とある使用人の日記

かーにゅ

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42日目

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「柚琉様、苦しくはないですか?」
「うん…ありがとう」
樹さんは柚琉様の寝巻きの上の方のボタンを外し、首元まで掛け布団をかけた。
「あとでぬいぐるみもお持ちしますからね」
「…つめたいの…?」
「はい」
…それ持って来いってことか。
んじゃ行ってくるかな。
確か…柚琉様の隣の部屋だっけ。
開かずの部屋ってことになってるけど正確には柚琉様の部屋のクローゼットに隠し扉を設置して廊下側のドアは特別な鍵じゃないと開かないだけだ。
中には柚琉様のものがたくさん入ってるけどな。
さっき言ったぬいぐるみを冷やすための冷蔵庫だったりもしもの時の心電図モニターとか医療機器類。
点滴のあの棒もあったけどな。
ここには常に夏、冬用の布団も用意してあるし簡易キッチンもあるからお湯も湧かせる。
「えっと…これか」
俺は腰に付けた鍵束の中からこの扉の鍵を取り出し、開けた。
冷蔵庫は手前にあったから…。
一つだけぬいぐるみを取り出し、部屋を出てまた鍵を閉めた。
「ぬいぐるみ持ってきました」
「柚琉様、冷たいの入れますからね」
樹さんは俺からぬいぐるみを受け取ると掛け布団をめくり、柚琉様に抱きかかえさせた。
「つめたい…」
「お熱少し上がってしまいましたね…何かお持ちしましょうか?」
「りんご…」
「かしこまりました」
樹さんが出ていき部屋には俺と柚琉様だけに…………はぁ!?
「はぁ…はぁ…げほっ」
…息苦しいか。
そりゃそうだよな。
「うぅ…ひっく…ぅげほっ」
咳き込んで泣いてまた咳き込んだ。
「大丈夫ですか…?」
「みず…」
「お水ですね」
柚琉様を抱き起こし、コップを傾けて水を飲ませた。
「はふ…」
「汗かいちゃいましたね。あとで軽く体拭きましょうか」
「ありがと…でもも…ねむ…」
柚琉様は急にかくんと意識を失ったかのように眠り出した。
「…おやすみなさい。柚琉様」
そっと横たえて布団をかけると…
「柚琉様ようやく寝ましたか」
「うぉぇ!?」
「大きな声はダメです。柚琉様が起きてしまいます」
…樹さんいつからいたんだよ。
「眠られると思ったのでりんごは持ってきませんでした。変色してしまいますし」
「あ…はい」
「本当にポプリ効くんですね。量に気をつけなくては」
樹さんは柚琉様の枕の下から小さな巾着を取り出した。
「あまりにも眠らないようならこれを近くに置いておいてください。すぐに眠りますから」
「え…あのこれなんですか…?」
「ラベンダーのポプリですよ。柚琉様にとっては睡眠薬と同等の催眠効果があるようですが」
…ポプリってそんな凄かったっけ?
匂いするだけだろ?
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