普通の学生だった〜番外編｡「吸血鬼」

おたんじょーび 1

柚琉視点

｢…んにゅ…｣
｢柚琉様､おはようございます｣
｢おひゃよ…｣
｢お熱は下がりましたね｡夕食も食べずに眠り続けているので心配しましたよ｣
｢んー…｣
お水を含ませたタオルでお顔を拭いて(眠たい時に顔を洗おうとすると高確率でボウルの中に顔ごと突っ込んでしまうため)､メイドさんが選んでくれたお洋服に着替えた｡
｢んにゅ…？あたらちーの…｣
｢えぇ｡本日のために用意させていただきました｣
｢私達からのプレゼントです｣
｢…ありあと…｣
…うー…ねむねむ…｡
起きなきゃ…｡
｢…おはよー…｣
｢おはようございます｣
｢まだ目が覚めませんか？｣
｢うにゅ…｣
｢変ですね…｣
あ…髪留めも新しいのだ…｡
新しいのいっぱい…わぁい｡










｢こちらですよ｣
｢むにゅ…｣
メイドさんと手を繋いで(多分)リビングにたどり着いた｡
パァン｡
｢ふぇ！？なになに！？｣
｢｢｢｢お誕生日おめでとうございます!!柚琉様!!｣｣｣｣
｢柚､おめでとう｣
｢今日でもう1年なのね…｣
｢時が経つのは早いって言うけど本当だね｣
…おたんじょーび？
誰の？
｢柚？分かんない？1年前の今日､柚は直人兄さんに拾われたんだよ？｣
…んー？
｢柚には分かんないだろ｡まぁ今日は柚にとって特別な日ってことだ｡前に柚も俺達の誕生日を祝ってくれただろ？｣
｢それと同じでにぃに達も柚の誕生日をお祝いしたかったんだ｣
おめでとーって｡
…お祝い…｡
それよりも…｡
くぅぅぅぅぅ｡
｢おなかすいた…｣
｢そうね｡昨日から何も食べてないんだもの｡ほら､柚の好きな物たくさん用意したからいっぱい食べましょうね｣
｢わぁい!!｣
ポテトに唐揚げにミートパスタ､ハンバーグ…所謂子供の好物が机に所狭しと並んでいた(言っておくが3つのテーブルに､である)｡
｢ぽてと!!｣
｢今日はテーブルマナーも気にしなくていいようにピックとか1口サイズにしてもらったからね｣
｢手づかみでもいいんだぞ｣
｢んむ？｣
｢…もう既に食べてたか｣
おいちー!!
あ!!
あっちのパスタ見たことないのある!!
｢…3食これになりそうね｣
｢まぁ柚の日だから柚の好きなようにさせようか｡…栄養すっごい心配だけど｣
｢あっちのスープには野菜入ってるんだけど…スープやパンは目に入ってないね｣
｢おかずだけでお腹膨らませる気だな…本当に一日限定しか出来ない奴だ｣
｢1年に1回の楽しみになりそうだね…｣
ぜーんぶおいちー!!