普通の学生だった僕に男しかいない世界は無理です｡帰らせて｡

中学生編

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柚琉視点

｢んぅ…｣
顔に何か柔らかいものが当たった｡
…ふぇ？
僕…お外で寝たのに？
目を開けてみると…僕はどこかのホテルの一室にいるようだ｡
おっきいからスイートルームってやつかな？
｢…どうして…？｣
誘拐された？
…誘拐されたのかな…僕｡
僕は机に置かれたぬいぐるみを取って外へ出た｡
｢…みんな…心配してるよね…｣
初めて無断外泊しちゃった｡
｢帰らなくちゃ…｣
おうちの住所やっと覚えたもん｡
それがあれば電車で………お金持ってない｡
スマホもない｡
どうやって帰ろう…｡
とりあえずフロントに出てきたが涙が溢れてきてしまった｡
｢ふぇ…ふぁぁん…｣
受付の横を通り過ぎようとすると止められた｡
｢君…もしかして902号室の子？｣
｢し…しらないもん…っく…｣
｢ちょっと待っててね｣
僕は椅子に座らされて待つことになった｡
ここどこなの…？
僕おうち帰れるのかな…｡
警察に行けばいいのかな｡
でも交番ってどこにあるの？
｢おー!!目が覚めたな｣
｢ぴゃっ！？｣
誘拐犯！？
あ､でもこの人あのチョコの匂いがする｡
えへへ～頬が緩んできちゃった｡
｢大丈夫…そうだな｡ありがとうございます｣
その人はフロントの人に声をかけると僕を抱き上げた｡
｢へ！？｣
｢今から交番行こうな｡いくら番といえどお前みたいな小さな子を無断で外泊させたんだ｡親ぐらい調べてやらないとな｣
つがい…？
｢おにーさん僕の番なの？｣
｢は？番特有の匂いがするだろ｡分からないのか？｣
｢…チョコの匂いするだけだもん…｣
｢まだ嗅覚が未発達なのか…｡そのうち分かるようになるからな｣
…番…運命の番だったよね？
でも神様番になるのは夏かもしれないとも言ってたよ？
この人が僕の運命の番なの？
結婚相手？
よくわかんない｡