普通の学生だった僕に男しかいない世界は無理です。帰らせて。

かーにゅ

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番外編

初めてのスーパーマーケット

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直人視点

「柚、兄さんとちゃんとおてて繋げる?」
「あい!!」
「勝手に走って行っちゃダメだよ?ダメだと思ったら抱っこするからね?」
「はやきゅいこぉー?」
「…まぁ…大丈夫…だよね…?」











目立たないよう普通の乗用車でスーパーマーケットの駐車場に停めてもらい、運転手にはそのまま待ってもらった。
「はやきゅ!!はやきゅ!!」
「ゆーず。駐車場は危ないから、ほら」
柚に向かって両手を広げ、こちらに来るように…抱っこされるようにしてみた。
「うー…」
とぼとぼと戻ってくると大人しく抱かれた。








「柚どれがいいの?」
「いっぱ」
「いっぱい?柚が食べたいの選ばないとダメだよ?」
…スーパーに来て一直線にレトルトコーナーに行く子も珍しいと思うけど。
柚の好きな教育番組がなんかコラボ商品出したみたいでそれ見てから欲しい食べたいって何回も言うし(喘息の発作が起こるほど必死に)、毎日のように泣くし(そして再び発作が)…。
もう安全のためにって許可したはいいけど…栄養面心配だな。
「かりぇー」
「それだけ?」
「はやちらいしゅ。ちゃーは。ぎゅー」
「これでいいの?」
「うゆ」
と言いながらも更に追加された。
…何日レトルト食べる気だろ。
1日1個しか食べちゃダメとか制限かけようかな。
「いっぱ!!」
「じゃあ買いに行こうね」





と言ったのにレジ横の量り売りのお菓子コーナーで更に買わされた。
「ちょこ」
「どれがいいの?」
「あー」
1番上の丸い形のチョコを指さされた。
一旦カゴを下に置いて柚を抱き上げて自分でやらせる。
…というか自分でやらせないと怒るの。
「たくさん取ってるね。夏の分?」
「あい!!いっぱ、ちゃべゆ?」
「兄さんはいらないよ」
「うー…」
しょんぼりとしていたがどうやら満足したらしい。












「かりぇー」
その日から毎日のように厨房に忍び込んでは自分のご飯をレトルトの物にしろと催促する柚の姿があった。
「柚琉様?お昼ご飯に食べたじゃないですか。旦那様との約束で1日1回とあったでしょう?」
「やー!!」
「柚が欲しいのは空き箱の方でしょ?応募券はもう取ってあるから」
「やーやー!!」
「…柚琉様…今日の晩御飯はカレーにしますから」
「ほんちょ!?」
「はい」
料理人と目配せをして、レトルト…のように見えるカレーを作るように依頼をしておいた。
市販のものより栄養満点で。






「かきゅ」
「お絵描きするの?今紙もってくるね」
「かきゅ」
クレヨンを持った柚は応募用のハガキに何かを描き始めた。
「…柚…?それが良かったの?」
「にゃーちゃ」
「上手だね」
柚が描いていたのは教育番組のイメージキャラクターのにゃんちゃん。
もう1人わんちゃんもいるけど柚のおててじゃ大きくしかかけないみたいでハガキいっぱいの大きさににゃんちゃんが描かれていた。
「かきゅ、ちて」
「はいはい」
僕がハガキに応募要項を書いていくと柚はその横でぴょこぴょこしながら見守っていた。
「かきゅ、ちた?」
「書けたよ。じゃあこれはポストに入れてもらおうね」
沢山買ったからか応募券は5口分あった。
1口1枚のハガキを使わないといけないから柚のにゃんちゃんとわんちゃんが量産された。
…これ送る前にコピーしよう。
「はやきゅ!!はやきゅ!!」
「はいはい」
使用人にハガキを渡すと柚はててて、と走ってテレビの前に座り込んだ。
「にゃーちゃ、みりゅ」
「録画かDVDどっちがいいの?」
「こりぇ」
DVDを差し出された…3本。
お昼寝せずに見る気なのかな?この子は…。






















その後のハガキ…


「え…」
「どうした?」
「藤沢直人って……うちの…大スポンサーでしたよね…?」
「そうだ。あの方には粗相をするなよ?」
「…応募ハガキ届いたんすけど…なんか平仮名の名前も連名で」
「…は」



その後、ハガキを確認していた2人は大スポンサーを落とすべきかめちゃくちゃ悩んだらしい。













































「にゃーちゃ!!わんちゃ!!」
「良かったね」
藤沢宅には賞品のにゃんちゃんわんちゃん特大ぬいぐるみが郵便で届いた。
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