん!!
猫ちゃん欲しい!!
ぷすっ。
「…ひゃ」
「柚っ!!いい子!!我慢できたね!!」
「ぴゃぁぁぁぁぁぁぁ!!」
「…無理か」
「いだぁい!!」
「ご褒美のシールはどれがいいかな」
「ぃやぁ!!おーち!!おーちかえる!!」
「はいはい、帰ろうね」
ぐすぐすしてる僕にお姉さんは何かを握らせた。
「ご褒美のシールだよ。柚琉ちゃん猫ちゃんが好きみたいだったから」
「…ぁりあと」
「ちゃんとありがとう言えたね。偉い偉い」
「じゃあ約束通り美味しいもの食べに行きましょうね」
…うん。
パパのお胸でぐりぐりしてたらいつの間にか眠ってしまった。



















「…や」
「柚?」
「何か嫌いなものでもあったのかしら」
「くしゃい」
「臭い…?どれが?」
「ごめんなさいね…柚。ママには分からないわ。どれが嫌なのか教えてくれる?」
「これやぁ」
僕はひとつのお皿を押し出した。
「…これ?」
「ただのエビ…よね?」
「やぁなの」
「…伊勢海老のパスタって書いてあるけど…まさかエビ嫌い?」
「かもしれないわね…今まで食べさせたことも無かったもの」
…えびって言うの?
それなんかやなの。
「…柚の食事からエビを抜きましょうか」
「そうだね……え?」
あ、これ美味しい。
もきゅもきゅ。
「…柚?それも海老だけど?」
「なぁに?」
「子供用の甘い味付けのエビチリね。…同じ海老だけど…種類が違うからかしら?」
「…かなぁ…」
美味しいのいっぱい嬉しいっ!!
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