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迷子とヒーロー 1

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柚琉視点

「きゃー!!」
僕はパパがいっぱい工事して雨の日でも遊びやすくしてくれたお庭でメイドさんとボールで遊んでいた。
「ぼーる、ぼーるまってぇ」
僕の足にぽんって当たってもっと遠くに行っちゃう。














「とれた!!…ふぇ?」
ボールを持って顔を上げたら…そこはお庭じゃなかった。
だって…下が草じゃないんだもん。
こっちのが痛くないねってパパがお庭全部変えてくれたはずなのに。
「…ふぇ…めいどしゃ…どこぉ」
ここどこ?
…ママとお出かけしたところと違う…。
「まま…?」
ママどこ?
僕わかんないとこ来ちゃったの。
ふぇっ…怒られちゃう。
「ふにゃ、ふぇぇん」
ママやパパ、にぃにやメイドさんを探して歩き回った。
「あ…」
そのうちに抱えていたボールが汗で滑ってとんとんと落ちて転がってしまった。
「まって、ぼーるさんまって」
とんとん跳ねながら進むボールさんは僕の言うことなんて聞いてくれない。
「まって!!」
ボールさんはぽーんって跳ねて大きな道に出た。
「馬鹿!!」
「ぴゃぁ!!」
追いかけようとした僕は急に後ろに引っ張られて転んでしまった。
「赤信号で飛びだすな馬鹿!!」
「ふぇっ」
「聞いてんのか!!」
「うわぁぁぁん!!」
知らない子に怒られたのと転んだ時についた手がすごく痛くて僕は泣き出してしまった。
「…泣くなよ…俺が悪いみたいじゃねえか」
「ひっく…うぅ…ひっく…」
泣くなと言われたけど涙が止まらなかった。
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