普通の学生だった僕に男しかいない世界は無理です｡帰らせて｡

高校生編

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｢…夏｣
｢ん？なぁに？柚｣
｢だっこ…ぎゅーして｣
｢柚が自分から抱っこって…!!｣
夏はすぐに僕を抱き上げた｡
｢…簡単に抱かれちゃった｡僕そんなに軽いの？｣
｢うん｡これくらいならまだ夏でも柚を抱っこできるよ｣
｢…｣
僕は夏の首に手を回して顎を肩にのせた｡
よくわかんないけど引っ付いていたいの｡
離れたくないし誰にも渡したくない｡
｢おーい｡ここでイチャイチャしてないで早く教室戻れ｣
｢はぁい｡睦樹､樹行くよ｣
｢｢はい｣｣
夏は僕をを抱えたまま歩き出した｡
…あの子って…えっと…雅人くんが言ってたひろいんって子だよね？
ひろいんってなんだろう｡
なんで夏を取るの？
｢あぁ!!夏!!やっと見つけた!!｣
｢…面倒なのに出くわしちゃった｡なんでA組の教室前にいるんだよ…｣
｢ふぇ？｣
顔を上げると目の前にはひろいんくんがいた｡
｢早く死んでよ藤沢柚琉!!じゃないと夏のトラウマが出来ないでしょ!!｣
｢死にたくないもん｡夏は僕のだし｣
｢違う!!夏はヒロインであるこの僕のものって決まってるの!!他の人はゲーム通りだったのに!!｣
｢ゲームじゃないもん｡夏生きてるもん｣
夏が僕を抱く手に力が入った｡
｢夏…？｣
｢柚､ちょっとだけ目と耳塞いでてね｣
｢？わかった｣
僕は言われた通り夏の腕の中で丸まりながら耳と目を塞いだ｡
…暗いのちょっと怖い｡
まだダメかな？
もういい？
目を開けようとすると誰かの手がそれを防いだ｡
むぅ｡
まだダメなの？
…じゃあちょっとだけなら待つ｡