教室ごと転移したのに陽キャ様がやる気ないのですが。

かーにゅ

文字の大きさ
20 / 68

とぅえんてぃ 帰還あーんどお説教に見せかけたただの溺愛会

しおりを挟む
「ほら、これでも食っとけ」
「ありがと」

 僕の目の前に出されたのはパンと揚げ物とサラダが同じお皿に盛られた料理。ごまかすのはやめようか。いわゆるお子様ランチである。いいけど。美味しそうだし…洗い物減るもんね。

「…おいし」
「俺の作るもんが不味いわけないだろ」
「僕…あそこまで迷うとは思ってなかった。ここまでならバルドお兄さんと一緒に来たしひとりでもいけるかなって思って…」
「この辺はギルドがあるってのもあって他よりも人が多いからな。毎日のように警備団のところにも子供が届けられる」

 警備団?子供が届けられる?交番のようなもの?それとも迷子センター?

「うぇ…これニンジン…」

 衣で隠されたニンジン。嫌い…なんだけど。絶対食べないとダメ?いつもの裏技使うのなし?

「食えよ?」
「…はい」

 ちぇ…甘いのだったら僕だって喜んで食べるのにさ。グラッセだっけ?あれなら甘くておいしくて僕でも食べれるんだよね。でも前にママが食べてた野菜スティックは無理。思いっきり生だった。

「…え、おいしい…なんで?」
「なんでってシェフの腕がいいからに決まってんだろ。なんだ?ハルキは嫌いなものがあったら今までどうしてたんだ?」
「こうやって…」

 ニンジンのフライをフォークで刺すと目の前に差し出した。

「あーん、ってやるとパパが食べてくれた」
「…甘すぎんだろ。なんだそれ」
「お兄さんはかからないのか…じゃあ僕全部食べないといけないじゃん。どうせ他にも僕の嫌いなもの入れてるんでしょ。言っておくけどね、僕ピーマンだけは何しても食べないから」
「ほぅ?」
「においも味も全部嫌い。ピーマンが接していたものも食べたくない」
「…そこまで嫌ってる奴は初めてだな。攻略が難しそうだ」

 攻略って!僕はゲームかなにか!?









「ハル!」

 僕がご飯も食べ終わって食後のデザートを楽しんでいるとバルドお兄さんが勢いよくドアを開けて入ってきた。そして2階席に僕たちがいることを見つけると大股歩きでこちらへ来た。

「良かった…キアが保護したのか?」
「まあそういうことになるな」
「ハル…どうして外に出たんだ。あの部屋が気に入らなかったか?友達と仲良くできなかったのか?」
「お腹空いたから」
「…は?」

 は?って言われた!人間の本能で求めるもののひとつだよ!?生きるために大事なことだよ!?

「バルドお兄さん迎えに来るって言ってたのに時間になっても来ないしお腹空いて待てなかったから酒場までならひとりで行けるかなって」
「行けるかなみたいな憶測で実践するんじゃない!何かあってからでは遅いんだぞ!」
「変質者なら毎日のように会ってたし」
「おい、どういうことだ?」

 あれ、酒場のお兄さんまで食いついてきた。どうして?

「…学校帰りとか友達と遊んできた帰りとかおじさんと一緒にいいとこ行こうかって言われることよくあったし初めて誘拐されたの3歳のときだよ?」
「どうやって誘拐されていった」
「あっちでお母さんが呼んでるよって言われて周り見たけど本当にママいなくてついていったら車に乗せられて連れてかれた」
「くるま…は分からないがハルに危機感がほとんどないことは分かった。叱ろうと思ったがこれは叱っても意味がないな」

 え、それはどういう意味で?僕別に危機感はあるよ?だからいつも防犯ブザーだって手の届くところにつけてたしいつでも走れるように走りやすい靴履いてたし逃げるときに邪魔にならないようにカバンは肩掛けかリュックにしてたよ?

「…ハルにつけるものを増やそう。今回は他ギルドのギルドマスターが気づかなければ俺がたどり着くのも遅れるところだった」
「あ、それってどうやって伝わっていったの?」

 僕それ知りたい。どうやって遠いところにいたバルドお兄さんに伝わったの?スマホみたいなものがあるの?

「これだ」

 バルドお兄さんの袖を少しめくったところについていたブレスレット。1つだけ石がついてるだけのシンプルなもの。

「子が設定した建物から外に出るとこの石が光るようになるんだ。その光の色でどのくらい離れたかもわかるようになっている」
「へー」

 このカード結構ハイテクなものだったんだー見た目ただのカードなのに。

「新しく作ったらどうだ?」
「そうだな。既製品ではハルを守れる気がしない」

 あれ?まだ僕にお金使う気でいる?
しおりを挟む
感想 10

あなたにおすすめの小説

運悪く放課後に屯してる不良たちと一緒に転移に巻き込まれた俺、到底馴染めそうにないのでソロで無双する事に決めました。~なのに何故かついて来る…

こまの ととと
BL
『申し訳ございませんが、皆様には今からこちらへと来て頂きます。強制となってしまった事、改めて非礼申し上げます』  ある日、教室中に響いた声だ。  ……この言い方には語弊があった。  正確には、頭の中に響いた声だ。何故なら、耳から聞こえて来た感覚は無く、直接頭を揺らされたという感覚に襲われたからだ。  テレパシーというものが実際にあったなら、確かにこういうものなのかも知れない。  問題はいくつかあるが、最大の問題は……俺はただその教室近くの廊下を歩いていただけという事だ。 *当作品はカクヨム様でも掲載しております。

【完結】弟を幸せにする唯一のルートを探すため、兄は何度も『やり直す』

バナナ男さん
BL
優秀な騎士の家系である伯爵家の【クレパス家】に生まれた<グレイ>は、容姿、実力、共に恵まれず、常に平均以上が取れない事から両親に冷たく扱われて育った。  そんなある日、父が気まぐれに手を出した娼婦が生んだ子供、腹違いの弟<ルーカス>が家にやってくる。 その生まれから弟は自分以上に両親にも使用人達にも冷たく扱われ、グレイは初めて『褒められる』という行為を知る。 それに恐怖を感じつつ、グレイはルーカスに接触を試みるも「金に困った事がないお坊ちゃんが!」と手酷く拒絶されてしまい……。   最初ツンツン、のちヤンデレ執着に変化する美形の弟✕平凡な兄です。兄弟、ヤンデレなので、地雷の方はご注意下さいm(__)m

拾った異世界の子どもがどタイプ男子に育つなんて聞いてない。

おまめ
BL
召喚に巻き込まれ異世界から来た少年、ハルを成り行きで引き取ることになった男、ソラ。立派に親代わりを務めようとしていたのに、一緒に暮らしていくうちに少年がどタイプ男子になっちゃって困ってます。 ✻✻✻ 2026/01/10 『1.出会い』を分割し、後半部分を『2.引き取ります。』として公開しました。

【完結】ここで会ったが、十年目。

N2O
BL
帝国の第二皇子×不思議な力を持つ一族の長の息子(治癒術特化) 我が道を突き進む攻めに、ぶん回される受けのはなし。 (追記5/14 : お互いぶん回してますね。) Special thanks illustration by おのつく 様 X(旧Twitter) @__oc_t ※ご都合主義です。あしからず。 ※素人作品です。ゆっくりと、温かな目でご覧ください。 ※◎は視点が変わります。

事なかれ主義の回廊

由紀菜
BL
大学生の藤咲啓嗣は通学中に事故に遭い、知らない世界で転生する。大貴族の次男ランバート=アルフレイドとして初等部入学前から人生をやり直し、学園で出会う無愛想で大人顔負けの魔法の実力者であるヨアゼルン=フィアラルドと親友になるが、彼に隠された力に翻弄され次々と襲ってくる災難に巻き込まれる。終いには、国家の存続を揺るがす大事件にまで発展することに・・・

美少年に転生したらヤンデレ婚約者が出来ました

SEKISUI
BL
 ブラック企業に勤めていたOLが寝てそのまま永眠したら美少年に転生していた  見た目は勝ち組  中身は社畜  斜めな思考の持ち主  なのでもう働くのは嫌なので怠惰に生きようと思う  そんな主人公はやばい公爵令息に目を付けられて翻弄される    

使用人と家族たちが過大評価しすぎて神認定されていた。

ふわりんしず。
BL
ちょっと勘とタイミングがいい主人公と 主人公を崇拝する使用人(人外)達の物語り 狂いに狂ったダンスを踊ろう。 ▲▲▲ なんでも許せる方向けの物語り 人外(悪魔)たちが登場予定。モブ殺害あり、人間を悪魔に変える表現あり。

僕はただの妖精だから執着しないで

ふわりんしず。
BL
BLゲームの世界に迷い込んだ桜 役割は…ストーリーにもあまり出てこないただの妖精。主人公、攻略対象者の恋をこっそり応援するはずが…気付いたら皆に執着されてました。 お願いそっとしてて下さい。 ♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎ 多分短編予定

処理中です...